私の敬拝する神様、断罪の時間です。
私の敬拝する神様。
いや、敬拝していたが正しいですね。
断罪の時間です。
私、神様を信じていました。
親のいない孤児の私が生きているのは神様のおかげでだと。
だから朝でも昼でも夜でも、いつだって祈りを捧げました。
神様は私の人生の全てでした。
神域に招かれたときは嬉しかったです。
これまで祈ってきた意味があったのだと分かって。
そこには私のように熱心に祈ってきた人達が集められましたね。
同士はこれまで身近にいなかくて寂しかったですが、私の気持ちを共感してくれる人がいて心の隙間が埋まりました。
そのことで私はより神様に感謝しました。
それから神様から願い事をされましたね。
私達は一も二もなく了承しました。
だって今まで祈ることしか出来なかった私達が神様の役に立てるのです。
断る者はいません。
けれどそれは間違いだったのでしょう。
そのことによって絶望への道が開かれたのですから、
私達はある場所に転移されました。
そこの場所で貴方達を必要とする人々がいるので救うように、そのための力は授けたから、と。
でも転移した場所にはそんな人達はいなかった。
いたのは世界に破滅をもたらす魔物だけ。
私達は必死に抗いました。
魔法が使える者は良かったです。
けれど武器を持たないものは次々に死んでいきました。
私は魔法は使えなかったですが、落ちている木の枝で、倒した魔物の獲物を奪って何とか死にはしませんでした。
後に残ったのは死屍累々という言葉が似合う光景だけでした。
生き残った者は辺りに私達の力を必要とする人を探しました。
けれどやはりいません。
私達は神様に裏切られたことを知りました。
今まで信じていたのに裏切られたときの絶望感を知っていますか?
そのことによって何人が自殺したでしょうか。
だいたい生き延びた三分の一ぐらいだったはずです。
私達は神様を恨みました。
そして殺された人の為にも、絶望して死んだ人の為にも、この恨みを晴らさねばならないと決意しました。
そのための力はありました。
それは神様から授けられたものです。
そのことだけは真実だったようです。
それは戦っている最中に、後に発現しました。
発現が遅いです。
もっと早ければ、魔物に襲われて死ぬ人は少なかったでしょうに。
神様のことを信じている人もいました。
けれど神様の使徒が私達を殺しに来たことでその考えを捨てました。
そのころには自分の力に慣れていたので、撃退することに成功します。
全員が生還することは叶いませんでしたが。
ここまでの道のりは長く、けわしかったです。
私以外は全員死にました。
私に希望を託して。
だからどうか神様、死んでください。
皆の為に。
私の為に。
大丈夫です。
痛みは一瞬ですから、怖くありません。
私もすぐに追いかけますから。
言い訳は必要ありません。
神様を殺して私も死ぬ。
それで全てが終わるのですから。
さようなら、神様。
どうか良い眠りを。