表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢ですが、仕事を奪った王宮が先に崩れました  作者: 水城ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/87

第55話 影の広がり

 リーヴェルトの会議は、以前よりも短くなっていた。


 発言は減っていない。

 だが、迷いが長引かない。


「論点は三つ」

「短期負担と長期安定は分けて考える」

「確認者と承認者を先に決める」


 アルノーが、静かに整理する。


 誰も驚かない。

 反発もしない。


 線を引くことが、

 特別ではなくなり始めていた。


---


 今回の議題は、周辺村落との水利権調整。


 感情が絡む。

 歴史も絡む。


 だが、会議は崩れない。


「村落代表の発言を、最初に」

「その後で数値整理を」


 アルノーは、順序を決める。


 誰が先に話すか。

 誰が最後に承認するか。


 位置が、明確だ。


---


 議論は紛糾する。

 だが、止まらない。


「……私は、この条件で賛成する」


 村落側の代表が、初めて自分の立場を明示する。


 その瞬間、

 空気が変わる。


 誰かが、立った。


 アルノーではない。

 ベルナデッタでもない。


 別の誰か。


---


 会議は成立した。


 完全な満足ではない。

 だが、崩壊でもない。


---


 宿に戻る途中、

 アルノーは足を止める。


「今日は、あなたは何も言いませんでした」


 リリアーナは、穏やかに答える。


「必要がありませんでした」


「私たちだけで、回りました」


「ええ」


 短い肯定。


---


「あなたがいなくても」


 アルノーは、言いかけて止まる。


 その言葉の重さを、自分で理解している。


---


 リリアーナは、空を見上げる。


「私がいない方が、

 強くなる場所もあります」


 それは謙遜ではない。

 事実だ。


 唯一であり続ければ、

 周囲は育たない。


---


 ベルナデッタが、少し離れた場所から歩み寄る。


「……次の案件は、あなた抜きで進めます」


 宣言ではない。

 確認だ。


「ええ」


 リリアーナは、頷く。


---


 夜。


 アルノーは、議事録の最後に書き加える。


 ――整理:アルノー・リーヴェルト

 ――承認:代表会議

 ――異議申立期限:三日


 文字は、迷いが少ない。


---


 宿の窓辺で、

 リリアーナは静かに灯りを落とす。


 真似は、歪みを生み、

 歪みは、修正を生み、

 修正は、習慣になる。


 彼女の影は、

 形を変えて広がっている。


 もう、唯一ではない。


 だが――


 完全に不要でもない。


 第三部フェーズ1は、ここで一区切り。


 世界は、

 彼女がいなくても回り始めた。


 それでも、

 判断が必要な場所は、

 まだ、尽きない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ