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ダメ人間のしゅうまつ

作者: 七篠 久

さあ今週も終わりだ。


とはいっても働いていない俺には何も関係がない。

なぜなら俺は働いていないからだ。いわゆるニートだ。ダメ人間だ。

少し前ならほかのやつを馬鹿にして、働いているのはあほだとか、俺の方が才能があるだとか、金を稼ぐ奴は卑しいとか言っていた。

でもそんな気力ももはやない。あるがままを受け入れ、自分のダメ人間ぶりをそのまま纏う。

昔は賢かった。いや、過去を美化したいだけかもしれないが、神童と呼ばれ、周囲からももてはやされた。

肥大した自己だけが残った。周囲には友人もいたが、仕事をはじめ、家庭を持ち、だんだんと疎遠になってしまった。

連絡を取ろうと思えばとれるのかもしれないが、自分のようなダメ人間が他人の時間を奪うわけにもいかず、連絡は取っていない。


どうも今は終末らしい。週末ではなく終末だ。ネットは大荒れで、陰謀論などが渦巻いているが、どうも本当のことらしい。


一発やる気を出して犯罪でもしてやろうかと思った。金品を盗み、道行く人を襲い、女性に乱暴をする。


そんなことができるやつはダメ人間じゃない。ダメ人間は週末になってもやる気を出さず、終末になってもやる気を出さないのだ。

いや、やる気はあった。ただ、実行ができない。恐れ、怠惰、いろいろな感情が渦巻いて結局何もしない。


しないと思っているが、何もできないのだろう。終末ですら何もできない。世界が終わるときに本気出すと思っていたが、本気は出せなかった。


もしかしたら終わらないかもしれないし、それなら犯罪なんてしない方がいい。

言い訳を用意するのは得意だった。言い訳でずっと生きてきたから。


さあ今週も終わりだ。


終末が来るのか来ないのか、そんなことはわからない。

わかっているのは自分が何もしないダメ人間で、この世が終わらなくてもダメ人間は続くということだけだった。

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