#7 「解決」
〜8時前・狩矢宅〜
「なおちゃん。今日も学校休むの?」
「今日も学校あるのか?」
「当たり前でしょ?何言ってるのなおちゃん」
「なん、、、だと?」
学校の休みが日曜日だけだというのを知ったのは金曜日に青山の解決策を聞いたその翌朝だった。昨日の青山の解決策を聞いたときは青ざめてしまった。冗談抜きで。
そして今日。2階の連中が登下校してんのを見たことが無いことから恐らく学校に泊まり込んでる、と仮定した。ならば、さっそく翌日にでもそれを決行しようと学校に行くつもりではいたのだが、、、授業まで受けるつもりは無かったわけで。それらとってもめんどくさいわけで。とか考えてるとミーちゃんが口を開いた。
「で?結局学校どうするの?行くの?行かないの?」
しばし逡巡した後、俺も口を開いた。
「今日は、学校行くよ。昨日まで心配かけて悪かった。」
そう言うと、ミーちゃんは突然泣きだした。
「ん?あれ!?どーした!ミーちゃん!?」
「いや。前までは行かない、って言ってたなおちゃんが自分の意思で学校に行くって言うなんて、私、感動しちゃって・・・・・・!!」
ユーはミーの母さんですか!?と危うく叫びかけてしまった。だが、叫びかけてそこで止めたのはそれ以上の驚きがあったからだ。
「・・・・・・瞬翔?なんでここにいるんだ?」
「お前を迎えに来たんだが・・・・・・、その必要はなかったぽいな。」
「あぁ。放課後でいいのか?」
「そこ以外にタイミングないだろ。多分。」
そこから瞬翔が仲間になりたさそうにこちらを見ていたので3人で学校に行くことになった。
〜学校・教室〜
学校に着いたら博士がいた。教室に。
「なんでだよ!?」
「どうしたキミ?私の顔に何か付いているのか?」
いやいやいやいやいや。なんでだよ!?いやマジでさぁ!!でもって謎が多すぎたから、このくそイケメンを外に連れ出すことにした。瞬翔と一緒に。
「・・・・・・先生。少しお時間よろしいでしょうか?」
「何だ?ここじゃ駄目なのか?」
「駄目です。」
〜校舎裏〜
「で?どうした?」
「どうした?じゃねぇよ!!なんでアンタがいるんだよ!!!」
博士に説明を求めたのだが、しかし、答えを言ったのは博士ではなかった。
「それについては俺から説明しよう。今日の放課後に何をする?」
それはあの地獄絵図解決大作戦、略して獄・戦ひらがなにしたらごく・せんだ。どうでもいいな。まぁとにかく2階のアレの解決だ。だがしかし、
「いや、だからって博士を教師として入れる必要あるのか?」
「そしたら直樹は博士をずっと外に待機させておくのか?ヒドイ奴だなぁ・・・・・・」
「いや、まぁそうかもしんねぇけどよ。つか、どうやってコイツは教師のフリができるような舞台をつくれたんだ?」
「コイツが元々教免持ってて姉さんに頼んで1日教師させて下さい、って言ったらOKだった感じです。」
軽くね!?まぁでも今回ばかりはそちらの方が都合がよろしかろう。早速作戦会議でもしよう。と思っていたのだが
「お前ら。もう授業始まるぞ?」
と博士がぬかしやがったので、仕方なく教室に戻った。
〜霜月の10と5日14時・1F教室〜
「ーーーーさぁ、作戦を始めよう。」
、、、どこの何ライフ・何ゲームだよ。博士そのアニメ知ってる説あるな。意外だな。まぁそれはともかく作戦を始めようってのには賛成だな。ちゃっちゃか終わらせて日常に戻ろうか。
「・・・・・・直樹。本当にお前が行っても大丈夫なんだよな?」
「ほんの数分話するだけだろ?余裕だよ。」
行こうとしたら、これだ。茶々入れやがって。大丈夫だっての。そして俺と博士の2人で扉を開けて、地獄の中へ入りこんだ。
〜学校・2F教室〜
「はぁー、はっ、あはっ、あはは、あははははっ!!!!」
「えへへへへへへぇぇええー」
「グーサグーサグサー!!」
「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ!!!!」
「うふふふふふふふふっ!!」
依然として1週間前と変わらずまだ生徒同士の傷つけ合いは行われていた。生徒の中で無傷、無事な者はおらず、精神的にヤバい連中も多かった。
「ひっでぇな。よくお前数日休んだだけでまたここにこれたな。」
「まぁな。」
正直なところ、来たくなかったんだけど。ただそうは言っていられない。踏み込んだ以上、最後までやり遂げる必要、、、いや。義務がある。手筈通りに全てを終わらせよう。
「頁先生ですか?」
「そうだが。何か用かな?」
凄く人当たりの良さそうな眼鏡だった。眼鏡キャラばっかじゃねーか!!今回の登場人物の60%が眼鏡だぞ!?髪色が黒で短い髪がボサボサになっていて、スーツをビシッとこんな場で着ていた。いやいやいや。そんなことより早く台本通りに、、、
「こんな所で何をしているんですか?」
さてどう答えるか?と思っていたら予想の斜め上をきた。
「ふっ、ふふっ、ふはははははっーー!!!何をしているかってぇ!?見たままだよ!見たまま!!」
頭のネジの外れた奴だった。話が通じるかどうか雲行きが怪しくなってきやがったな。
「見たまま、というのが分からないのですが。」
「駄目だな。これだから1階の連中は駄目なんだ。が!何故2階まで来た?2階に何も無いのは周知の事実のはずだが!?そのアホさを称えて教えてやろうかぁん!?」
変なテンションだが、教えてくれるようだった。そして、変なポーズだったのをやめ、キメ顔でこう言い放った。
「暇つぶしだ。」
その言葉に俺は思考がフリーズした。しかし、それもほんの数秒の事で数秒後には頭の中を怒りで全て支配されていた。
「ふ、ざ、、けんなよ!!!テメェのそのクソみてぇな行動で一体何人の人間が傷ついたと思ってやがる!!この教室の中をしっかり見回てしてみろよ!!!!」
その俺の言葉通りに教室内をしっかりと見回した。しかし、コイツはこれを見ても
「傷ついてる人間?そんなものどこにも見受けられないが?」
何も感じないようだった。このクソ野郎をぶん殴ろうかと思ったが博士が俺の肩に手を置いて冷静を取り戻させてくれた。そして、
「(予定を少し早めてチェーンを出すが・・・・・・いいか?)」
小声でそう確認をとってきた。だから、即答してやった。
「あぁ。早くしろ。」
と。催促する方向で。
「なぁ。頁先生よ。私が今腕に巻いてるもんって何に見えるよ?」
「はぁ?何も巻いてねぇだろ?何言ってんだお前?頭おかしいんじゃないのかぁ!?」
そう。今の博士の腕には何も巻きつかれていない。しかし、巻きつかれている。どういうことか。簡単な話だ。
「あれ?あぁ!すまんすまん!心が汚ぇクソ野郎には見えねぇようになる魔法かけてんだったわ!今それといて・・・・・・っと。これで見えるかなー?」
「凄いな。見えるようになった。鎖が巻き付かれているな。だが、貴様聞き逃せないこと言ったな。心が汚いクソ野郎には見えない魔法だと?それはつまり俺が心が汚いクソ野郎だと言いたいのか?」
「その通り。よく理解してるじゃねぇか。」
「ふざけるなよ部外者風情が。」
実際にはそんな魔法などない、、、と思う。異世界の常識なんか知らんし。ただ、見えるようになったカラクリについては、あの鎖には自由に視認できるできないのオン/オフの機能をつけているからである。具体的には光の屈折がどうこうとか言っていた。説明すると長くなるのでここでは割愛させていただく。
「それで?どうするって言うんだい?」
こんな状況でも未だに頁は余裕のすました態度で臆することなく俺らを見ていた。いや。アレは余裕のすました態度、というよりも静かに怒っているといった方が的を射ているかもしれない。
「コイツで貴様を拘束させてもらう。今日、16日だっけ?から、20日までな。」
何故20日なのだろうか、と聞いたりはしない。気持ち的にそんな余裕もないし。そして、博士は続けて言った。
「貴様の犯した罪は決して許さない。神々は貴様のその所業を許さないだろう。」
そう言うと鎖を巻き付けている方の腕、つまりは左腕を手を方のあたりまで上げて体の後ろまで持ってきた。そしてその直後に腕をそのまま前の方に振った。腰を軸にラリアットでもした、と想像してくれた方が存外分かりやすいかもしれない。
博士が腕を振り切ったら鎖がまるで意思を持った蛇のような動きで真っ直ぐに頁のもとに向かっていって、全身を拘束した。辛うじて拘束されていないのは胸板より上(首は除く)といったところだろうか。
流石に頁もこうくるとは思っていなかったのだろう。さっきの静かな怒りという表情の皮が剥がれつつあり、同時に焦りが浮かべ始めている。そして表情だけでなく、声にまで焦
りが現れ始めていた。
「ふざけるなよ・・・・・・こんなことしてテメェらどうなるのか分かってんのかぁ!?あぁ!!?」
「その台詞・・・・・・・・・そっくりそのまま返してやるよ!!!!」
長らく口を閉ざしていた人間が急に叫んで驚いたのか頁の体が少しはねたのが分かった。
「何の罪もねぇ生徒達に殺し合い紛いな事させてそんなことして何故かと聞いたら暇つぶしです、ってふざけんなよ!!流石に俺ももう我慢の限界だよ!!!」
ここで俺は一旦言葉を区切り、もう一度冷静に喋りだす。
「青山先生から聞いたぞ。テメェの調子がおかしくなった3ヶ月前までは生徒間での評判が凄く良かったんだってな。それが今どうしてこうなったのか。俺には知る手段が無ぇから、聞かねぇ。言ってくれるんならそれに越した事はねぇが・・・・・・言う気が無ぇんなら言わなくていい。ただな。どんなことがあろうと自分のことを慕ってくれた生徒にこんなことさせていいなんてことにだけはならない。絶対、絶対にだ。」
本来であれば博士が奴を拘束した時点で奴はチャックメイトだったのだが、奴を許せない俺がいて。どうしてもこういう言葉をかけてしまった。すると奴はポツリポツリと事の顚末について話し出してくれた。
「貴様の・・・・・・貴様の言う通りだ。何があってもこんな事しちゃあいけない。ただ。奴に全て壊されてからどうしようかと、迷った結果がこれだ。」
「奴・・・ってのは誰のことだ。」
「紫眼の神・ロキだ。」
その瞬間。息が、詰まった。呼吸ができなくなった。俺に新しい世界を見せてくれたアイツがコレの真犯人ってこと、、、なのか?奴は、、、ロキは俺の性格を完全に把握してミーちゃんに学力を設定した。そう。俺の性格を完全に把握して、だ。なら俺の性格的に2階に来るであろうことは容易に想像がつく筈だ。つまり。これは。俺の為に最初から仕組まれていた事件だったっていうのかーーーー!!!?
いや。有り得ない。もしも頁が嘘をついていないのならば、ロキは3ヶ月前からセッティングしていたことになる、がロキはそんなことしないだろう。多分それこそ「暇つぶし」かもしれない。
、、、!!!違う!よく考えるんだ!!ミーちゃんの学力を設定しようってのは小学1年の時から改変する必要がある。俺も使って!11年も前から!だが、アイツは俺を使わずに11年も前からセッティングなんてしていない!それらしいことをしていたのは
「入る前の、1時間のときか・・・・・・!!!」
ならその時にこれも作っていてもおかしくはない。奴は1時間もあれば過去から世界を作り替えることが出来るのか!!
だとしても。何故こんなことをしたのか、という疑問へと最終的に行き着く。何の問題も解決しちゃいない。差し当っては、
「博士。手筈通り、奴を牢屋の中にぶち込んどいてくれ。」
alívioは事件が全く無いことで知られているらしい。だからなのか、刑務所の類が一切無かった。刑務所が無いのはいいことなのだが、コイツを拘束しておく場所が無いのはマズイということで急遽博士のラボの地下に作ったのが簡易的な牢屋。台本ではコイツをそ
こに入れて、神議にかけてハッピーエンド。って予定だったのだが。
「それはいいが。お前は今からどうするんだ?」
「調べたいことと整理したいことがあるからな。それを家に帰ってやろうと思う。」
「俺の手助けをいらないのか?」
「行き詰まったら、頼む。」
そうして俺はこの教室をあとにした。
〜事件解決後21時過ぎ・ラボ客間〜
「で?上手くいったんだよな?動機はなんだったんだ?」
と青山が尋ねてきた。青山が知らないのも無理はない。何せ青山は俺らが作戦を遂行してる時、コイツ1人で1階の見張りを行っていたからだ。
動機について教えようとしたがよくよく考えると奴の動機を説明出来るほどちゃんとは聞いていなかったから、説明しようとして口を開けたが結局説明できずに口を閉ざしたが何か言おうと思って口を開けたが結局何も言うことが無くて口を閉ざしてしまい、その様子はさながらエサを与えられた魚のようだった。
「お前ら2人とも知らんよな?俺がさっき洗いざらい聞いておいたから教えてやるよ。」
そう言って語り出してくれた。
〜事件解決直後・ラボ地下牢屋〜
「それで?さっきロキが何かした、とは聞いたが、詳しくは聞いていない。もう少し詳しい説明を貰えるだろうか?」
「あぁ。俺には素敵な嫁さんと可愛い子どもがいたんだ。いつも笑顔が絶えなくて幸せな家庭だった。そして、さっき片目野郎が言ってたみてぇに生徒からも好かれていた。そんな日々がずっと続くと、そう思っていた。だが、現実はそうさせまい、と言うかのように幸せな日々俺から奪っていったんだ。それが3ヶ月前のときのことだ。紫眼の神は夕食中に律儀に表からノックしてきたんだ。誰かと思って純粋な好奇心から子ども・・・・・・唯って言うんだがな、唯が開けちまったんだよ。最初に。そしたら、何が聞こえてきたと思う?悲鳴だよ。唯のな。どうしたんだと思ってな。俺も嫁さんも急いで玄関まで駆けつけたよ。リビングが2階にあって、玄関は1階にあったからな。少し距離があったんだ。んで、着いたときには唯はもう、この世にはいなかった。俺は立ち向かったよ。無謀にもな。殴りかかろうとしたんだが・・・・・・奴は俺に目もくれず嫁さんを殺しにかかったんだよ。文字通りな。一瞬だった。たった一瞬で全て失ってしまった。奴はその後直ぐにどこかに去っていったよ。俺だけ残してな。そこから数日は立ち直れなかった。ずっと部屋にこもって・・・・・・死のうと、嫁さん達のところに行こうとも、したさ。だが、俺にはまだ生徒達がいると、俺のことを待ってくれている生徒達がいると、そういう風に同僚に聞いてな。何日・・・・・・いや、何週間かぶりに学校に行ったんだ。みんな優しくしてくれた。みんなはそうした方がいいと思ったんだろうな。だが、優しくしてくれる、話しかけてくれているようでどこか言葉に悪意を感じる、トゲがある、直ぐに気づいたさ。嫌でもな。またもや俺は引きこもろうと、そう思ったんだがな。窓を蹴破って教室に入り込んできた神様がまた登場したんだよ。あの時の無念、、、!!と思って、殴りかかったよ。小指1本で全力パンチを防がれた時は泣きそうになった。そして、奴はまた俺の大事なものを壊しにかかった。俺の大事な大事な生徒達さえも殺しやがったんだぜ奴はよ。そちらも2人・・・・・・殺されてしまった。その時に頭のネジが飛んじまったんだろうな。俺は神様が支配しているこの世界で悪事を働かすことで奴に対しての報復にでもなる、なんて思ったんだろうな。・・・・・・実際には奴が自分で自分の世界の住人を殺していた時点でこの世界に対して別段何の感情も抱いていない、ということに気付いておくべきだったのだろうが、その時の俺はもう普通の考えなんてもんが頭に無かったんだよなぁ・・・・・・。そして、今に至る、と言ったところだな。」
〜21時過ぎ・ラボ客間〜
「なるほど。奴にはそんな過去があったのか。だったとしても生徒同士で刺し合いなんてさせるかねぇ?」
と、青山が疑問を持っていた。頁に対してだ。だが、この話においての着眼点はそこじゃないはずだ。この話においての着眼点は
「そもそもなんでロキはそんなことをしたんだ?」
ここなはずだ。そこについては博士も同じ考えに至ったらしく
「やっぱりそこが気になるよな。俺もそこが全く分からないでいるんだよな。」
という言葉をいただけた。結局何がしたいのだろうかあの神様は。本当に答えが全く分からない。これをマンガとかアニメだと思って考えてみようか?俺を主人公だと仮定するとしよう。主人公が神様に試練とでも呼ぶべき行為をかせられている状況、、、何か特殊能力が発現するって感じの展開か?そして、人を殺してまで俺を特殊能力に、、、間違えた。俺じゃねぇ主人公だ。あれ?主人公って俺じゃね?いや、まぁどうでもいいや。とにかく、そこまでして目覚めさせようとしている特殊能力ってことは世界に絶大な影響を与えるものじゃねぇのか?でそれを使ってロキが世界を支配しようして結局失敗する展開だよな、、、。なるほど。もし本当にこの通りにしようとしてるんだったら俺には特殊能力があるのか(歓喜)。
「まぁいいや。それに関しては俺の方で調べおくからもうお前ら帰ったらどうだ?特に青山。お前は22時以降に帰したらお前のところの姉が怖いからな。頼むから帰ってくれ。」
そんなに怖いのか青山先生は、、、。ってかこうやって強引に帰そうとしているってことは実は何か知ってることがあってそれを俺にいう為なのではないのだろうか?だとしたら俺もコイツを帰す権利があると同時に義務がある。
「そういえばお前明日デートするんじゃなかったか?明日の為にとっとと帰れよ。」
「な・・・・・・!!で、デートとか言うのやめろよ!」
「いや事実じゃねぇかよ。なんで照れてんだよ。」
「いや事実だけどさ!?いや、ま。それは置いといてもう眠いから帰るよ。今日はお疲れ。またな。」
絶対アイツ明日に備える為に帰っただろ。いやツッコまないけどね?しかし、これでようやく本題に入れる。
「博士。前にロキは俺を召喚したせいで神議にかけられる、って言ってたよな?それって裁判みたいなものって認識でいいんだよな?」
「そうだな。キミらの世界で言うところの裁判というものだ。まぁ、司法だけじゃなくて神議は立法と行政も担ってるんだがな。」
えぇーーーー。独裁政治ですやんそれぇーーーー。まぁ仕方ないといえば仕方ないのか?人間だけの世界じゃない。神様が祀られるだけの存在じゃなくてちゃんと一般の人達にも認識されている世界だからな。う、うん。仕方ない仕方ない。
「それで、だ。裁判にかけられるってことは罪を犯したっとことだ。裁判にかけられてまでロキが俺をよぶ理由ってなんだ?アンタ、本当は知ってるんじゃないのか?」
その俺の問いに博士はかなり考えこんだ顔をした。そして、何も言わずに博士は立ち上がり、ラボの2階へと向かって行った。
〜22時前・ラボ2階〜
「おい。おいってば!待てよ!どこに行くんだ!?」
隠し扉、隠し通路、トラップ、コード25桁のアルファベットのロック、、、と、色々な難所を越えて(主に答えを知ってる博士が)ようやくとある一室に辿り着いた。そこは
「書斎?」
縦横高さがそれぞれ3mになるかならないかと言った狭い正方形の空間には壁一面に本がビッシリと入れこまれていた。よく見ると背表紙にしっかりとタイトルが書いてあった。そこには『計算について』や『確率論について』などおなじみのものから『素粒子論について』、『音素論について』などの専門的なものもあった。その辺は流石、博士と言われるだけのことはあるんだなと思った。そして色々見ているうちに1つのタイトルで目が止まった。
『最終戦争について』
北欧の神、フレイの存在やロキがいた時点でなんとなく予想はしていたがやはりこの世界にも最終戦争はある、正確にはあったらしい。
「なぁ、博士。これ借りてってもいいか?」
「あぁ。元々それ貸すつもりで連れてきたからな。」
つまりこれに奴の目的のヒントがあるってことか?過去の大戦で何があったんだ?まぁ考えても仕方ない。早いとこ家に帰って読もう。そういえば
「帰りもあの面倒くさい道通って帰んの?」
「いや?そんなわけないじゃん。」
そう言ってずっと入り口に立ってた博士だったが、入り口の入ってすぐ左側の本棚に真っ直ぐ向かって行き、下から4段目のところの本を5、6冊ぐらいごっそり抜き取った。すると、20センチ四方の小さなスライドドア(いやあのサイズなら窓と呼ぶべきか)が出てきた。博士は迷わずソイツをスライドさせ、中にあるものを取り出した。そこに入っていたものはボタンだった。自爆とかする時によく見るヤツ、、、そんなモンよく見てたまるか。
「で?それ何だよ?」
俺が尋ねても博士は一言も言葉を発してくれなかった。それに、眼鏡のフレームのせいで目がよく見えず必然的に表情も分からなかった。数秒の躊躇い?のあと、意を決したのか。博士はそのボタンを押した。すると不思議なことに俺のいた場所の地面だけが消えて下へ下へと落ちていった。この浮遊感、景色には覚えがある。この世界に入る時に味わった
「ロキと同じやつかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!!」
俺は深く深くまで落ちていった。1冊の本と共に。