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無と有 12

「吊るされた男」のセバスチャンと共に、狂戦士サラと対峙する「審判」のジョナサン


狂戦士化した彼女は力とスピードが極限に達しており、苦戦を余儀なくされる二人。

「どうにかして、この狂気を止めないと……」セバスチャンが低く呟いた。

「そのためには、まず彼女を一瞬でも無力化するしかない……」ジョナサンは剣を握り直し、セバスチャンと共にサラに向かって再び挑む覚悟を決めた。


その瞬間、まるで何かが弾けるように、ジョナサンの中で不思議な感覚が広がった。

彼の視界が一瞬ぼやけ、次にはっきりとした形でサラの姿が見える。

彼女の体から発せられている力の流れ、そしてそれがいかに制御を失い暴走しているかが明確に感じ取れた。

「無効化……できるかもしれない……」無意識にジョナサンはそう思った。


初めての戦闘にもかかわらず、彼の身体は自然に動き始める。

サラが猛然とこちらに突進してくる瞬間、ジョナサンは彼女の足元に素早く入り込んだ。

そして彼女の目の前に立ち、一瞬の沈黙。

サラの狂気に満ちた動きの一瞬の隙を見逃さず、彼の心の奥底に眠っていた力が目覚めた。

「今だ……!」と内心で叫び、ジョナサンは右手をサラの方向へ伸ばした。そこで、彼の力が発動した。


その瞬間、サラの動きがピタリと止まった。目の前で揺らめいていた凶暴なエネルギーが、まるで鎖で縛られるかのように静まっていく。

サラの目に宿っていた狂気が薄れ、力の暴走が止まったのだ。

サラはその場で膝をつき、荒い息を吐きながら地面に手をついたが、彼女は何が起こっていたのかを全く理解できていないようだった。

ジョナサンは静かに彼女を見つめ、心の中で深く息を吐いた。

彼の心には不思議な感覚が広がっていた。


ジョナサンは意識していなかったが、自分の力が何を成し遂げたのかを理解し始めた。

周囲の空気が変わり、サラの暴走が無効化された。

「これが……俺の力か……」ジョナサンは初めて目覚めた力の大きさを実感しながら、仲間たちを振り返る。


ニコラス、セバスチャンも信じられない様子でジョナサンを見ていた。

誰もが予期しなかった力の覚醒が、戦況を一気に変えた瞬間だった。

「……まさか、あなたが……。」セバスチャンが驚きの声を漏らす。


ジョナサンは無言のまま、ゆっくりと手を下ろし、サラが戦闘不能に陥ったことを確認し、彼は咄嗟に新しい能力に目覚めた自分に驚きつつ、呟く。

「感情に任せて戦う者に勝機はない。」

サラはその瞬間、動きが鈍るが、狂戦士化の力を失ってもなお再び猛攻を仕掛けるが、能力が無効化された状態では、自分の力をコントロールできなくなり、次第に隙が生まれる。

セバスチャンが彼女の動きを抑え、ジョナサンがさらに無効化の力を持続させることで、サラは力を失い、最後はセバスチャンとニコラスの連携攻撃によってサラが倒される。


リオスとサラの戦力は強力だったが、ニコラス、セバスチャン、ジョナサンがそれぞれの役割を果たし、戦術的な連携で敵の強みを弱点に変え、勝利を手にする。

戦いの激闘の末、二人の部下は敗北を認めざるを得なくなり、トーラーたちはマディラの救出に向けて前進することとなる。



――――――――――



全身を鎧で覆った剣士は、塔の中ほどの窓から部下たちの戦いを見つめ、冷静に状況分析をしていた。


ニコラスたちは、荒れ果てた塔の中庭で剣士の部下たちと戦っていた。

彼らの数多の剣が閃き、次々と呪文を唱えて、地の者を撃退していく。

突然、「魔術師」の能力者ニコラスの左のこめかみに奇妙な模様が浮かび、それはまるで彼自身の存在を示すかのように光り輝いた。

その瞬間、ジャックが呟く。

「あいつは、俺の手で、絶対に仕留める」


部下たちが倒されたことを見届けた鎧の将軍が、ゆっくりと塔から出現する。

剣士はその巨大な剣を引き抜き、ニコラスに向けて一歩一歩、歩み寄った。

兜の奥のその視線には憎しみが宿り、彼の動きには確固たる殺意があった。

いきなり現れた剣士が、何の前触れもなく突然攻撃を仕掛けてきて、ジョナサンの治癒を受けていたニコラスは息を呑んだ。

彼の攻撃は並の戦士では防げないほど強力で、剣を一振りしただけで地面が砕け、衝撃波が発生していた。

ニコラスは困惑しつつも警戒し、戦闘の構えをとる。

「何だよ、こいつ。現れたと思ったらいきなりこれか。普段寛大な俺様もキレそうだ。貴様ら、手を出すな。」


ジャックは一瞬で距離を詰め、巨大な剣を振り下ろした。

ニコラスはその剣撃を回避するが、地面が割れ、衝撃で後ろへ吹き飛ばされる。

鎧の将軍は圧倒的な力を誇っていた。彼の剣撃は一撃一撃が地を揺るがし、まるで大地そのものを割り裂こうとしているかのようだった。

「お前に勝ち目はない。悪魔が俺に与えた力、そして俺の憎しみはお前を粉砕する!」


ニコラスは次々と防御の呪文を唱えたが、彼の剣の一撃には耐えられず、ニコラスは避けようとするもそれも叶わず、少しずつダメージが蓄積される。

ジャックは巨大な剣を自在に操り、その振る一撃一撃が大地を砕き、敵を吹き飛ばすほどの破壊力を持っていた。

ニコラスの呪文は防御にしか使えず、攻撃に転じる余裕がなく、ジャックの力に押され、彼は劣勢に立たされていく。


しかしその時、ニコラスは冷静さを取り戻し、分身の術を発動させ、次の瞬間、複数の自分自身が周囲に現れた。

剣士は一瞬その動きに戸惑い、どれが本物なのか判断できなくなる。

「何だと……!」

その隙に、ニコラスは遠くから呪文を唱え、無数の光の刃が剣士に向けて放たれた。

剣士はそのうちのいくつかを剣で弾いたが、すべてを防ぎきることはできず、彼の兜が弾き飛ばされ、ジャックの素顔が露わになった。


その剣士は、髪の色も表情の鋭さも違っているが、顔のパーツのどれをとっても明らかにニコラスと同じ。そして剣に百合のあざが彼の右のこめかみに浮かんでいた。

セバスチャンたち3人とも、あっ!と声をあげる。

「お前にも、アザがあるだと……」ニコラスが動揺をしながら声を絞り出す。


ジャックは低く抑えた声で話す。「ようやく見つけた……貴様が俺の兄弟か。」

ニコラスは剣士の声に一瞬戸惑った。

兄弟?どういう意味だ?だが、戦いの最中にそんな疑問を抱く余裕はなかった。

剣士は冷酷な声で続ける。

「お前が俺を捨てた家族の一員か。

俺は生まれてすぐ遠縁の親戚の家に預けられたが、しばらくしてその家でも虐げらて、最終的に俺は大臣に拾われた……」

ジャックは振り下ろした剣を地面に突き立て、続けた。

「だが周りは悪魔ばかりで、人間である事を隠し、鎧兜で常に姿を隠して生活していた。

お前は知らないと思うが、俺はずっと夢見ていた。お前ら家族を殺し、その憎しみを晴らす時を!」


鎧の将軍は、家族から引き離されたと知った時から、この瞬間を待っていたのだ。

だが、ニコラスには兄弟の記憶などなかった。両親が何かを隠していたのかもしれない。

ニコラスは息を呑み、困惑しつつも警戒して返事をする。

「俺は兄弟がいるなんて知らなかった。だが、貴様が望むなら、ここで決着をつけるしかないようだ。」


「お前達は家族を捨てた。その罪を償わせてやる!」剣士は叫び、再び剣を振り上げた。

ジャックは冷酷な笑みを浮かべながら、巨大な剣を再び振り下ろす。

地面が砕け散り、ニコラスはなんとかその一撃を回避するが、衝撃でさらに後方へ吹き飛ばされ、体中が痛みに包まれた。

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