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1-2:状況は混沌としています

後半にちょっと忌避すべき者が出てきます。

ので、その部分では想像力を0にしてください。

(無茶な事を言う人)


間違いの訂正をしました。エリーティア→ユーナで名前を間違えていました。ご指摘ありがとうございます。

キュアリーが無事に家を確保している頃、エルフの森のアルルの下にアルルとしてはあまり歓迎したくない訪問者が訪れていた。


「ねぇそろそろ教えてくれてもいいじゃん。うちの密偵だってそこそこ優秀なんだよ?なのにさ、影も形も見当たらないなんておかしいじゃん」


アルルの前には極彩色豊かな装束を来た少女が手に持った扇子をパチパチしながら、それでも視線は一瞬たりともアルルから外す事無く幾度目かの問いを口にした。


「だからの、知らんというておるだろうが、しつこい女は嫌われるぞ?」


「うるさい!あんたが何か知ってるのは解ってるんだからね!」


「ほう、その根拠はなにかな?」


「本当にあんたの知らない状況でキュアちゃんが失踪していたら、そんな所で今踏ん反り返ってない!」


「おお!なるほど!」


「長老!」


思わずといった感じで頷いてしまったアルルに対し、後ろに控えていたユーナが急いで警告の声をだします。


「む?おお!すまんすまん」


その様子を冷めた眼差しで見ていた少女は、視線をアルルから後ろにいるユーナへと切替えました。


「ユーナ、国主同士の会話に口を出すのはやめたほうがいいな~ってあたしは思うけど?」


少女は殺気すら込めた眼差しでユーナを睨みつける。


「わたしは補佐役ですので、それに長老はお歳ですので時々補正して上げないといけませんから問題ありません」


「おい、お歳って!」


アルルが抗議の声を上げるが、二人はまったく気にした様子も無く睨みあっています。


「まぁ今のアルルの態度でエルフの森がキュアちゃん失踪に一枚噛んでいる事が発覚したからよいとするかねぇ」


「いえ、エルフの森ではキュアリーさんの消息を掴んでいる訳ではありません。そこを勘違いされては困ります」


「ふ~~~ん」


「そもそも、キュアリーさん招聘に際してサラ、ルカの二人を騎士団に引き抜こうとした方が何を言われますやら」


「そ、そんな事してないよ!あの子達はちゃんと自分の夢を追ってお店開いたじゃん!」


「それは、保護者であるエリーティアさんのおかげですよね?」


「うぐ」


「ところで、イグリアの最後の良心と言われてるエリーティアさんは今何をされています?遥陛下お一人でこのエルフの森へ来るのをお許しになられる方とは思えないのですが?」


「うぐぐぐ」


先程の勢いなどどこへ行ったのか、若干冷や汗を流しながらも殺気を込めてイグリアの現国王である遥はユーナを睨みつけました。


「まぁ遥もユーナもちょっとクールダウンしなさい」


場の雰囲気がゲリラ豪雨的に悪くなっているのを気にしてアルルが二人へ注意をしました。


「ん~~?なんか一人部外者って顔してるのがいる?」


「長老、貴方が頼りないからわたしが雌虎の相手をしないといけないんですよ?わかってます?」


途端に矛先が自分へと向いた状況であっても、アルルはまったく動揺する事無く笑い出しました。


「まったくお前達は何をそんなに慌てているのだ、わたしにはそこがわからんのだ」


「キュアちゃんが出奔したんだよ?心配にもなるさ!」


「なんの心配でしょうかねぇ」


「なによ!」


「別に!」


「まぁまて、そんな喧嘩腰になる必要もあるまい。遥よ、まずこの森にはマイシスターは来ておらんぞ」


アルルのその言葉に遥はするどい視線を向ける。


「じゃなんであんたはそんなにのほほんとしてるのよ」


「何、簡単な事だ。ルンとマイシスターのコンビが早々危機的状況になるとは思えん。これがまず第一の理由だ」


その言葉に、同意できるところがある為、遙は一旦席に座りなおしました。


「第一?なら第二は?」


「更に簡単な事だ。あれから10年経ってもマイシスターはマイシスターであるという事だ」


「なによそれ?」


遙と合わせてユーナも同様にアルルの言葉の意味を考え込みます。


そして、しばらく考えても答えが解らない遙は、頭をガシガシと掻き勢い良く立ち上がりました。


「くぅ、無駄足かぁ、何かヒントくらいとは思ったのになぁ。丁度タイムリミットみたいだし、これで帰るわ」


その言葉と同時に、なにやら外が騒がしくなってきました。そして、遙はその喧騒から反対側の窓へと移動します。


「アルル、何かキュアちゃんの消息を掴めたらこっちにも連絡よこしてよね、心配してるのはマジなんだから」


「ああ、情報が入ったら必ず伝えよう」


その言葉を背中に、遙は窓から外へと飛び出して行きました。

そして、それと入れ替わるようにエリーティアさんが飛び込んできました。


「遙~~~~!・・・あれ?」


部屋へ入るなり大声で怒鳴りつけたエリーティアは、キョトンっとした表情で見詰めるアルルとユーナを見て同じくキョトンとした顔をします。そして、机の下などを覗いたあと、ストンっと椅子に座ってアルルたちを見ました。


「あ、あの、うちの陛下見ませんでした?」


その問いかけに、二人はそのまま窓のほうへと視線を向けます。すると、その意味をすぐ理解したエリーティアは、すぐさま窓へと駆け寄ります。


「くぅぅ、逃げられた~~~」


半分涙目になりながら、アルルとユーナへ挨拶と謝罪もそこそこに、エリーティアは急いで扉から外へと走っていきました。

そんなエリーティアが慌しく飛び出して行ったあと、アルルとユーナはお互い顔を見合わせます。


「エリーティアは苦労してそうだな、哀れな」


「あたし、長老の担当でよかったかも」


「それはどういう意味だ?」


アルルの問いかけに回答はせず、ユーナは疲れた感じで部屋を出て行きます。


「むぅ、遙と同じと思われるのは、さすがに心外なのだが」


その呟きを聞いた人は誰もいませんでした。そして、もし聞いた人がいたらどう思ったか、その答えを聞く事もとりあえず出来ませんでした。


◆◆◆


エルフの森でドタバタとした騒動が起きていた日から少し過ぎた頃、家を確保したキュアリーは自分の生活環境の安定に努めていました。

そして、その為に今、村の入口ではキュアリーの怒鳴り声が響き渡っています。


「なんでそこで飛び出すんですか!みんなと連携とってください!」


「ふ、一騎打ちは男の「浪漫なんていりません!」」


「ぬぅぅ」


キュアリーはここ数日村の入口へ現れた魔物に対して連携攻撃の指導というか、村の男達への意識改革に苦労していました。


「治癒術士がいないんですから、出来るだけリスクを減らして安全に狩る必要があるんです!」


「いや、なんか一匹をみんなで殴るのはなぁ」


「だから何度も説明してるでしょ!」


「いや、だから」


「男は言い訳しない!」


「それって差別じゃ・・・」


「もし奥さんや子供ができてもそんな戦い方をするんですか?」


「え?いやぁ、そりゃ~奥さんが出来たらなぁ、なぁ」


「うん、奥さんがいれば・・・・へへへ・・・」


「きしょいです」


「「「酷い!」」」


ニヤケ初めて思考が明後日の方向に飛び始めた男達に、再度戦闘時にいかに安全に戦うかの意味と効率を教え込み始めます。

まだ、今ひとつ真剣になりきれていない様子に、キュアリーは最後の切り札を出しました。


「もし、きちんと連携できるようになったら、女性にモテル講座もしてあげようと思ったのにな~」


「「「「!」」」」


キュアリーの呟き後、今までの数倍、または数十倍の真剣さで連携について話し始める男達に、内心呆れ半分、諦め半分で男達連携効率の論議を修正していきます。


「キュアリーさん、大丈夫、そのうちこんな馬鹿が可愛く思えてくるって」


母親のような顔付きで男達を見詰めるキャロがそんな事をキュアリーに囁きます。

そして、それを聞いたキュアリーは、もしそんな事になったらあたし終わってるかもしれない?などとある意味すっごく失礼な事を考えていました。


◆◆◆


その頃の王都では


「お姉ちゃん、Aセット3つ、2番テーブル!」


「わかった~、Aセット3つね!」


お店の10個のテーブルが満員状態で異界亭は大忙しとなっていた。

3年ほど前に開店したこの店は、転移者残留組で、しかも二人の保護者でもあるエリーティアを含め、国の絶大の支援を暗黙に受け大繁盛していた。

通常は今までこの世界では殆ど見ない喫茶店として営業しており、昼食時のみランチを提供する形態を取っていた。ランチはハンバーグやカレーと呼ばれる転移者の母国料理を中心に揃えられ、物珍しさから始まって今では王都の名物店へと発展していたのだった。


「お待ちどうさま~Bセットです」


「ありがとよ、おお!名物エビフライ!これ今一番のお気に入りなんだよ、なぁルカちゃんこれ材料はなんだい?そろそろ教えてくれよ」


「すいません、秘蔵レシピになるのでお教えできません」


「そっかぁ、実がプリプリしてて美味しいんだよなぁ、こんな生き物いたかなぁ」


厨房ではそんなルカとお客の遣り取りを聞いて、サラが事前に仕込みをしてあったエビフライの材料を見て冷や汗をかいていた。

ランチタイムが終了してお客がまばらになった時間帯に、サラとルカは遅めの昼食を交代で取り今は二人揃ってお店のテーブルで休憩していた。


「お姉ちゃん、そういえばキュアリーさん出奔したって」


「え?そうなの?」


「うん、騎士団の人が来てもし見かけたら連絡くれって」


ルカの言葉にサラはキュアリーがはたして王都にくるだろうか?っと考えていた。


「うん、でもキュアリーさん来ないよね、ほぼ100%」


「うん、キュアリーさん人いっぱいいる所苦手だもんね」


この10年で幾度もキュアリーと交流があった二人はその行動パターンからまず王都はないかな?っと判断していた。


「あ、それときゅまぁさんがキュアリーさん探索の旅に出たって」


「え?大丈夫なの?」


「まぁサバイバルには強そうだし、どんなところでも生きていける?」


その言葉に、昼間にエビフライの食材を聞かれた事をサラは思い出した。


「タルモ虫の幼虫食べた人だもんね、いくら飢えてたからと言ってあれ茹でて食べるんだもんね」


「うんうん、あれがエビフライの材料なんて言えないよね」


「うん、言ったらうち潰れる気がする」


「リスク高いよね、そろそろあのメニューやめようか」


「うんうん」


「美味しいんだけどね、味自体は」


「食材として認知されるって無理よね~」


「でも、きゅまぁさんなら素でキュアリーさん見つけそうよね?」


「うん、まあきゅまぁさんだし」


そう話しながら紅茶を啜る二人でした。


◆◆◆


その頃、噂のきゅまぁはまさにタルモ虫の幼虫を茹でて食べていました。

きゅまぁはとりあえずナイガラの街からコルトの森へと向かったはずが、何故か大きな穴の中にいました。


「うまうま」


茹で上がった一匹を頭を切って丸齧りしています。


「それにしても、キュアリーさん何処いったんだろう?」


そんな事を呟きながらふと周りを見回します。


「ところでここ何処でしょう?なんかいっぱい穴が開いてますけど?」


そんな事を呟きながら、きゅまぁはアイテムボックスから寝袋と結界石をとりだして就寝準備に入りました。


「はぁ、ゆっくり寝れるお布団が恋しいよ~~」


そんな事を呟きながら。

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