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二章 始まりの火種

途端、セイブ達が隠れていた建物の頭上から光線のような巨大な光の塊が降り注ぎ、光を浴びたその建物は塵となって消えていく



「っつぅ…あぶねえ。いきなりとは」



すでにその巨大な光の領域から逃れていた三人は、その光に視界を遮られた



その間にも空全体を白き光が、地表一帯を黒き光に染め上げられる



「…!二人とも、早く上へ!地上は危険です!」



セイブは咄嗟に上空へと飛翔し、アウセントとヴェンマーも一歩遅れて彼女に続く



その後方では黒一色に染められた地面から、黒き大きな光が二人めがけて飛来した



「……」



ヴェンマーはすぐさま霊気を纏って折り返して、黒き光に立ち向かうが、その直後にセイブは『旋回の雲』でヴェンマーと光の間に躍り出て、己の周りに纏わせていた霊気を『闇』へと侵食させ、黒き光をその『闇』で遮った



つかの間もなく、同時に漆黒の鎧で身を包んだ巨漢の男が三人の前方に現れ、すでに振りかざしていた大剣を大きな力で振り下ろす



振り下される大剣の前でヴェンマーは霊気により、自身の等身大の紅い鎌を具現させ、その刃と大剣が交える



三人はそこで始めて相手の姿を確認することができた



しかし、それと同時に相手の姿を見た彼らはその相手を前に驚きを隠すことができなかった



その巨大な鎧を前にして、アウセントは言葉を漏らす



「アンジェルノ・ガザーク……」



そう…彼らは知っていた

その鎧の男の正体を



八十年程前、強大な霊気・力を手に世界中で暴走して、バジール・ジークフリートに倒され

つい半年前に『八人姉妹』の力を活性化させるために、ヴィクシスによって抑制力をかけられた変わり身へと転生して『八大王者』として戦って倒された『騎士帝王』と呼ばれしアンジェルノ・ガザーク本人だった

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