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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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決闘①

7時半頃に鈴の家を出て45分頃に目的地到着する。

あと10分程で雨里さんもここに到着するだろう。

そんな事を考えていると足音が近づいてくる。

早速雨里さんが来たようだ。


「おーい!二人ともー!戻ってきたぞー!」


振り向いて見てみると来たのは雨里さんではなく先程店に手伝いをしに向かった多玖だった。


「早かったじゃん。店の方は大丈夫だったの?」

「ああ、今日は人が少ないから親が早めに切り上げていいって」


そう二人が話す。

詳しくは知らないが多玖は両親の店を日頃から手伝っているらしい。


「で、もうそろそろ来るんじゃないか?」

「確かに、じゃあ俺たちはあっちの方でひっそりと観戦してるよ」

「二人とも見て行くんだ」

「あったりまえだ。お前の高校生活がかかってるんだからな」


何故かはわからないが二人が見守ってくれているというのは少し嬉しい。


「ありがと」

「じゃ、頑張ってね」

「頑張れよ」

「ああ」


二人は少し離れたベンチの一つに腰を下ろした。

八時までの残り時間は五分を切っている。

軽く準備運動をしていると公園の入口から誰かが近づいてくるのがわかった。

今度は間違えない。

紛れもなく雨里さんだ。


「早いね。そんなに楽しみだったの?」

「まあ」

「ふーん、じゃあ早速始めよっか」

「うん」


腰に常備しているナイフの柄の感触を確かめながら、雨里さんと対峙する。

雨里さんが翼を生やし槍を創り出す。

それを合図に僕もナイフを取り出す。


「······右のは何かの毒?それともう一方は媚薬かしら」

「······!」


心臓がドクッと波打つ。

毒だけに。

いやそんな事を考えている暇はない。

何故バレた?

別にバレても問題はないけど。


「匂いでわかるわ。昨日とは違った匂いだったからね」

「雨里さんは凄いね」

「『雨里さん』呼びはやめて。ずっと気になってたのよ。だから留恵でいいわ。留恵って呼んで。さん付けもしなくていいからね。私も逢って呼ぶから」

「わ、わかったよ。······る、留恵」


なんだこれとてつもなく恥ずかしい。

顔から火が出てるみたいだ。

でも悪い気分じゃない。

雨里さんは黙りこくっている。

何かあったのだろうか。


「そ、そんな事より勝負よ。開始の合図はあそこの二人にお願いしようかしら」

「え、気付いてたの?」

「あんなの、誰だって気付くでしょ。こっち見て応援してるんだもの」


雨里さ······じゃなくて留恵に呆れられながら言われて二人の方を見ると確かに手を振っていた。

あいつら。

ひっそりとは何だったのか。


「二人を呼んでくれる?」

「うん、わかった」


手で二人にこちらに来るように訴える。

そうすると顔を見合わせてからこちらに駆け寄ってきた。


「何かあったの?」


何故か可愛らしい白色の犬を抱っこしながら鈴は聞いてきた。


「二人に開始の合図を任せたくて」

「それくらいお安い御用だぜ」


そう多玖が言うと少し離れた場所に移動した。


「じゃあこの硬貨が地面に落ちたら開始ね」


鈴が硬貨を多玖に渡し多玖が硬貨を弾く。

その間に左脚と右眼を『悪魔化』する。

その間に特に乱れてもいない呼吸を整える。

雨さ···留恵は『天使化』をして槍を創り出し翼を出した。

コインと地面がぶつかり合う。

その瞬間雨···留恵が槍を突き刺して来る。咄嗟に受け止めそのまま後退する。

受け止めるな。

ここからはしっかりと多玖に教わった通りにするんだ。

今度は左から薙ぎ払い。

少し屈んで留恵に接近する。

だが留恵は槍をそのまま頭上に持っていき振り下ろした。

この距離では後退は出来ないのでそのままナイフを突き立てながら横を通り抜けた。

留恵がこちらを向く。

あまり深くは切り付けられなかったようだ。

右手のナイフで切ったため毒が多分回っているはずだ。


「昨日よりは強くなってるじゃない。1日で凄いわね」


留恵に褒められる。

だが急に視界が揺れて体が崩れ落ちた。


「でもちょっとまだ足りないわね。」


その言葉の後に悪魔化が解けた。

何をされたのかは遅れながらわかった。

簡単な話すれ違った瞬間に切り付けられていただけだ。留恵はすぐに翼を引っ込め武器を消した。


「じゃあまた明日ね」


そう言うと留恵は公園から去っていった。


「まあ、何だ、どんまい」


多玖が励ましてくれる。

別にそんなに落ち込んでいる訳では無い。

昨日の時点で実力差は知っていたからだ。

一朝一夕で埋められるような差ではない。


「ありがと。ところで結局毒は効いてたのかな?」


鈴にそう問いかける。

すると鈴は腕に抱いていた犬を魔法陣の中に戻しながら答えた。


「うーん、ほぼ効いてないんじゃない?」

「ちょっと待て二人は毒を仕込んでたのか?」

「ああ、多玖には言ってなかったね。ナイフに毒を仕込んでみたのさ」

「結局は効果があったとしてもほんの少しパフォーマンスが悪くなる程度じゃない?」

「そうか。じゃあ次は媚薬の方を試さないとな」

「媚薬もあったのか?」

「そうだよ。俺の家で浸してたんだ」

「じゃあそろそろ帰るか」

「そうだな。明日もまた特訓だな」

「ああ」

「じゃあな」

「ばいばい」

「二人ともありがとね」


二人は別々の方向へ歩き出した。

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