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Another  world.s  作者: 霜月 マイ
異世界突入編
1/14

#1 「狩矢」

頑張って書いてみました。是非、読んでいってみてください!!

狩矢直樹(かりやなおき)。17歳、全国模試2位、友達0のぼっち野郎」



「そして」



「この世界に絶望している」



「・・・・・・コイツがいいな」





 狩矢直樹。17歳。黒目黒髪の(目の下にクマがある)至って普通の高校生3年生である。

全国模試2位、スポーツ万能、母子家庭、親しい友人が1人もいない、という物凄い点を除いたら、だが。


 今は秋の終わり頃、11月に入り肌寒い季節であり、今年ももう終わりか、と呟く連中が出てくる季節でもある。しかし、友達0の彼はそんなこと話す友人もおらず、完全受験モードに入っていた。可哀想っちゃ可哀想な奴である。


 基本狩矢は所謂ぼっちと呼ばれる人種である。自他共に認める、なんていう表現を使うのが1番しっくりくるだろう。それほどまでに彼は孤立しきっているし、周りもまた孤立させている。だから彼は常に1人であった。幼い頃から今まで、生まれてから17年(もうすぐで18だが)、人の温もり、というものにふれたことが無かった。


そして今は学校から家に帰る途中だった。狩矢の親は最低限のお金しか彼に投資してくれない。なので高校に行くだけのお金はだしてくれるのだがそれ以上はだしてはくれない。それ以下をだしたりもしないが。だから、彼はセンター試験前だというのに塾に通えないし、参考書も買ってもらえない。だから高校の教科書だけ受験勉強を行うしかない。ただそれだけだと限度があるので教師を頼って放課後まで補習をしていた、というところだった。だから帰宅部のクセに7時が帰宅時間とかになってしまっている。


「はぁ・・・・・・」


嘆息の聞こえる音がした。それもそうだろう。世間がこんなにも彼に冷たいのだから、仕方ないといえば仕方ない。そんな後ろめいた思考を振り払おうと彼は好物の缶コーヒーを買おうとしてポケットを探ってそこで初めて気づいた。


「あ。・・・・・・そういや今月の小遣いもう無いのか。」


彼は色々な事情がありまくった結果、山小屋暮らしである。つまりは親元放れて一人暮らしである。なので色んなところの出費を自分で何とかしないといけないが彼はまだ高校生なので働くことが出来ない(彼の高校はバイト禁止である)。したがって必然的に親からの助けをもらうしかない。だから毎月小遣い(5000円)を貰っている。

一人暮らしをしている高校生の貰うお小遣いにしてはかなり少ない部類に入るだろう。どう使っているかというと飲み物代に1000円程。残りの4000円はアニメ代である。彼は重度のアニオタだったりもする。食事については先程述べたように山暮らしなのでそこらじゅうに食料が転がっているので素手で仕留めて食糧問題については文字通り力技で何とかしているのだ。


そしてコーヒーを買うことが叶わなかった自動販売機から歩き始めること30分と少し程。狩矢の住んでいる山の入り口へと到着した。学校からだと約40分といった距離である。そして更にそこから5分程かけて山の深みへと進んでいくとそこに1点だけポツンと、開けた空間があった。周りは物凄い量の木で覆われているというのに、その直径7m程のエリアのみ完全に木が伐採されきっていた。その円形の中心には明らかに手作りにしか見えない木小屋があった。寝床と教科書入れと調理具等しか置いていない凄く小さい二階建ての木小屋である。ちなみに二階部分に寝床だけある。四角錐を想像していただければそれがもう狩矢の家と言っても差し支えない。そして当然手作りの木小屋に鍵なんて付いてるはずなどなく、普通に戸に手をかけようとして


「誰だ?」


彼の敏感な人感センサーによって背後にいる人物に気付いた。恐らく彼、、、もしくは軍人でもなければ気づけなかっただろう。それ程までに完璧な気配の消し方だった。掛け値無しに賞賛を送れるレベルだろう。そんな芸当を行える、どんな奴かと思って後ろを振り向いてみると


「ヤッホー(キラッ)狩矢直樹クン(キラッ)


「・・・・・・誰だ?」


 ☆まで自分で発音するふざけた野郎。予想の斜め上をいっていてビックリした。そのアホみたいな台詞の文面からアホっぽさがにじみ出まくっていた。


そんなふざけた口調を無視したとしても明らかに普通じゃない奴が、そこに立っていた。いや、立っているという表現には少々語弊があるかもしれない。何せ彼の足は暗くてちゃんとは見えないが数cm程浮いているように見受けられる。だから、正確には立っている、というよりかは浮いている、といった方がいいかもしれない。現実味がないが。


 それに浮いているのは身体だけでなく、その存在や外見も浮いていた。髪はボサボサになっており、腰までに達するほど長くまで伸びていて、紫の上にまばら青がかっている場所がある。目は両目とも紫で長身で細身。顔は整っていて、イケメンと呼ぶのにまさに相応しい見た目と身体をしているのだが、身につけている服が全部真っ黒のよれよれの服を着ている残念さが際立って浮いていた。


「僕の名前はロキって言うんだけど、、、聞いたことくらいあるよね?」


「あの北欧神話の・・・・・・?」


「そう!そのロキ!!たまに知らないっていう人とかもいてさー、困りもんだよ全く・・・・・・」


 なんか喋りはじめた。っていうかたまに知らないっていう人がいるって人の前に姿を出していることになるのではないのだろうか?よくもまぁ今までテレビとかに晒されなかったなぁとか思いつつ簡潔に狩矢は聞きたいことを聞いた。


「僕に、何か用ですか?」


正直聞きたいことはこれだけだし、早く明日の準備をして寝たいと考えていた。だから早く用事を済ませたいなー、ちゃっちゃか言ってくれないかなーと思っていたらかれがこちらを見つめながら


「端的に言おう。狩矢直樹。君は異世界に行ける条件を満たしてる。だから、僕の独断で君を異世界に連れていく。その為にこんなとこまできたんだ」


などと言い始めた。信じ難いことである。異世界なんてのはラノベとかアニメとかだけの話のはずなのに何で現実でそんなこと言われなきゃ、、、もしかして目の前にこの人は実は神じゃなくてタダのコスプレイヤーでドッキリでも仕掛けてんのか?という風に考え始めてしまった。ここで逃げてもいいが面白そうなので少しのってみることにした。


「異世界に、ですか?」


「そう。異世界に」


 即答だった。狩矢の背後にカンペでも用意されているのだろうか?と疑うレベルだ。どのくらいでドッキリ大成功のプレートがでてくるのかなー、と考えつつそれが出てくるには騙されなきゃいけないよなーと思い会話を続けた。


「何故僕が行かないといけなんですか?そもそも条件って一体何なんですか?」


「前者については、君が行かないと困るからで。条件ってのは」


 そこまで言った時。彼は一拍おいたあと。満面の笑みをうかべ。一言だけ。たった一言だけ言葉を発した。




「着いたら教える♡」




「へ?」


 そんな言葉が聞こえたその刹那。彼を中心にして半径3mといったところだろうか。その円型の部分だけ地面が無くなっていた。


「ああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!???」


 回りは全て真っ暗で上をまっすぐ見上げると元の世界が遠のいていった。既に元の世界と考えてしまっているのは何故だろうか。


(ふざけんな!俺の知ってる異世界召喚は落下は落下でも異世界の上空からのスタートだぞ!?こんな真っ暗闇スタートなんぞ真っ平ごめんなんだが!!?)


「下見てみなよ」


 スゴイいい笑顔で言ってきたのでいい加減ぶん殴ってやろうかとも思ったが、、、下を見た瞬間、思考がフリーズした。そこにだけ光があったからだ。


「何!?あそこが異世界か!?」


「あっはっはっはっは!!違う違うあれは僕の部屋だよ」


 本っ当に、楽しそうに、横にいる彼は、屈託のない笑みでそう言った。そして少し考えてみるとこの発言は謎である。この暗闇を越えれば異世界なんてを果たす、と考えるとこの暗闇は元の世界と異世界の狭間だろう。そうすると彼の部屋はその狭間にあることになるからかなり謎である。ともあれ今の狩矢にはそんなことはどうでもよく


「お前の部屋なんかで何すんだよ!?」


勢いよくそう叫んでいた。


ロキとは違って狩矢の方はもの凄く焦っていた。それもその筈。ロキの方は神様だから大丈夫なのだろうが、狩矢は正真正銘生身の人間である。この速度で地面に打ちつけられればまず異世界に行く前に神様の部屋なんぞで死んでしまう。そう思ったからだ。まぁ、それを抜きにしても暗闇の中を落下していくというのは中々に恐いものであるからそのせいで焦ってたりするのかもしれないが。


「マジで何すんの!?」


「着いたら話すってば」


ロキは先程からそんな感じで教えてくれない。そしてそれに対して彼は当然のことを口にした。


「着いたら俺死ぬってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

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