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一章 始まった世界



「…この事件、私にとって面白い出来事になったわけだ」



場所は変わって『魔界』の一室――


強いて言えば『魔界』だった筈の所の一室で『魔界』最強の王、『鎧悪魔』のザヴァルグ・バルキルノは世界のあちこちに点在する強者達の力を感じ取って、側近のアルファーデ・ネルジオンと共に足を運んでいた



『魔界』そのものの領域は『聖界』のそれとは比べ物にならない程狭く、せいぜい『聖界』の小国一つ分の領域に収まるか否かぐらいだろう



その『魔界』も『セルビア国』と時同じくして、『聖界』の一国へと移り変えられたのであった



しかし、彼等にはそんな事は全く気にしない、気にならない



身近に感じる強者達との戦い。そのことだけが、今のザヴァルグを震い立たせた



「これ程の強者達…お前はどう思う…?」


「大殿、お前と同じだ。まだ見ぬ強者達の事を思うと武者震いが止まらん。我々が戦いに生きた騎士の傀儡だからかもしれんな」



アルファーデもザヴァルグ同様、これからの戦いに胸を踊らされていた



二人の向かう先は、すでに戦闘準備を終えた『悪魔軍』の待つ大広間



その広大な空間に待つ数十万もの軍隊の前に姿を現したザヴァルグはその場にいる『悪魔軍』全員にただ一言の司令を下す



「攻め立てい!」



司令を下された悪魔軍は一斉に大広間の外へと駆けていく



その様子を見送ったザヴァルグは、強き者たちと戦える未来を胸に抱きながら満足そうにアルファーデと二人でその場を離れていった



長きに渡る戦いの再来はここにて火蓋を切って開かれた



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