昇る……刑事2人
《登場人物》
徳永 真実(35) 警視庁刑事部捜査第一課警部
高山 朋美(30) 同 巡査部長
瀬戸 宗助(53) 東城大学教授
榊 祥子(32) 同大学准教授
宮崎 俊一(故人) 同大学准教授
向島 重幸(42) 向島ボード 店主
加藤 啓太(35) 警視庁刑事部鑑識課係長
同日 ―― 7時 某マンション――
徳永と高山の両名は向島ボードをあとにして、榊の住んでいるマンションへと向かった。
徳永の愛車はエンジンの轟音を上げながら、榊が住んでいるマンションの駐車場にゆっくりバックして停め、車から降りた。
高山は、ここに来るまでの間にあまりの徳永の運転の荒さに乗り物酔いに遭ってしまい、助手席でダウンしてしまった。
徳永は、気分悪そうな高山を見てにこにこしながら、助手席のドアをコンコンと叩いた。
「もしも~し、大丈夫かい? ほら、着いたよ。早く行くよ!」
高山は、少しイラッとしながらも徳永に返す。
「そんなことぐらい分かってますよ! 警部の運転があまりにも荒すぎて……」
「あっはははっごめん。まぁ、これぐらいの事で、へこたれているのでは、今後この仕事きつくなっちゃうよ!」
高山はうんざりして助手席から出て、徳永をにらむ。
【くっそ!! このたこ焼き親父め!】
「もう少し、優しく運転してください!」
高山はそう言い、にこにこしている徳永を放ってマンションの入口に向かって行き、徳永は怒った高山の後を追いかけた。
「おい、ちょっと待てって」
「待ちません! さっさと行きますよ!」
「はいはい」
徳永は微笑みながら返した。
二人はマンションの入口の前に入り、榊の郵便受けを確認する。
「503みたいだね」
「そうですね」
高山は、入口前の数字板を押して、インターホンのボタンを押した。インターホンの独特な音が四角い空間で鳴り響く。鳴り響いた後で、ガチャと音が鳴った。
『はい。 榊です』
「今晩は。いきなりすいません。警視庁の徳永です」
「同じく高山です」
『刑事さんですか。今日の事件のことですか?』
「ええ、どうしても訊きたい事があって、宜しいですか?」
少々の沈黙が走った。
【やっぱり無理だよね。いきなりお仕掛けてこれって言うのは……】
『今、ドアを開けます待ってください』
榊はその一言を言って、インターホンを切った。
徳永と高山が二人が入口の前でちょっと待った。すると入口前のドアの鍵の音が鳴った。
「開けてくれたようだね。行こうか。高山君」
「はい」
二人は、ドアを引いて、中に入った。
徳永はエレベーターのボタンを押し、二人は榊の自宅である503号室を目指す。
「話してくれるんでしょうか?」と高山は徳永に訊いた。
徳永はその問いに少々、眉間にしわを寄せた。
「どうだろうね? いきなりだったし、話してくれないかもしれないね。でも、オートロックの玄関を開けてくれたんだ。おそらく話してくれるさ」
「そうですね。だといいですけど」
2人はエレベーターという機械の箱が5階に到達するまで待った。
徳永は丸メガネを外して、レンズに息を吹きかけ、専用のハンカチでレンズを拭いた。高山は自身の腕時計で時間を確認する。時間はデジタル数字で表記されていた。
《19:05》
【もう夜の7時なんだ】
そんなことを考えている内にエレベーターは5階に止まり、エレベーターのドアが開いた。
徳永は、丸メガネを掛け、「さぁ、行きますか」と高山に呟いて外へと出る。
「はい」
高山は、後ろを追う形で付いて行く。
徳永は、ドアに金メッキの飾りで<503>が付けられたドアの前で止まった。
「ここですね」
「うん。ここだね」
徳永は、インターホンを押した。すると榊は、インターホンのスピーカー越しに徳永に伝える。
『今、あけますね。ちょっと待ってくださいね』
「分かりました」
榊はインターホンをマイクを切って、玄関のドアを開けに行く。
徳永は微笑を絶やさず、高山はずっと腕時計を見て秒針が進むのを見ていた。
<503>のドアがガチャッと開き、開いた先には榊が立っていた。
「どうぞ」
徳永は、軽く会釈して中に入る。
「失礼します」
高山も同様に部屋へ入っていく。
「失礼します」
榊は、2人が中に入ったあと、ゆっくりとドアを閉めた。
第16話でございます。
下手くそが書いてます。超展開はご了承ください。
話は続きます。