会議は踊る、されど….。
「大臣!!大臣をよべ!!!」
しばらくして王の間に大臣があらわれた。
「国王陛下どうなさいましたか?緊急の御用ということでしたが…。」
「どうもこうもあるか!この私が魔王討伐をすることになってしまったのだ!」
国王ノプカは激しく、そして少し落胆したような表情で大臣に今までのことを説明した。
にわかに信じ難いことではあるがこの世界において天の声というものの存在は広く浸透しており、また天の声は絶対というのもまた同様であった。
そのため国王、大臣、またこの話を聞いていた者たちは最初こそ困惑したものの、国王の魔王討伐について前向きに考え始めていた。
国王自身も魔王討伐をしなければ世界が滅ぶことを理解していたため、気分が落ち着くとすぐに魔王討伐の準備を始めた。
そして天の声から1週間が過ぎた。
城の会議室にて国王、大臣、親衛隊長、その他多数の国王ノプカに信頼のおかれている者たちによって第1回魔王討伐作戦会議が行われた。
「では、ただいまより魔王討伐についての作戦会議を始める。ではまず、大臣。この1週間で得た情報を教えてくれ。」
大臣は数枚の資料を出席者に配布した。
「お手元の資料をご確認ください。これはかつて500年前に勇者テチルが魔王を封印した際の記録を考古学者、言語学者の研究を元に現代語訳したものです。」
そこにはかつてテチルが魔王討伐に向けて3人の仲間と共に戦っていたこと、当時では蘇生魔法が多くの神官に普及していたことなど勇者一行とその冒険にまつわる多くの事柄が載っていた。
しかしそのどれもが500年後に生きる者たちには到底信じることのできないことであった。
「ご覧いただけたでしょうか。これらの記録を元に魔王討伐を行うのは厳しいものがあるかと思われます。現在この国の人口はおよそ300万人ですがその中で蘇生魔法を使える者は1人いるかどうかです。また多くの者がモンスターを見たことがありません。戦闘など到底できないでしょう。」
大臣が兵士の戦闘力に諦めていることに対して親衛隊長が異議を唱えた。
「我が親衛隊の隊員の多くはモンスターとの戦闘をしてきていないかもしれない。だが、我ら親衛隊は国のためならば命を捨てる覚悟。今からでも遅くはない。遠征によりモンスターの戦闘訓練を行おうではないか。」
しかし他の兵士長たちの顔には恐怖感があった。
未知の存在に恐れていたのだ。今まで相手にしていたのは所詮同じ人間。人間ならばたかが知れている。だが、モンスターはどうだ。火を吐くのか?魔法を使うのか?そもそもどうやったら死ぬのか?
全く情報のない相手との戦闘は恐ろしいのだ。
会議はそれから数時間にも及んだが結局なに一つとして決まらなかった。
それからまたしばらくしてようやく国王が口を開いた。
「かつての記録を元に魔王と戦うことはできないであろう。それゆえ、今は今のやり方で行う。勇者がおらずとも私がいる。私の指揮の下、それぞれが力を発揮し魔王と戦ってもらう。つまり作戦は『めいれいさせろ』だ。」