交差
《登場人物》
徳永 真実(35) 警視庁刑事部捜査第一課警部
高山 朋美(30) 同 巡査部長
瀬戸 宗助(53) 東城大学教授
榊 祥子(32) 同大学准教授
宮崎 俊一(故人) 同大学准教授
向島 重幸(42) 向島ボード 店主
加藤 啓太(35) 警視庁刑事部鑑識課係長
―― 同日 午後5時過ぎ 某マンション ――
徳永と高山の二人は再び、榊の住むマンションに向かい、榊本人に話を聞きに行こうとしていた。
二人は、マンションの入口に入り、数字版に榊の部屋の番号である503と押して、インターホンを鳴らした。
「いますかね? 警部?」
「さぁ? どうだろうね」
インターホンが鳴り終わり、榊が出るのを待ったが反応はなかった。
「いませんね」
「出かけてるみたいだね」と徳永は奥の郵便受けの方を見つめる。丁度503のところには、郵便受けには、夕刊と手紙が入っているのが分かった。
「まさか、榊さん大学に行ったんでしょうかね?」
「さぁね、ただ分かるのは郵便受けに夕刊が入っているという事は、5時になる前に出かけているか、そのまま家にこもっているか……」と言いながら徳永は、外に出て歩き出した。
高山は徳永の跡を追いかける。
「警部? どうしたんですか?」
「いや、ちょっと……」
徳永はマンションの駐車場に向かい、一台一台ずつ停めてある車を見ていき、あるところで立ち止まった。
「高山君。見てごらんよ」と言われるがまま、徳永が指で示している所は一つの駐車レーンで、レーンのちょうど真ん中に大きく503と表示されている。
「これは、榊さんの専用の駐車スペースですね。車がないという事は……」
「うん。どうやら出かけているみたいだね」
高山は、レーンのコンクリートを見てみると、少し濡れているのがわかった。
「コンクリートが濡れてますね」
「うん。つまり車が出たのは、ちょっと前だってことだね。おそらく彼女は大学に向かったんだろう」
「大学ですか?」
徳永は、軽く頷いた。
「うん」
徳永は再び自分の車に向かって歩き出した。歩きながら高山に言った。
「高山君。榊さんは、大学の方に向かったはず」
「えっ? でも何で?」
「彼女も宮崎さんの死について解明しようと向かったのかもしれないね。急ごう。大学に……」
二人は大学に向かう為、車に乗り込んだ。
―― 同時刻 ――
榊は、自分の愛車を大学へと走らせていた。運転中ルームミラーに自分の顔が映るが、気にしない。榊は、瀬戸に宮崎の死について尋ねる為に愛車を走らせる。
【瀬戸先生が、何か知ってるはず! 俊一さんが死んだ理由を……】
第23話です。
復活しました。待たせて申し訳ないです。
話は続きます。




