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捜査協力=証拠提供

《登場人物》

 徳永 真実(35)  警視庁刑事部捜査第一課警部

 高山 朋美(30)      同 巡査部長

 瀬戸 宗助(53)   東城大学教授

 榊  祥子(32)   同大学准教授

 宮崎 俊一(故人)   同大学准教授

 向島 重幸(42)  向島ボード 店主

 加藤 啓太(35)  警視庁刑事部鑑識課係長

 ―― 向島ボード 午後3時前 ――



 高山は、向島ボードがある商店街のアーケードを歩いていた。そこでも相変わらずぶつぶつ独り言を言っている。

「警部、遅いんだよなぁ。電話してきた割には、『あとで向かうから!』 とか言っちゃってさ。結局は私が早いんでしょ」

 そんなこんなで高山が向島ボードの近くまで行くと、向島ボードの前で一人のスーツの男が立っているのが分かった。

「あ、あれは?」

 その男は徳永だった。徳永はこっちが向かっている事に気付き、高山に向かって手を振っている。

「遅いよ~高山君」

 高山は機嫌悪く徳永に反応した。

「遅いよ~じゃないですよ!! こっちは大変だったんですからね。朝、警視庁に行ったら、警部はいないわ。電話に出たらあなたの幼馴染みの鑑識課長さんが伝言残すし、それ伝えたの分かってます?」

「へっ? そうなの? ごめん。いや、こっちだって忙しいかったんだよ。分かってくれ」

「本当ですか?」

「ああ、今日、東城大学に行っていたからね」

「えっ?」と高山は徳永の行動に驚く。

 高山は徳永に詰め寄った。

「警部!! なんで連絡してくれなかったんですか!? すぐ向かったのに……」

 徳永は眉間にしわを寄せる。

「だって、君、いても言いたい事言えないし、だったらいない間に大学に行って訊きたいことを聞けばいいかなって思っちゃうわけだよ」




【この警部。本当に何を考えているんだろうか? もう私には分からないわ~】




 高山は何かを悟ったのか溜め息をついてから、徳永に一言だけ言った。

「お好きなようにしてください。でも単独行動は、管理官に、要注意扱いされますから気をつけたほうがいいですよ」

 向島ボードに高山は入っていく。

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。怖い事を言わないでくれよ。苦手なんだよね~あの管理官。一緒にいると自分のペースが乱れる感じがして」

 そう徳永は言うが、高山は聞く耳を持たずに店の中へと入って店主である向島を呼んだ。

「ちょっとごめんって~」と徳永は高山に謝りながら、店に入る。

 向島は、店内に入ってきた高山の声に応えた。

「はいは~い。今、行きますのでちょっと待ってくださいね。今、行きますから!!」

 向島は、奥の部屋から出てきて、声の主を確認して、二人に挨拶する。

「ああ、昨日の刑事さんじゃないですか。いらっしゃいませ。今日はどのような御用件で? まだご注文のチェス盤はできておりませんが?」

 徳永は、向島に今日来た目的を言おうとする。

「いえ、頼んでたチェス盤とは別の事です。実を言うと……」

 高山が徳永の説明に割り込んで説明した。

「瀬戸 宗助さんのチェス盤を、こちら警視庁刑事部捜査一課にお貸しいただけないでしょうか。こちら証拠物件押収の令状になります」

 高山は鞄から白い用紙を向島に見せた。

 徳永は高山に軽く笑みをこぼしている。

「よろしいですか?」

「ええ、よ、よろしいですが……」

 向島は令状を高山に見せられ、自分が置かれている状況にうまく飲み込めないまま、二人に承諾した。

「では、瀬戸 宗助さんのチェス盤を持ってきていただいてもよろしいですかね?」

「ええ、ちょ、ちょっと待ってくださいね。とってきますから」と言い、奥の倉庫から昨日と同じ箱を取りに向かう。

 徳永は待っている間に向島に聞こえないように、高山に訊いた。

「なんで君が、令状を持ってるの?」

 高山は、勝ち誇った顔で。

「準備したかいってもんがありましたよ。時間は結構かかってましたけどね」

「流石! 僕の部下だ」




【《僕》は余計だと思うけど……】





「ああ、これだ。これ。ちょっと待っててくださいね。随分と奥に片付けてしまっているな」

 ちょっと時間が掛かった後で、向島は大きめのダンボール箱を奥から持ってくる。

「これです。瀬戸先生のチェス盤。どうぞ」

「ありがとうございます! 助かります」と高山は向島に礼を言ってダンボール箱を受け取った。

 向島は徳永に訊く。

「あの、刑事さん。ちょっと訊きたいんですが……」

「何でしょう?」

「瀬戸先生は何をしたんでしょうか?」

 徳永はしかめっ面になりながら答えた。

「いえ、特に何も先生には捜査協力をしていただいておりましてね。これも先生の捜査協力です」

 向島は徳永の一言に瀬戸が置かれている状況について何かを悟った。

「そうですか。私も何かお力になれたら幸いです」

 徳永は高山の代わりに礼を言う。

「ありがとうございます。では、失礼します」

 徳永と高山は向島の店から出て行く。向島は、二人が出ていったあと、壁に飾られた写真を見つめている。

 その写真は、向島の父と瀬戸が肩を組んでいる写真だった。

第21話です。


今回からだんだんと終盤へと近づいてくる感じです。


ではよろしくお願いします。

ヘタクソが書いています。

超展開などご了承ください。


話は続きます。

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