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青の街 緑の夢 6

アルバス城のバルコニー


国王の葬儀がしめやかに行われ、エリザベスの心には、夫を奪われた怒りが渦巻いており、暗く淀んだ憎悪に包まれたその時。

彼女のエネルギーに呼応するかのように現れた光の魂。

それはまるで彼女の心に共鳴するかのように輝き、不思議な力で彼女を包み込もうとしていた。


彼女はその光に手を伸ばすと、エリザベスは自分の中に沸き起こる未知の力を感じた。

それは彼女の決意と共に、これからの運命を変えるための力になるかのようだった。

エリザベス王妃は、ふいに耳元で響く声に驚きながらも、まるで待ち望んでいたものに出会ったかのように、静かにその言葉を受け入れた。

その声はどこからともなく湧き上がり、まるで彼女の最も深い心の奥に直接届くように語りかけてくる。

「そなたは力を欲しているように見える」と、低く滑らかな声がささやく。

彼女は目を細め、声の主を探すように辺りを見回すが、姿はない。

しかし、胸の奥にある憎悪の炎がその声に応えるように高まり、彼女の中で何かが共鳴するのを感じた。


「ええ、あいつに……復讐する力が欲しい」と、エリザベスは凛とした声で答えた。

その声には、これまで隠されていた熱い渇望と怒りが込められていた。

「ワラワは黒い光を追っている。アレを消滅もしくは拘束するには、器が必要だ。」

アテナエルの声が一層低く、闇の中でさざ波のように揺れ、彼女の心をとらえる。

「ワラワの願いを叶えてくれるなら、力を貸そう。」


エリザベスはその言葉に引き寄せられるように、無意識に手を伸ばした。

彼女の瞳は強く燃える決意で輝き、その目に宿る感情は一瞬のためらいすらない。

今、この復讐の力が与えられるなら、どんな代償も払う覚悟があると、彼女の存在全体が訴えていた。

「いいわ。だからその力を、私に。」

エリザベスは静かに告げた。

彼女の言葉は夜の闇に溶けていくと同時に、光の玉が一層強く輝き、まるで彼女の手を受け入れるかのように、ゆっくりと近づいてきた。



――――――――――



その頃


大臣の手により禁断の技術と魔法が融合し、邪悪なゴブリンのような生物「地の者」が製造され始めたのは、国中に不穏な空気が漂うきっかけだった。

彼らは暗い地中から這い上がり、影のように忍び寄り、恐ろしい速度で増殖していく。

特に、国王が暗殺されるとその邪悪な力は一層強まり、まるで国の悲しみや混乱に呼応するかのように「地の者」の数は無限に膨れ上がった。


王家は各地で出没する地の者に危機感を募らせ、対応に苦慮していた。

王妃エリザベスは国のために動かねばならないと決意するが、その心には激しい憎悪と焦燥が渦巻いていた。

そんな時、彼女の目にふと、机の上に無造作に置かれたタロットカードが映り込んだ。

「ワラワの器は一つ……だが、このカードなら……」

彼女は新たに宿ったアテナエルの力を感じつつ、深く息を吸い、カードを手に取った。瞬く間に魔法陣が机の上に浮かび上がり、彼女の意志がカードに刻み込まれていく。

「このカードに選ばれしものたちよ、地の者を退けよ……」

アテナエルの力を宿したカードは、まるで意志を持つかのように風に乗り、国中へと散りゆく。

それぞれの土地に流れ着いたカードは「選ばれし者」たちの手に渡り、邪悪な力を打ち破る使命を持たせた。


選ばれし者たちは、カードの力を得て勇敢に立ち向かい、地の者と戦い始めた。

最初は散発的だった戦いもやがて各地で広がり、民たちは徐々に勇気を取り戻し、邪悪に屈しない強さを見せ始めた。

エリザベスの決意と、アテナエルがもたらした力により、戦乱は収まりつつあり、国に再び静けさが戻り始めたのだった。



――――――――――



地下神殿


地下の拠点は湿った空気と薄暗い灯りに包まれ、不気味な静寂が漂っていた。

大臣は国王暗殺の報告を受けた時は、満足げに微笑んだが、その笑みは長続きしなかった。彼の胸には、かつての苦い思い出が蘇る。


「私はどうしてもあの妃が欲しいのだ。本来なら私が彼女の夫になるべきだったんだよ。」

大臣の声は次第に苛立ちを帯び、指先が机をリズミカルに叩く。

「あの時、私に少しの運があれば……いや、今こそ実現するときだ。クローヴィス、彼女をここに連れてこい。」


その言葉には、王妃の意志など眼中にない冷酷さと狂気が滲んでいた。

しかし、クローヴィスは黙ったまま立ち尽くす。頭の中に、山小屋で見た王妃の涙と、国王を思いやる彼女の言葉が蘇る。

「……妃があんたに従うなんて、考えられない。」

クローヴィスは低い声で答えた。言葉の端々に、警戒心とわずかな拒絶が込められている。

「彼女が従わない?フフッ、お前に拒否権などあるのか?」大臣は冷笑を浮かべ、椅子から立ち上がる。

「お前は私が拾ってやったんだ。その恩を忘れたか?それに、お前の手は国王の血で染まっている。もし私を裏切れば、お前を暗殺者として密告してやる。」

クローヴィスの表情が一瞬険しくなる。だが、その後すぐに何事もなかったかのように顔を伏せた。

「……わかった。従うよ。」その声には、従うことへの諦念と、わずかな決意が混じっていた。

大臣は満足げに頷き、「それでいい」と短く言い放つと、手を振ってクローヴィスを下がらせた。


クローヴィスは心の中で葛藤しながら、命令を実行する準備を始める。

彼は数名の地の者を率い、自らも黒装束に身を包んで城への侵入を試みることになる。

しかし、王妃に対する複雑な感情が渦巻いていたその足取りは、どこか重かった。



――――――――――



夜の静寂に包まれた王城


重厚な石壁と高い塔が、どこか物寂しい月明かりに照らされている。

その中で、黒装束に身を包んだクローヴィスは、影のように城内を滑るように移動していた。

彼の顔は黒い布で覆われ、息を潜めたその姿は、どこか冷たい異質な雰囲気を放っていた。

クローヴィスが手を振ると、彼の手から黒い光が淡く揺らめき、重い扉が静かに開かれた。

この黒い光の能力を使い、彼は王妃のもとへと近づいていった。


やがて、王妃の部屋へと通じる長い廊下にたどり着いた。

王妃はアテナエルを身に宿しているため、並の兵士では到底敵わない。

想像以上に圧倒的で、地の者たちはまるで歯が立たなかった。

それでもクローヴィスは、命じられた通りに王妃をここから連れ出さなければならなかった。

黒い光がほとばしり、彼の体は影そのものとなって薄暗い廊下を進んでいく。

どんな障害も、彼の前では無力だった。

牢屋破りの時に使った同じ黒い力で、扉や障壁を次々と破り、クローヴィスは遂に王妃の寝室の扉に到達する。


しかし、その扉が開かれた瞬間、内部から激しい光が迸るように放たれた。

王妃は既に目を覚まし、アテナエルの力を解放して彼に立ち向かう準備を整えていたのだ。

その光はまるで彼を拒絶するように燃え上がり、クローヴィスの黒い力を押し返していった。


クローヴィスは一瞬だけ怯んだが、任務を遂行するべく、再び黒い光を駆使して王妃に迫ろうとする。

しかし、その力は王妃の放つ光に遮られ、近づくことができなかった。

王妃の光が眩しく部屋を照らし出す中、クローヴィスは逃走を決意する。

彼は素早く踵を返し、闇に溶け込むようにして部屋を出ようとした。

しかし、足元の何かが引っかかる音がし、彼の首元で鈍い音を立ててロケットが揺れ、服の外側に飛び出す。

それに気づいた王妃の視線が、ロケットに吸い寄せられるように注がれた。

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