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生きづらさ通信  作者: 緑麿
11/22

みぞれ心中

底冷えのする土間で、靴下にサンダルつっかけて炊事場にもたれていた。


外はみぞれがぼたぼたと降っていて、昼間なのにここは暗い。


時折、家の前を車が通ると水をきってゆく音がする。


雪になる頃にはあの人は二階から降りてくるだろうか?


みぞれのように、心の氷を溶かされ砕かれ、少し、汗ばんだ顔で居ないはずの私を見つけるだろうか?


見つけたら慌てて最新の女を帰してくれるだろうか?


逆上して、私を追い出すだろうか?


階段から、二人の吐息がはっきりと聞こえる。


私の身体は冷えすぎて末端の感覚は消えかかっていた。


でも、二階の二人は今、体温を繋げ、高めあっている。


おかしいね、おかしいね。


私を好きだと言ったのに。


私が大事だと言ったのに。


あなたは怖い人。


自分勝手な怖い人。


でも、その怖さがとても魅力的だから、始末に負えないわ。


私の心を踏みにじって、平気で他の女と愛を交わす。


私の惨めな思いなど、全く意に介さず、ばれていないと秘密を美味しそうに舐めちゃって。


「……奥さん」


勝手口から酒屋の長男がおずおずとやって来た。


私は冷えきった身体を彼に預け、唇を寄せる。


「なるだけゆっくりとして……」


耳元で囁けば、骨が折れそうなほどに抱き締められて、焼けるような口づけを受けた。


あなたが二階から降りて来たら、私はどうしているのかしら?


あなたがしていることを私もしてみたかった。


私が死んだ原因をあなたに分かってほしいから。


同じ傷をどうかあなたにも受けてほしい。


私の死んだ心をあなたに捧げたいのです。


愛していない男に溶かされ砕かれながら私はあなたと、もう一度……死ぬわ。

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