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1-5:穴掘りは計画的に

思いのほか間隔が開いてしまいました。

せめて一週間に1話は更新したいです!


村の名前を変更、ご指摘ありがとうございます。

誤字訂正、文章訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

ブラッドラブリーをラビットラブリーに訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

サイアスが王都へと辿り着き、エルフよりの密使として王宮へと辿り着きました。

そして、それからがまさに大騒ぎといった様相をあらわします。

サイアスが届けた手紙を読んだ遙が、宰相であるファリスの承認無しに王都駐留のブラッドラブリー騎士団へと非常召集を発動したためです。

そして、それを聞きつけたファリスが謁見の間にいる国王とサイアスへと怒鳴り込みに来ました。


「ハ~~ル~~カ~~あんた何さらしてんのよ!勝手にラビット召集なんかするな!」


謁見の間の扉を開けざま、大声で怒鳴ります。

しかし、目の前の情景にすぐに目を白黒させて黙り込みました。


「ファリスうるさい!いまそれどころじゃない!」


何時もとは違い謁見の間の中央に大きなテーブルを置き、真剣に地図を睨みながら遙はファリスを逆に怒鳴りつけました。

机の周りには、国王の遙、エルフのサイアス、ラビットラブリー騎士団のエリーティア、王都警邏隊のダグラム・シープドッグ、クマッタ騎士団のベイチェンといつの間にか錚々たるメンバーが揃って厳しい顔をしてイグリア周辺の地図を睨んでいます。


「あ、あの・・・何があったのですか?」


先ほどの勢いは何処へやら、ファリスは恐る恐る尋ねました。


「宰相、どうやらですが魔族が復活しているようです」


ダグラムの言葉に、ファリスの顔が更に歪みました。


「だ、誰の報告ですか?!」


「アルルだよ、予見も入ってるけどあたしもまず間違いないと判断したんだ。それで急いでラブリーを召集した」


遙の言葉に、唖然とした顔でかたまるファリスを他所に、遙が指示を次々に飛ばしました。


「エリーティア、早急に2フォースを南の村々の状況確認に送ってくれ。かならず最低でも2PT単位で行動させる事、決して油断しないように」


「はい、それでどのくらいのPTを想定されてますか?今ラビットでは王都にいる転移者はわたしを含め3名しかいませんが?」


「うん、やりたくはないけど転移者は抜きでお願い、勘としか言いようが無いんだけど、やばそうな匂いがぷんぷんするんで転移者は手元に居て欲しい。その為に最低2PTは一緒に行動して欲しいんだ」


「わかりました」


「我々は王都の警戒を強化ですかな?」


ダグラムの言葉に遙は頷いた。


「サーチや種族判別をできる者を中心に警邏を強化して欲しい。あと出入りも厳重にして」


「分かりました」


「我々は?」


クマッタ騎士団の団長であるベイチェンが尋ねると、遙はより厳しい顔を浮かべます。


「あんまり分散したくは無いんだけど、各拠点の転移門の警護をお願い。前回のユーステリア侵攻なんか問題にならないくらい今回はやばくなるかもだから」


「ほむ、了解した」


「俺たちはどうするかい?一応長老には何と伝える?」


サイアスに対して、遙は静かに頭を下げた。そして、その姿を見た他のメンバーが驚きの声をあげます。


「今回は情報をありがとう。助かりましたって伝えて欲しい。そして、出来ればだけど獣人達へも警告を頼みたい」


「ふむ、それは獣人の村への協力依頼と思っても?」


「うん、間違ってない。今あそこの猫耳愛好会の勢力は馬鹿にならない。総勢24名のメンバーが全員残留してるんだから」


「やはり戦争になると?」


「最悪は考えておかないとね」


そう告げる遙に対し、全員が頷きを返しました。

そして、ここでようやく硬直のとけたファリスが口を開きます。


「ま、真面目に魔族復活ですか!」


「うん、最悪の想定だけどね」


返事を返しながらも、遙は各団長達に手振りですぐに取り掛かるように指示をだしました。


「戦争って、もう転移者はほとんど居ないんですよ!」


「だね、イグリアだけで6人、エルフで3人、獣人が24人、未所属が5名かな」


「です!全部で38名しかいないんですよ!それでどう戦うと!」


「人材を集める、育てる、やり繰りする、これしかないよね?」


「そんな簡単に言わないで下さい!」


ファリスが顔を真っ赤にして遙に怒鳴ります。


「でも、しょうがないじゃん、いないものはいないんだし」


「そ、それはそうですが」


「各騎士団や冒険者で育ってきてるのがいるから、そこまで悲惨な事にならないって・・・たぶん」


「たぶん・・・ですよね?」


「うん、予想つかないもん」


あっけらかんと言う遙に対し、苦労症の宰相は胃の辺りを撫でながら図面を覗き込みます。

南の海岸線に向かって4本の線が図面上に引かれています。

そして、かつての魔界が繋がっていた地域を重点的に探索するよう指示が飛んでいるのが見て取れました。


「魔界でもログアウト可能になったのでしょうか?なんとなくですが、わたしは出来ていないような気がします」


「エリーティア、その根拠は?」


「もし出来ていたら、今回のような騒動は起こらないような気がします」


そのエリーティアの意見を聞いて、少し考えた後ファリスが意見を述べました。


「どうでしょうか?わたしは逆に転移者が減少した為、魔族がこっちの情報を内々に探索し様としているような気がしますが」


「むぅ、エリーティアとファリスの意見が真っ二つかぁ、まぁ情報が少なすぎるよね。でも、最初の一手をミスると尾を引きそうだなぁ」


それぞれが悩みを抱えながら地図を見ていると、ふと思いついたかのようにファリスが問いかけました。


「ところで、復活してきているのって魔族だけですか?」


その言葉に、4人は顔を見合わせたまましばらく言葉がでませんでした。


◆◆◆


「エイッ!」”カ~~ン”


「エイッ!」”カ~~ン”


キュアリーはせっせと鶴嘴を振り上げ、壁を削り取る動作を繰り返しています。

そして、壁に鶴嘴が当たるたびに甲高い音が辺りに響き渡りました。

その姿に周りでは、同じように掘削を行っている男達から羨望の眼差しが注がれていました。


「う~~ん、姉さんが掘るとなんで鉄以外の鉱石も出るんだ?」


キュアリーの足元に転がるミスリル鉱石を眺めながら、男達は不思議な表情を浮かべています。


「掘削スキルが高いからね~、でも10回に1個くらいの割合だよ、ここだと」


足元では転がるミスリル鉱石をせっせとルンが咥えて箱へと収めていきます。


「俺達は100回掘っても1回も出ませんが」


そんな事を呟きながらも男達はせっせと掘削作業を続けていきます。


「うん、今日はこの辺にしとこうかな?」


「そしたら俺たちが運びますよ、おい!この辺で引き上げるぞ!」


「「「お~~~」」」


周りの男達もそれぞれ自分の掘った鉱石を箱の中へと放り込み始めました。


「ほんとは水晶が欲しいのだけどね~この辺ではまず出ないから」


キュアリーが傍らに来たベアルに話しかけながら、箱の中の今日の成果を確認します。


「水晶ですか、王都あたりの商人に頼みますか?」


「う~~ん、高くつきそうだよね?」


「ですなぁ、水晶はあまり取れませんからねぇ」


そんな事を話しながら片付けをしているキュアリー達の横で、ルンが今までキュアリーが掘っていた横穴へと振り返りました。そして、徐々に警戒し、身構え始めます。


「ルン?どうしたの?」


ルンの変化に気が付いたキュアリーはメイスを取り出し身構えながらルンへと尋ねました。

そして、周りの男達も状況の変化を感じ、思い思いに鶴嘴やスコップを手に身構えます。


「おい、何事だ?大モグラでも出たのか?」


「いや、わかんねぇけど何かいるみたいだぞ」


男達もそれぞれ思い思いに呟きながら、緊張に手に汗を握って、しきりにその汗を服で拭きながら身構えます。そして5分か10分が過ぎたとき、みんなの視線を浴びた横穴の壁から何かが飛び出しました。


「ん?なんだ?」

「鶴嘴か?」

「誰かあっちにいたか?」


男達はキョトンとした顔でその横穴を見詰めます。そして、ついに目の前で壁が崩れました。


「グルルルル」


唸り声を上げるルンを制しながら、キュアリーはライトの魔法を横穴の奥へと移動させます。

そして、その穴の奥にはこちらと同様に唖然とした顔をした小柄の顔いっぱい髭を生やした男が鶴嘴片手にこちらを覗き込んでいました。


「えっと・・・・もしかしてドワーフ?」


「あんたはエルフか?それと、獣人?」


どちらも半信半疑な感じで問い掛けました。


「おい!ドワーフだって!」


「ドワーフだぞ!」


「すげ~~俺初めて見た!」


そんな声が男達から響く傍ら、そのドワーフの後ろからもいくつかの声が聞こえます。


「おい!どうした!」


「バル!何があった!」


そんな声が響く中で戸惑いながらもキュアリーは男に向かって話し掛けました。


「あたしはコルトの森のエルフでキュアリー、あと獣人のベアルとその仲間達?」


「えっと、姉さん、その括り方はちょっと」


「うん、何か抵抗のある括り方だな」


「貴方は誰?ドワーフさん」


男達から湧き上がる抗議を無視してキュアリーはドワーフへ尋ねました。


ドワーフは周りの状況を見て、特に危険がない事を察すると鶴嘴を下へと降ろしながら答えました。


「ガレアス鉱山のドワーフでバルと言う。あんたらいつの間にこの鉱山に来たんだ?しかもエルフに獣人とは」


驚きを隠せないまま、横穴から抜けて坑道の広場へと現れます。

そして、その後ろからもドヤドヤとドワーフ達が現れるのをキュアリー達はただ呆然と見詰めていました。

そして、キュアリーの頭にこの時あったのは、また面倒ごとになりそうだなぁ、あたしの平穏はどこ?っとその事だけでした。


◆◆◆


その頃、魔族の侵攻を受け始めていた小さな村のチロでは村人総出での防衛線造りが行われていました。


「まずは魔族を村へ侵入させない事が重要なんじゃよ」


そう告げる老婆の前では、村の外壁の要所要所に結界石を埋め込む作業が行われています。

そして、更にその外周では男達が手に手にシャベルやクワを持って浅い溝を掘り、そこへと水を流していきます。


「なぁ婆さん、こんな浅い溝で意味があるのか?」


その作業を見ながら、村長が尋ねました。


「知るもんかね、昔聞いた覚えのある対策方法をあたしゃ言ってるだけさ。魔族の防衛なんざ経験あるわけないだろうが」


そんな老婆の返答に村長は顔を顰めました。

そして、不安そうに作業を見守ります。


「村長、薪になりそうな木を採って来たぞ」


男達が数人、近くの森から薪を採って戻ってきました。そして、村の各所にかがり火を焚く準備を始めます。


「魔物は光を嫌うらしいからね、まずは明るくする事さ」


「いや、それってアンデッドだけじゃね?」


「アンデッドでも普通に火を気になんかしなくね?」


周りで村の男達が口々に意見を言います。


「五月蝿い奴らだね!なら何か案を出しな!」


怒鳴り声に途端に口を閉ざして作業を再開します。

しかし、その作業を見詰める村長にも、老婆にも焦りの色が見えました。


「なぁ婆さん、冒険者はいつ来てくれるんだ?」


「早くても明日以降だろうよ。遅ければそれ以上掛かるだろうさ」


「・・・なぁ、逃げた方が良かったんじゃねぇか?」


「情けない男だねお前は、お前の妻の方がしっかりしてるよ!見てごらん!」


そう言って老婆が指差す先には、村人それぞれに指示をだす村長の妻の姿がありました。


「覚悟をおし、そう決めたんだろ」


「ああ・・・」


日が傾き次第に赤く染まっていく空を不安そうに見詰める村長を見て、村の男達もみんな釣られるように沈み行く夕日に視線を向けます。そして、どの顔にも不安が色濃く影を落としていました。


◆◆◆


「うわ~~ん、此処何処~~~」


コルトの森の村へと無事に着いたきゅまぁは、そこで休憩した後ナイガラの街へと向かいました。

そして、本来ならそろそろナイガラの街へと到着していないといけないはずのきゅまぁなのですが、なぜか小さな林の中で焚き火の準備をしています。


「うぅぅ、おかしいなぁ、近道しようと街道をそれちゃったのがいけないのかなぁ」


キュアリーからの手紙を少しでも早く王都に届け様と街道を逸れ最短距離へと進んだはずなのですが、なぜか何時までたっても眼前に見えてくるはずのナイガラの街が見えてきません。


「う~~、困ったなぁ、星を見ても現在地なんか解んないよ~」


以前に知り合った商人から、星の見方を教わったのですがそんな方法はとっくに忘れています。ましてや地図なんか持っていませんし、道具など尚更もっていません。そんな事をブツブツと呟きながら、それでもせっせと今日のご飯であるレッドベアの肉を串に刺して焚き火で炙りはじめました。


「でもよかった、ご飯なくなっちゃったから困ってたのよね」


先程レッドベアと遭遇した時、嬉々としてレッドベアへと飛び掛っていきました。そして、必死で逃げるレッドベアをきゅまぁも必死に追いかけて何とか仕留めた時の事を思い出しながら、まさに涎を流しそうな顔で焼けていくお肉を見詰めます。


「これでしばらくはご飯に困らないよね~」


満面の笑顔を浮かべるきゅまぁが、ふと視界の隅で何かが光った気がして顔を上げて遠くを見詰めます。

そして、しばらくその方向を見詰めるとやはり遠くで明かりが灯っているように見えます。


「あ、もしかしてナイガラの街かな?でもちょっと違うような?」


そんな事を思いながらも焼けたお肉に手を伸ばしました。


「ご飯食べたら行ってみようかな、うん」


そして、これまた満面の笑みでお肉に齧り付きました。

きゅまぁの後ろでは、解体され、頭だけになったレッドベアが恨めしそうにきゅまぁを見詰めていました。

うん、きゅまぁさんは食いしん坊キャラで定着しそうですね!


今回は誤字が多かったです。文章も思いつきながら書くから文法が、日々精進します><

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