一章 始まった世界
~ラフィーロ城~
その城の一室で、生気を宿したチェスター・スラッシュは、金髪エルフの女性と二人の騎士、そして三人の少年を集めていた
「フェイス、フォニエーテル、ラムギーンと言ったか…よく私の復活の用意を整えてくれ、お礼を言わせてもらおう。ときにラムギーンよ…」
ラムギーン・デマークという名を持つ赤色の鎧の騎士は、一歩前に出て頭を下げる
「いやいや、かしこまらなくていいよ。私の為に『殺戮者』をあらかじめ量産してくれたことに、こちらも敬意を払おう。時が来たら存分に活用させてもらうるよ」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
ラムギーンは再び一礼して一歩後退し、チェスターは黒いソファーに姿勢悪く座っている三人の少年へと視線を移す
「さて、キミ達にも早速働いてもらおうか。この世界、何やら不気味な事件が起きたようだからね…」
己の背丈より長い、二メートル以上もの長刀を肩に担いだチェスターは冷淡かつ静かに少年達に言葉を向ける
そんな彼を睨むように、赤髪を立てたカズト・グラスファーという少年は荒々しい口調で突っかかる
「あァ?何が言いてぇんだ?テメェ…」
そんな荒々しい口調を向けられたチェスターは『やれ、降参しました』と言わんばかりに笑いながら両手を軽く挙げる
「二時間弱、この世界を適当に旋回さえしてくれればいいさ。終わったら見てきたこと、感じたことを私に報告するだけでいい」
単純かつ簡単すぎる仕事――と、その場にいる誰もが思ったが、チェスターにとっては、自由気ままに彼らが三人を外へ放つことが重要だった
「片っ端から人を殺してもいいんだよね?」
「キミ達の判断に任せるよ」
青髪のジグニ・アラストルは歪んだ笑みを浮かべて、早速部屋を出ていき、それに続いて赤髪のカズト・グラスファーと緑髪のラシェ・シグニードもジグニに続いて部屋を後にした
「期待してるよ…」