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若い頃

『貴方の生きる意味はなんですか?』


俺は何の為に生まれたのか?

それが分からなくなってきた。

どこかのお偉いさんは言う。


『何か意味があるんだよ。悩まず生きろ。』


俺は、そんなアドバイスをいらん世話と呼んでいる。

決して口に出すわけじゃない。

こう見えて年上には配慮をする方だから。

それでも鼻で笑う仕草くらいはするかな。


俺は、年配者を敬う気持ちはあるが年配者特有のアレが許せない。


『若いうちは失敗しなさい!』


言われんでもするわ!

責任を取るのは俺自身だろ?

貴方達の意見は有難く頂戴します。

ですが、半分棺桶に足を突っ込んでる守りに入った男に何も習うことはない。

黙って次世代の応援でもしてなさい。


『最近の若者は根性がない』


???

全くもって根拠がない。

石の上にも三年???


何言ってるの?


定年退職にしがみついてる大人に言われたくない。

熟年離婚?

俺は大賛成だね!

牙の折れた男に女は付いて行く必要はない。

しっかり、退職金を貰って新しい人生を歩めばいい。

介護なんて親だけで充分だ!

所詮自分の事しか考えてない旦那は赤の他人。

情で生きるのは悪くはないが、そこではない!

もっと周りに目を向ければ世界は広いと気づくだろう。


俺は小学生の時にイジメにあった。

誰一人として守ってくれなかった。

いや、気づいてくれなかった。


靴を隠された時は、間違えたフリをして上履きで帰った。

もちろん母親には怒られる。

でも、イジメにあっているのがバレるより10倍良かった。

それからイジメはエスカレートして、小学生の頃は地獄だった。

家にも学校にも俺の居場所はなかった。


中学で非行に走り、俺は殻にこもった。

自分が弱いのは百も承知だ。

でも、誰かに手を差し伸べてもらいたかった。

その頃から、俺は世の中を色眼鏡で見るようになった。


そのまま高校に上がり、不良高と言われる学部に入った。

それなりに楽しかったが、誰一人として俺の事が理解できる先生がいなかった。


さらに俺は荒れた。

学年一の問題児と言われるまでになった。

別に不良になった訳じゃない。

タバコは吸うが、シンナーは吸わない。

原付は乗るが、単車は乗らない。免許がないから。

上履きも履く、ゴミも分別する。

パーマも当てる。剛毛だから思うような髪型にはならないけど、それで不機嫌にもならない。

なのに、先生は怒る。

高校一年の期末テストの日。

俺は遅刻もせずに教室にいた。

どうせビリになるのは分かっていたけど、受けないとダメだから受ける為に学校に来た。

ちなみに期末テストは5教科で150点くらいを

取っていた。

自慢じゃないが、数学はいつも90点以上取っている。残りの4教科がやる気が出ない。

それでも、決まり事だからテストは受けていた。

なのに、その日、先生は俺の髪型を見て


『ふざけた頭しやがって帰れ!』


と言ってきた。

俺は良く分からんかった。

でも、テストを受ける為に来たので帰りませんと言った。

そしたら、放課後、俺の親を呼んで三者面談をすると言いだした。


理解できないから俺は、目の前の答案用紙をビリビリに破いて、持っていたノートに退学届と書いて先生に渡して帰った。


次の日、先生から謝罪があった。


『頭ごなしに叱ってすまなかった。』


俺はますます分からなかった。

先生も間違っていないし、俺も間違ってるとは思っていなかった。

お互いの利害が一致しなかっただけの話だ。


今になって分かるのだが、学校には卒業率みたいなものがあって、退学とかは評価に響くらしい。

そのせいで、俺は高校を無事に卒業する羽目になった。

私立なので、親にも多額の迷惑を掛ける羽目になった。

幸い俺は大学には興味が無かったので進学はしなかった。

高3の冬に担任の先生に呼び出された。


『就職活動をしてくれ!』


『なぜ?』


『電気科で就職が決まってないのはお前一人だ。』


『だから?』


『だからって、就職しないと不安だろう?』


『なんで?』


『なんでって…』


こんな会話をした覚えがある。

今になって分かったのだが、高校には就職率と言うものがあるようだ。

これも学校の評価に関わるようだ。


その時に、ご丁寧に就職先を提示された。


トラック運転手、警備員、町工場…


別にバカにするつもりはない。

でも、プライベートと睡眠と仕事は、人生の三分の一に値する。

少なく見積もっても、50年は生きるだろう。

それを、やりたくもない事に人生を掛けるのは無意味な気がしてならなかった。


俺はふかふかの布団で寝たい。

なのに、先生はふかふかの布団はないから、とりあえずダンボールをひいて寝なさいだと。(ん?バカにしてるな…)


まあ兎に角、やりたい事がないので、このまま卒業させてくださいと言った。

確か、親も同じような事をゴチャゴチャ言っていたような気がした。

とりあえず仕事をしなさいって…


俺は、卒業した翌月、ふわふわの布団を売る会社に入った。

知り合いが人手が足らないから来ないかと言ってきたのだ。

良く分からんが、頑張ったら100万やると言われたので二つ返事で就職を決めた。


朝7時に会社に行って、まず掃除をした。

8時から朝礼が始まるのだが、えらいウルサイ朝礼だった。

各々がその日の目標を口に出す。

なんか野球部に似てる気がした。


『何が何でも契約取ってきます!一本取るまで帰ってきません!』


んー?

取れなかったら帰らないんだ。

それは自分への戒めなのかな?

まあどうでも良いけど、その言わされてる感なんとかしたら?


俺も毎日、決意表明を口に出した。

大きい声を出すのは得意だったので、とりあえず当たり障りがない事をいつも言っていた。

時折、部長が鬼の形相で灰皿を投げてくるんだけど、その意味が分からなくて、いつ殴り返してやろうかと思っていた。


でも、楽しかったな。


結局、1年くらいして、会社が傾きかけて、何やら色々と変な商材に手を出し始めた頃に退職した。

今もあるのかな…

今度、近くを通ったら見に行ってみよう。


それからパチンコ屋のバイトを始めた。

学もない何もない単なる20歳を簡単に採用してくれた。

しっかりシフトを組んで出勤したら22万くらいになった。

仕事は楽しかった。

スロットコーナーのジジババがウザかったけど。

ジャグラーと言う機種があるんだが、ランプが光ったら7を揃えるって言うバカでも出来るスロットだ。

なぜか目押しも出来ないジジババが占拠している。

呼び出しランプはコイン補充が原則なのだが、その当時のジジババは平気で目押しをスタッフに頼む。

イライラしながら俺は目押しをする。

自慢じゃないが、俺の目押しは天下一品だ。

未だかつて俺より目押しが上手い人間にあった事がない。

大花火のリプレイ外しをバー狙いで失敗などした事がない。

すまん、余談だな。


そんな俺にジャグラーの目押しなど、お茶の子さいさいで1秒で出来る。

しかし、これが良くなかった。

本来、ジジババはスタッフが来た時に一言二言と会話を楽しみたいのだ。


『○○さん、やっと光ったの?』


『そうなんよ〜、やっとじゃわ。ビッグで頼むよ〜。』


『頑張ります!それ!それ!それ!』


チャンチャカチャンチャンチャンチャン


『良かったね。ビッグだよ!』


『良かったわ〜』


みたいな感じだね。

俺の場合は以下。


スタスタスタ


『ほんまやっと光っ…』


ピッピッピ


チャンチャカチャンチャン


スタスタスタ


3ヶ月も経った頃、俺の評判は最悪だったね。

でも、そういう生き方しか出来ないんだから仕方ない。

嫌なら他に頼めば良い。

それは労働規約に書かれてないからね。


まあそんなこんなで悪く無かったけど、ここも一年で辞めた。


それから1ヶ月くらいパチンコばかりしていた。

なんであんなにハマったのか不思議だ。

結局、消費者金融に300万くらい借りたかな。

それから2年後くらいに債務整理?したんだがその話は今は良いか。


で、パチンコ屋を辞めて1ヶ月くらいした時に、新聞折込に教材の求人が入っていた。

たしか、某○○出版だったかな。


その時のキャッチフレーズが、真面目に頑張れば50万稼げます!みたいな感じだったから、迷わず応募した。


その時の面接は印象的だったな。

凄くイケメンの支店長が面接をしてくれたんだけど、ほとんどホストみたいな人だったな。


『自信あるの?』


『あります!布団売ってたんで。』


『ふーん。その自信潰しても良いんだけど、伸ばすのもありか…。うん、採用!』



みたいな感じですぐ決まった。

この時に、生まれて初めてゾクッとしたのを覚えてる。

まあここは3ヶ月で辞めたんだけどね。


それからも転々と仕事を変えたり、自分でフリーランスな働き方をしてみたり。


ここから、債務整理?するにあたる堕落の2年間に突入するんだけど、まあ30過ぎた今でも何も変わってないな。


少しずつでも成長してるのか?


それとも無駄な事をするのが人生なのか?


よくわからんな。

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