#4 「詳細」
博士のラボの前まで着いた。なんか凄い、丸くて、ちっちゃい東京ドームみたいな感じだ。え?道中?残念!全カットでぇ~す!だって、別段報告するようなところやイベントも無かったしねー。、、、報告って誰にすんだろ?
「博士ー?お邪魔しまーす」
彼女が先に入ってくれた。いやホントありがたい。マジで。
「あ?今日も来たのか」
「えへへー、来ちゃいましたー」
おさなちゃん(幼なじみだからおさなちゃん)はえへへと言いつつ頭を掻きながら博士と談笑し始めた。
対する博士はー、と、、、なんだアイツすげーイケメンじゃねーか!しかも博士っていうから某探偵漫画の博士ばりに老けてると思ったら全然若いし。博士の説明はいらんだろ。
なに?説明いるって?あー眼鏡かけてる。以上!!
「あれ?そういえばマユミちゃんはもうそろそろ帰った方がいいんじゃない?明日学校あるだよね?」
「あっ!そうだね宿題も、終わって、ないし、、、」
ズーンと言う効果音でも聞こえてきそうだった。ホントに落ち込んでるなぁ、これ。
「じゃ、じゃあ!なおちゃんも一緒に帰ろうよ!」
「いや。直樹くんとは少し話がある。悪いけど今日はマユミちゃん1人で帰ってくれるかな?」
知ってそうだな、この人。俺もこの人に習ってマユミちゃんを帰してとっととハムたろ、、、じゃないとっとと話を聞こう。
「だ、そうだ。俺も後でなるべく早く行くから先帰っててくれ」
「むー。分かった、はやくね!」
取り敢えずは納得してくれたみたいだな。良かった。
「じゃーねー博士ー!」
「バイバイ。マユミちゃん」
畜生。イケメンはやっぱ微笑んだらふつくしいな。死ね!イケメン死ね!
「さて、マユミちゃんも帰ったし、本題に入ろうか。見たとこ君は何も知らないっぽいけど、、、」
「知らないっぽいじゃなくて何にも知らないし、分かんないですよ。あの子のこととか」
「もしかして、ロキに、連れてこられた、、、のかな?」
何故それを!?いや、博士っていうんだからその辺も調べてたりするのかね?あれ?ってか今の言い方だと、、、
「普通にロキじゃ連れてくるんじゃないんですか?ロキの他にも神様がいるってことですか?それ?」
「うん。そうだね。この世界には神様が12人、、、人で言い方であってんのかな?神様の数え方って。まぁ12人いる」
12、、、12進法、十二支、12使徒、、、12っていったら色々あるな。関係あったりするんかね?
「ロキに連れてこられたんじゃ殆ど何にも知らないよねぇ?何か知りたいこととか気になってることとかある?」
知ーらないっ!知らない!俺ッは何も知らない!おっと違う違う。知らない知らない言うからついつい頭の中にとある曲が流れちまったじゃねぇか!責任取れバァァァァカ!
、、、そのバカに早く聞かなきゃな。
「俺のこの世界での評判、立ち位置、この世界についての詳細、この世界の世界名、この世界に連れてこられる条件について。洗いざらい全部教えろ」
そう。結局ロキは条件について説明するとか言っておきながら何の説明もしてくれなかったのだ。
「分かった。全て教えよう」
そして宣言通り全て教えてくれた。博士 優しい イケメン!
・この世界でも狩屋は高校に通っている。
・狩屋は1人暮らしをしている。
・目の下にクマがあるのが原因で周りから怖がられてる(一部除く)
・狩屋は赤井マユミ(幼なじみ)のことをミーちゃんと呼んでいる。
・ちなみにミーちゃんは高校2年生である。
・この世界は凄く田舎である。(雛見沢並)
・この世界の世界名は『alívio』であるということ。
・この世界に呼ばれる条件は、頭が良い、頭の回転が早い、友達がいない、16~18歳(高校生)である、現実に少なからず失望、絶望を抱いている。
alívio、、、そうか。安心、安堵、自由化、か。でもなんでわざわざスペイン語なんだ
「ありがとう。大体分かった」
「そうか、良かった。本来であれば、ロキじゃなくてフレイちゃんが正当な手順を踏んでこっちの世界に呼び出すんだけどな」
「フレイちゃん?」
これまた北欧神話の神様で、勝利の神、だったはずだ。フレイもいるのか。ってことはフレイヤちゃんもいるのかな!?いるよね!?いるんだよね!?
「各世界ごとに担当してる神がいてね。ここalívioだと、フレイちゃんが担当になってるんだよ」
「各世界ごとってことになると神様は6人しかいない計算になるけど?」
普通ならそうなるはずだ。ロキの奴にも担当とかあんのかな。あるとしたらFっぽいな。Fとここのことしか言ってなかったし。
「いや、まぁ、そのなんだ、、、あれだ補佐役だ」
「? ふーん?」
どうにも歯切れの悪い答えだった。何か裏がありそうだな。ただまぁ、それなら人数的な辻褄は合う。
「まぁもう取り敢えず今日はもう帰った方がいい。マユミちゃんも待ってるだろうし」
「そう、ですね。今日はもう帰ります。ありがとうございました。また来ます」
「おう。気をつけて帰れよ~」
空も朱に染まり始めたこの世界をまっすぐに歩き始めた俺の背中にそんな声が聞こえてきた。