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短編

神界輪廻局人間部転生課

作者: RK

はしやすめ

 ここは神界。

 神々が集う場所。

 人間にとって神とは自分達の想像もつかないことをしているだろうと考えられているがそんなことはない。

 神とは人間が考え付いた存在であり、人間がいなければ存在を維持できない者たちである。

 扱える力は強大であるが、その力の大半を人間に左右されると言う実は吹けば飛ぶような儚い存在であるのが実際の神々である。

 そして、最近、新たな神達が生まれた。

 それは手違い転生神。

 人の輪廻を司る神々たちだ。

 彼らの仕事は死んだ魂を導き、新たな生命を生み出すこと…ではない。

 彼らの仕事は手違いで人を殺し、チート能力と言われる人外的な力を授けて異世界へと送り出すのが仕事である。


「ああ、忙しい忙しい。寿命が長くて屑人間を探すのって大変」

「よし、こいつの寿命はあと六十年あるな。おっと、こいつ仕事してんじゃん」

「無職童貞ニートとか探すの中々ハードだよな…」


 彼らの仕事はハードだ。

 なぜなら条件が色々と厳しいからである。

 何故かサバイバル知識や兵法、様々な知識に精通していながら無職童貞で廃人ゲーマーなんて人間そうそういない。

 最近ではブラック企業に勤めている人間でもいいのだがそれだと逆に条件に当てはまる人間が増える。

 だから候補には更なる条件が加えられるので見つけ出すのは至難である。


「お!」


 神の一人が叫ぶ。


「見つかったぞ!!」


 その瞬間、歓声が響き渡る。

 そうしていそいそと準備を始め、彼らはわざとらしくこう叫ぶ。


「おっと手が滑ったあ!!」

「資料を読み間違えちまったあ!」

「よく見たら名前が一文字違う奴だったあ!」

「あー!手違いで死んじまったなあ!やばいなあ!!」


 そうして嬉々として手違い(・ ・ ・)で殺す。

 そうしたら準備は完了だ。

 見つけた神が部屋を移動していかにも神ですという雰囲気を作りながら真面目な顔をする。



「ここは…」


 突然の事に戸惑う人間。

 その人間に神は告げる。


「私は神だ。君は手違いで死んでしまった。申し訳ない」


 そうしてアフターケアをして彼らの仕事は終わりである。

 人間が住んでいた別の世界に放り捨てると彼らの仕事は終わりである。

 彼らの仕事は、手違いで人を殺し、別の世界に送りつける。

 それだけだからだ。


「あー、俺らも他の神みたいにカッコよく戦ったり、勇者とイチャイチャしたりしてえなあ」

「そりゃ無理だ。だって俺達転生神だぜ」


 そうして彼らの仕事は今日も続く。

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