笑い
“バーカ。そんなことしてる場合じゃねーんだよ”
悪魔は僕に一言囁き、笑った。
僕が少女を見て思ったことはすべて脳内から飛んで行ってしまった。黒が、悪魔が、僕が、俺が、少女を、あいつを…
ケ・シ・サ・ル。
悪魔が僕を乗っ取った。悪魔が思ったことは僕が実行してしまい。僕が思ったことは悪魔がすべてを消し去ってしまう。悪魔に僕は抵抗しても無駄だった。悪魔が言っていた「説得」とはこのこと、僕のことを乗っ取ることだったのだ。
最悪だ。こんなことが起こるなんて、これが判って、判っていれば…。あのときに白を応援するべきだった。
この瞬間にも悪魔は…。
僕は、悪魔は、こっそり隠し持っていたらしい武器を持ち、笑いながら少女に近づいて行った。僕は止めることができないのか?これは僕の身体だ!悪魔の好き勝手には、好き勝手にはしてやらない!
抵抗を、抵抗だ、抵抗で、抵抗が、抵抗ぉー。
「止まれーっ!」
………止まらない。
悪魔は武器を振り被り、思い切り、
少女に…
最後に少女は、
彼女は…
ワラッテいた。
〈 ぐさり 〉
『…………。』
終わった。
僕はその場に倒れこんだ。
悪魔は、最後まで、そのときまで、
笑っていた。
“ありがとな、優秀な坊主”