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生きづらさ通信  作者: 緑麿
22/22

指切り

お面の穴から覗いた光景は、提灯、屋台、人の群


金魚は追い立てられる水の中


夜が明るい、ここは違う世


口に溶ける甘い綿、林檎を閉じ込めた金色の飴


少年が妖しく笑い、手を引いて


笛の音、遠のく境内は


逢い引きするのに絶好の暗闇


目隠し、目隠し


浮き世の(ことわり)


口封じ、口封じ


あの娘にゃ分からん


密やかな心を花火は脅す


お面、外せば汗が冷やされ


お褒めの言葉に時間が止まる


ヨーヨー弾けて水しぶき


木々の奥から漂う気配


こわやこわやと甘えれば


御髪を撫ぜる、君の夢


指切り指切り


切って、頂戴


偽物宝石、契りにくれた


お面をかぶり、人波へ


離れる距離、躓く石畳


下駄の鼻緒が、ぢくぢく責めて


お面の下で、しくしく泣いて


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