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榊の証言

《登場人物》

 徳永 真実(35)  警視庁刑事部捜査第一課警部

 高山 朋美(30)      同 巡査部長

 瀬戸 宗助(53)   東城大学教授

 榊  祥子(32)   同大学准教授

 宮崎 俊一(故人)   同大学准教授

 向島 重幸(42)  向島ボード 店主

 加藤 啓太(35)  警視庁刑事部鑑識課係長

 同日  ―― 某マンション 503号室 ――



 徳永、高山の両名は、榊の自宅に入り、リビングの椅子に2人が座っていた。 対面側には榊が座っている。リビングは、天井の照明によって明るい部屋だが、沈黙が数分以上続き、暗いお通夜状態であった。

 沈黙を破るべく、高山は先陣を切った。

「今朝の事件について教えてもらってもよろしいですか?」

 榊は、外の夜景を見ている。高山の声は聞こえているようだが、沈黙を通してたまま。

 高山は再び、話してみた。

「宮崎さんの事はお気の毒でした」

 榊は高山の一言を聞いて、表情が一変する。

「彼は殺されたんです! 自殺なんかじゃない」

 いきなりの榊の態度に高山は戸惑う。

「えっ……。いや、私は……その……」

 焦る高山を差し置いて、徳永は榊に問う。

「どうして殺されたと?」

 榊は、一瞬戸惑った。

「どうして? って言われても……」

 徳永は榊に返した。

「では、訊き方を変えましょう。昨日、宮崎さんを最後に見たのは?」

「私が俊一さんを発見する前の日、瀬戸教授が俊一さんと話していたのは覚えているんですが、その後、私は帰っているので2人が何をしていたのかは分からないです」

 徳永と高山の両名がお互いの顔を見ている。




 【これは……】




 徳永は榊に視線を戻し、証言の確認を取った。

「本当に昨日ですか?」

 榊は淡々と答える。

「ええ、事件の前日です。私と俊一さん、瀬戸教授とゼミの学生を集めて次の研究テーマをどうするか話し合っていました。ちょうど終わったのが、7時前だったかな。学生達はすぐ出て行ったので、そのあと私も帰りました。最後に残っていたのが俊一さんと、瀬戸先生だけ。これは確かです」

 徳永は、榊の証言を黙って聞き、高山は榊の言っている事を手帳に書き続けていた。

 榊は続ける。今度は、宮崎の遺体を発見した事を対面側の2人に向けて話す。

「他の刑事さんにも話しましたが、私が大学の地下駐車場に向かって車を止めた事から始まったんです。車を停めて降りて自分の研究室に向かおうとした時に、俊一さんの車があったのを確認して……珍しかったんです。俊一さん、朝が苦手で」

 徳永は榊の話をつなげていく。

「それで、俊一さんの遺体を発見した。そうですね?」

 榊は首を縦に振った。

「なるほど」

 徳永は榊の顔を見て理解した。榊は、宮崎俊一という男を愛していたのだろう。榊の目から透明な涙が一滴、一滴と流れていた。

 何ともいえない思いが、刑事2人の心に直撃している。徳永は言う。

「榊さん。お伺いします。宮崎さんの自宅にチェスボードなどはありませんでした。宮崎さんが、チェスに嗜んでいることはありましたか?」

「いえ? 自宅に何度か行きましたけど、ボードゲームの類はなかったです。彼、ボードゲームをする様な人ではなかったです」

「嘘はついていないみたいですね」と高山が耳打ちをする。徳永は小さく高山を注意した。

「高山君。声のトーンを下げて、耳がこそばい」

「あっ、すいません」

 徳永は榊に言う。

「榊さんは、宮崎さんを愛していたんですね」

 榊は、一瞬、戸惑った。

「ど、どういうことですか?」

「奥の写真立て、さっき私達が入る時、倒しましたね?」

「あ、いや。あれは……」

 徳永は榊に微笑を浮かばせながら、答える。

「大丈夫です。あなたを疑っているわけではありません。ただ、写真立てを倒したのはどうしてでしょう? それは、僕たちに宮崎さんとの秘密を知られたくなかったから、誰にも……違いませんか?」

 榊は黙って徳永の考えを聞いている。

 高山は、徳永と榊の二人が放つ異様な空気に焦りと不安、自分に対する疎外感を感じた。




【えっ、私だけ置いてけぼりですか? 勘弁して……】




 徳永は異様な空気を感じる。

「榊さん」

 榊は、ずっと徳永の目を見つめていた。丸眼鏡のレンズが綺麗に光っている。

「はい」

 徳永は一息、軽くすって、1つの答えを提示した。

「宮崎さんを愛していましたね?」

 部屋の空気は、温かい照明とは別にひんやりとした重く冷たい空気が三人を包みこむ。

 数分が経ち、榊が重い空気を打ち破った。

「あれは、今から7年前の事です。私が大学の講師となって入ってきた時に丁度、他の大学からやってきたのが、俊一さんでした。私は一目ぼれしてしまったんです。俊一さんは今まで優しくしてくれて、お互いが好きだったんです。5か月前に結婚の約束したんです。だけど……」

 徳永は、榊の話をずっと黙ったまま聞いていた。高山も手帳にメモするのをやめる。





 それから20分してから榊のマンションからあとにする。徳永と高山の二人は明日、東城大学に再び向かうことを決めた。

 もう一度、瀬戸宗助という男に会いに行く為に……

第17話です 話は続きます。



下手くそが書いてます。超展開はご了承ください。

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