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《BM》が示した一つの真実

《登場人物》

徳永 真実(35)  警視庁刑事部捜査第一課警部

高山 朋美(30)      同 巡査部長

瀬戸 宗助(53)  東城大学教授

榊  祥子(32)   同大学准教授

宮崎 俊一(故人)   同大学准教授

向島 重幸(42)  向島ボード 店主

加藤 啓太(35)  警視庁刑事部鑑識課係長

 同日   ――5時30分 商店街――




 刑事2人は向島の店を後にした。

「これでなんとなく真実に近づいてきた気がするよ」

「そうですね。どうしましょう?」

 徳永は携帯を取り出し、ボタンを押しながら話す。

「そうだな。だけど、逮捕できる要素が全部そろったわけではないからね。ちょっとごめん」

 携帯を耳に当てて、徳永は相手の通話が掛かるまで待っている。電話特有のダイヤル音を聞きながら待つ。2回ほどダイヤル音が鳴った後でガチャっと音が鳴った。



『はい。加藤』

 徳永の電話の相手は鑑識の加藤だった。

「僕だ。徳永だ。今、訊きたい事があって電話したんだが、いいか?」

 加藤は自分のデスクの椅子に座り、右手で携帯、左手でパソコンのキーボードを触っていた。

『嫌だ! ……って言ったらややこしくなるからな。なんだ?』

「宮崎さんが遺した黒のチェスなんだが、模様のにイニシャルで《BM》って彫られていないか確認してほしい」

『ああ、あの黒のナイトか。ちょっと待っとけ』

 加藤は携帯を通話中のまんま置いて立ち上がり、白い手袋をつけながら、宮崎の遺留品を置いている棚に向かい、棚からひとつの箱を取り出した。

 箱の側面に白い紙が貼られている。




   《宮崎 俊一 遺留品》




 箱を自身の机に運び加藤は箱から色々と密閉袋に入れてある遺品を自分のデスクに、一つずつ一つずつ並べていく。最後、中にあるものが密閉袋一個だけになり、加藤はそれを取り出して手に持った。密閉袋の中で黒のナイトが漆の光沢を帯びていた。

 純白な手袋を着けている手で加藤は、密閉袋の封を開けてナイトを取り出す。ナイトの周りをゆっくり回しながら徳永が言っていた《BM》というイニシャルが駒に彫られているか探す。

 周りをよく見てみると確かに《BM》が小さく彫られているのがよく分かる。一回、黒のナイトを密閉袋の中に戻し電話に戻った。



『もしもし。あったぞ。確かに小さくだが、綺麗に《BM》って彫られてたぜ』

 徳永は電話越しで深く息を吐き、加藤にある事を頼んだ。

「加藤……」

『なんだ?』

「《BM》の部分を写真で送ってくれないか?」

『分かった。ちょっと待っとけ。大事な案件になりそうだな』

「うるさい。はやくやってくれ」

『へーへー。写真を撮るから一度電話を切るぞ』

「ああ、ありがとうな」

 加藤は、携帯を一度切って再度、密閉袋から黒のナイトを取り出し、携帯のカメラ機能でイニシャルの部分を撮る。

 携帯の画面で写真のメールが来るのをただただ徳永は待つ。

 高山は、徳永の様子を見て不思議に思ったのか訊いてみた。

「警部。何をしてるんですか? 早くいきましょう!!」

「まぁ、待ってくれ。もう少しで加藤からくるんだ。写真を」

 すると、徳永の携帯から振動と徳永の趣味全開の着信音が鳴る。

「ほらね。写真が来た」

 徳永はメールを開けた。




 《メルマガ カラオケ DX》




 徳永と高山の間で、若干、涼しいとは言い難い、冷たい風が吹いている。

 2人は心のうちで同じ事を思った。



 【メルマガ……!?】




 徳永は、高山に苦笑いで返す。高山は顔をひきつらせながら徳永に突っ込んだ

「メルマガじゃないですか~!」

「えっ、あ、あれ~おかしいな~」

 ちょっとした後で、同じ着信音と振動が徳永の手の上で反応する。

「ほら、今度こそ加藤からだよ」

 メールの送り主名は加藤からだった。内容は写真だけ。

 遺留品である黒のナイトの側面に《BM》と彫られている部分が分かるように撮られた物だった。

 彼女も徳永の携帯の画面を見る。




 【確かにナイトの側面に《BM》と彫られてある】




「確かに、《BM》って彫られていますね」

「これで確実に分かった事があるね」

 徳永は携帯の画面を閉じる。

「宮崎さんは自宅にボードゲームの類はなかった。だけど、彼は自分のポケットにチェスの駒である黒のナイトを入れていた。そして今、瀬戸教授のチェス盤を確認してわかった。宮崎さんは、地下駐車場で死んではいない。研究室で死んだんだ」

 高山は黙ったまま徳永の言う事を聞いていた。徳永は続けた。

「ただ、どうやって宮崎さんは死んだのか? そこが気になる」

「えっ? それ簡単なことじゃないですか!」

 徳永は視線を高山のいる方へ向けた。巡査部長は思いついた事を言った。

「コーヒーカップの持ち手の周りに毒を塗っておいたんですよ。それで宮崎さんは咄嗟に指を舐めてしまい、付着していた毒を口につけてしまい、死んでしまった。どうです?」

 彼女は誇った顔をしながら徳永に視線を向けた。だが、警部の顔は高山の話を聞いて渋い顔になった。

 高山は、徳永の表情を見た。

「何か違った事でも?」

「ん? いや、君の考えとしてはよく分かる。でも、その殺し方はおかしいんだ。ナイトに付着した指紋とは別に、ほらあれが付着してたでしょ?」

 高山はちょっと戸惑いながらも遺留品の黒のナイトについて加藤が言っていた事を頭をフル回転させて、思い出そうとした。



 

 《黒いチェスに宮崎の指紋と微量のハンドクリームに使われる成分、それと致死量以上のシアン化カリウムが検出されたんだよ》




 徳永が言っていた別の物。たった今、高山は思い出した。

「あっ、ハンドクリーム!!」

 徳永は微笑を浮かべる。

「ご名答」

 徳永は続けた。

「これが一体どういう事に使われたのかを調べないとね。さぁて、宮崎さんについてよく知っている人のところに行こうか」

「えっ? また大学ですか?」

「いいや。違う所!」

 徳永は、愛車のある駐車場へ向かいながら、高山に聞こえる様につぶやいた。

「そういや、チェス盤……」

 徳永はそれを聞いて高山の耳に言葉を響かせる。

「えっ? 頼んだよ。あれ」




【ええっ!? いつの間に!!】

 



 高山は徳永がチェス盤を頼んでいた事について知る由もなく、いつ頼んだのかを詰問し、彼はその高山に微笑みを浮かべながら2人は駐車場に向かった。

第15話です。


今回は5話に登場してきた。 鑑識の加藤さんが登場します。



下手くそです。 超展開などはご了承ください。

読んでいただきありがとうございます。


話は続きます。

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