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1-21:揚げパンはお腹にもたれますよ?

キュアリーが、空腹で泣くきゅまぁにお店で貰った大き目のフランスパンサイズの揚げパンを与えると、きゅまぁは表情を一遍させ、正に輝くような表情で、更には全身から嬉しさ滲みまくりの零れまくりで揚げパンを食べ始めました。

ただ、只管ウマウマしか言わずに食べるきゅまぁにキュアリーは改めて大丈夫なんだろうかこの人?っと思いながらもひとまずここにいると不味いかなっと思いました。


「と、とりあえずあそこで休もうか」


キュアリーは少し先にある大きな木の根元を指差します。そして、衛兵の人にはベアルを呼んできて欲しいと伝え、村の人には何か飲み物を買ってきて貰える様に頼みました。

きゅまぁを連れて木の根元に移動し、更に貰いものからすぐ食べれそうな物を取り出しながら改めてきゅまぁの様子を見ます。


う~ん、すっごい汚れてるなぁ、しかもなんか匂うし、どんな旅をしてきたらこんな事になるんだろ?


キュアリーはお願いした村人から果実のジュースを受け取り、お金を払いながらお礼を言います。そして、そのジュースをきゅまぁに渡しました。ちなみに、この時にキュアリーが払ったお金は治癒の報酬としてドズルから渡されたドワーフ達の通貨です。


「きゅまぁさん少し落ち着いたかな?」


コクコク


渡されたジュースを飲みながら、きゅまぁは頷きました。そして、ふぅっと安堵の息を吐きます。


「キュアリーさんありがと~~、ごめんね~迷惑掛けちゃって」


「いえ、そんな迷惑なんて、たまたま頂き物の食べ物を持っていただけですし、ただ、きゅまぁさんを見かけたのがあたしでよかったですね、でないとお腹空かしたまま牢屋行きだったかも」


苦笑を浮かべ、キュアリーはきゅまぁにリフレッシュの魔法を掛けました。


「あぁ~~久しぶりにさっぱりです。しばらくはお肉に消化液になんかグネグネされてたから」


「え?消化液?グネグネ?」


外見がリフレッシュの魔法によって綺麗になったきゅまぁを見て、あとはお風呂連れて行かないとかなぁなんて思っていたキュアリーは、きゅまぁの言葉の意味が判りませんでした。


「うん、なんかねジュエルワームに丸呑みにされて、一生懸命消化されないように頑張ってたの!」


「ふぇ?」


ジュエルワームというのは地中深くに生息して、金や銀、ミスリル、ルビー、サファイヤ、そして何と言ってもダイヤモンドなどを好んで食べる魔物です。地中深くにいて、まず滅多に地上に出てこない為レア中のレア扱い、しかも倒すと食べた宝石などをドロップする為見つけたらみんなが目の色を変えて追いかける程の魔物です。


「うん、酷い目にあったよ~必死でプロテクトとヒール掛けて耐えたの!」


「そ、そうなんだ、頑張ったね!」


想像のはるか斜め上をいくきゅまぁの言葉に、キュアリーは何とかそう答えました。そして、そう答えながらもきゅまぁの装備を見ながら何となく釈然としないながらも納得しました。なにせきゅまぁの全身装備はミスリル製ですから。


「それなら一応装備のステータスも確認したほうがいいよね、耐久が「きゃああああ~~」しんぱ・・・」


そこまで言いかけたキュアリーの言葉を遮るようにきゅまぁが叫び声をあげました。


「た、耐久がほとんど残ってないですぅ~~」


装備ステータスを確認していたのでしょうか、きゅまぁが中空を見つめたまま、またも目に涙を溢れさせます。


「えっと、その、耐久回復させればいいんだから、まだ壊れてないし」


「駄目なの、これお気に入りのセイントシリーズだから鍛冶スキルが65もいるの~」


そう告げるキュアリーに即座に否定するきゅまぁに、キュアリーも65かぁっと溜息を吐きたくなりました。

ただ、このドワーフの村ならなんとかなるんじゃっと声を掛けようとするのですが、耐久が、耐久がっと泣きながらぶつぶつ呟くきゅまぁを見て、あ、なんか駄目かもっと悟りました。


だ、駄目だ、あたしの手に負えそうも無いって


そんな事を思ったキュアリーは、例えばベアルなり、ドズルなりのきゅまぁを擦り付ける事ができる人が早く駆けつけてくれる事を祈りました。そして、その祈りがまさに天に届いたのか突然二人の背後から声が響きます。


「あらあら、なんでここにきゅまぁがいるのかしら?王都で首を長~くしてたあたしが馬鹿?」


声につられて振り返った二人が見たのは、にこやかな笑顔を浮かべて二人を見下ろしているエリーティアでした。


「うわ~~エリーティアさん、どうしてここに!?」


純粋に驚きの声を上げるキュアリーは、久しぶりに会うエリーティアに嬉しさいっぱいに抱きつきます。そして、周りを見回しました。


「あれ?エリーティアさん一人?他に誰か一緒にきてるの?」


「お久しぶりですキュアリーさん、今回はわたし一人ですわ、少々イグリアで厄介ごとが起きてますのでわたし一人でこちらに訪問したんです」


切れ長の目をさらに糸のように細め、優しい笑顔を浮かべてエリーティアもキュアリーを抱きしめ返します。そして、お互いに久しぶりの出会いを喜び合いました。そして、キュアリーがふと気がつくと、エリーティアの左手が突然キュアリーの背後へと伸ばされました。


「ん?エリーティアさん?」


キュアリーが頭にクエスチョンを飛ばしながら背後を振り向くと、いままさに何処かへ駆け出そうとしていたきゅまぁの襟の部分をエリーティアの左手がガッシリと掴んでいました。


「キュアリーさん、ごめんなさいね、ちょっとこの子とお話しないとですので」


そう言うと、エリーティアはどこにそんな力があったのかグイっときゅまぁを引きずるように手繰り寄せました。


「え、えへへ、エリーティア団長、お久しぶりです~」


「ほんと、お久しぶりねぇきゅまぁ、王都でずっと待ってたのに帰ってきてくれないんですもの、その上せっかく此処で会えたのに何処へ行こうとするのかしら、ね?」


エリーティアは首を軽く傾げて笑顔できゅまぁを見つめました。でも、きゅまぁは顔中に汗を滴らせ始めます。


「あの、その・・・えっと、えへ、ね?」


お返しとばかりにきゅまぁもコテンっと首を傾げて”ね?”返しを行います。

その二人をキョトンっと見ているキュアリーは、ふと足元を見ると同様に二人を見ていたウルが真似をしたのかコテンっと首を傾げました。

その挙動にキュアリーが今の状況も忘れてほのぼのとしていると、ルンがキュアリーを鼻先で突っつきました。


「ん?ルンどうしたの?」


キュアリーがルンを見ると、ルンがジッと奥の建物を見ます。キュアリーもルンの視線の先を見ると、そこには昨日行った共同浴場がありました。


「ん?お風呂?」


「ヴォン!」


ルンのは同意するように吠え、次にきゅまぁを見つめました。


「ん~っと、もしかしてきゅまぁさんが匂う?」


「ヴォン!」


「ふむふむ、きゅまぁさん、エリーティアさんお風呂いこ!」


段々と雰囲気のおかしくなっていくエリーティアときゅまぁに視線を向け、キュアリーは声を掛けました。


「え、お風呂!行きます!行かせてください!」


「お風呂ですか?一応急いでいるのですが」


藁にもすがる勢いで同意するきゅまぁとは対称的にエリーティアは躊躇います。ただ、キュアリーがそんなに時間はかからないなどの説得を行い、元来お風呂の嫌いではないエリーティアは最後には同意してキュアリー達と共に共同浴場へと向かいました。


歩き出す三人の後ろではなぜかルンがほっとしたような表情を浮かべています。

そういえばきゅまぁが現れてからなぜかルンはキュアリーときゅまぁから距離を置いていました。しかし、キュアリーもきゅまぁも、ましてやエリーティアもその事には気がついていませんでした。

うん、お話が進まなかったですね!

きゅまぁちゃんが揚げパン食べて終わってしまった!

でも、次はこのまま行くとお約束の入浴シーン!


でも、たぶん・・・・このメンバーだし?

救いは常識人のエリーティアさんだけ?

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