めいれいさせろの命令は…。
「作戦は『めいれいさせろ』だ。」
一同はみな国王に賛同し、会議はようやく進み出した。
国王の命令に逆らうものなどいないのだ。
それは国王に対する絶対の信頼の元にある従順さである。
「では、早速だが諜報部隊に命令だ。モンスターとの戦闘経験のある者を調べ上げ招集しろ。身分や出身は問わん。急げ!」
「はっ!」
風のように諜報部隊が消えると次の命令である。
「調査部隊に命じる。モンスターの生態調査に向かってくれ。精鋭兵士500人を護衛として同伴させろ。」
「そして大臣。お前は国中の鍛治職人に武具を作らせろ。10万人分だ!」
こうしてつぎつぎと命じていき最後に会議室には王と数人の近衛兵のみが残った。
こうして第1回魔王討伐作戦会議は閉会した。
そしてそれから1ヶ月後、国王のもとにそれぞれの成果が送られてきた。
モンスターとの戦闘経験がある者が集められ、モンスターの生態の調査結果が報告され、武具10万人分の生産が可能となった。
そして王の間に一流精鋭兵士30人が招集され、新たな命令が下された。
「調査部隊の報告によるとモンスターの中には繁殖を行わないものがいるが、多くのモンスターは雌雄が有り繁殖により数を増やす。また今回の調査で繁殖周期が3日というモンスターが発見された。極めて戦闘能力は低く捕獲が容易であることが予想される。これよりモンスターの捕獲作戦を行う。」
こうして5日ののちには一流精鋭兵士により生け捕られたモンスターが城の地下室へと送られた。
城の地下室は地下室とするにはもったいないほどの広さがあり、かつては囚人達の運動場として用いられていた。そのため壁は強固でモンスターを捕らえておくには最適だったのだ。
「ここは今日からモンスターの養殖場となる。500年前とは違い常に戦闘経験を積むことができるようになる。最初はモンスターとの戦闘経験のある者に指導をしてもらおうと思っている。ここに呼んできてくれ。」
こうして国王によってモンスター養殖計画が行われた。画期的な戦闘経験を積むシステムであった。またその他の収集した情報によってモンスターは魔王の意思により生きているので魔王を倒すことによって全てのモンスターが死ぬことが判明した。
魔王とモンスターに対する知識の向上によって魔王討伐への意欲が国民全体にも染み渡っていった。