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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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月日を重ねて

何ヶ月前だったか、ある日戦ってる途中に倒れてから僕は満月の日以外は留恵と戦うのをやめた。

否、やめされられた。

僕はちょっと休めば大丈夫だと言ったが留恵は聞かず、月に一度しか戦わないという約束を結ばされた。

そして『完全化』をカフェインによってコントロール出来るようになってから今日で4ヶ月。

毎回満月の日に全力を尽くしているがなかなか勝てない。

しかし確実に近付いている実感はある。

そして今日もまた月に一度の留恵と戦える日がやってきた。


「あぁぁぁぁぁ!くっそ眠い!」

「はい、いつもの」


真冬の冷たい風が吹く公園で鈴から受け取ったドリンクを喉に流し込む。

身体中に不快感が訪れると共に眠気も薄くなっていく。

なんとか今日も授業を耐えきれたが兎にも角にも眠たい。


「寝てもいい?」

「だめだ、今日は秘策があるんだろ?」

「ああ、そっか。なるべく集中出来る方がいいのか」


昨日というより今日、眠れないのでその時間を借りてきた魔導書に費やしていたら僕に適性のある魔法を発見した。

朝までずっと練習し何とか使えるようにはなったが正直留恵に通じる気がしない。

まあ一瞬の時間稼ぎになれば十分かな。


「まあ最近あっちも協力的だから構わないけどね」

「俺は口悪いから嫌だぞ」

「どうせ出来ないだろうけど一応口には気をつけるよ」

「出来たらな。じゃあ7時半にもう一度ここに集合だ。それじゃあ」

「じゃあね」

「ばいばーい」




家に戻った僕は冷蔵庫に置いてある食材を使い夕飯を済ませる。

そしてシャワーを浴びてからまた公園に向かった。


「こんばんは、逢」

「こんばんは、留恵」


夜になり本格的な寒さを肌に感じているといつもと同じように待ち合わせ時間ピッタリに留恵は来た。

さっきまで多玖と鈴が準備運動を手伝ってくれたので今はもう身体が温まっている。


「早速始めましょうか」

「うん」


互いに距離を取り戦闘態勢を取る。

留恵が槍を出し炎を纏ったのを見計らってから地面を蹴った。

正面から留恵に斬りかかり防がれるとすぐに退く。

次に一気に回り込んで右側から攻める。

右手のナイフを防がれるがすぐにしゃがみこんで足を狙う。

留恵は槍を巧みに使って棒高跳びの要領でジャンプして躱す。

着地の瞬間を狙うためすぐさま留恵の着地地点に行こうとするが、目の前で槍が振りかざされたため撤退を余儀なくされる。

地面に叩きつけられた槍は周りの地面を抉り、破片を飛ばしてくる。


「っ〜!」


破片の一つが腹部に刺さり声にならない悲鳴が漏れる。

苦しんでいる間もなく槍が頭上から振り下ろされる。

咄嗟に転がってなんとか躱すことができたが留恵はまだ攻める気のようだ。

······秘策を使う時が来たか。


「この世界の基盤たる大地よ、地より這い出て我が身を護り給え」

「っ!?」


『土壁』


自分の目の前に1枚の土で作られた壁が現れる。

留恵は僕を切り裂く前に土壁を破壊し、その間に距離を取る。


「魔法使えたのね。初めて知ったわ」

「今日の朝に覚えただけだから使えるなんてレベルじゃないよ」


あそこで無惨にも残骸となった土の欠片を見て思考を巡らせる。

耐久力は軽いパンチで壊れる程度だが一瞬だけなら視界を遮れる。

それなら······。

もう一度詠唱を始めそして目の前に横に大きく広げた壁を作る。

その瞬間右側に走り出す。


「はあっ!」


留恵が壁を壊す姿が見えるがその時僕はもう後ろにいた。

慌てて振り返ろうとする留恵の背にナイフを突き刺す。


「グッ······」


すぐに離れようとするがナイフを抜いた瞬間右手を掴まれてしまう。


「はぁ······はぁ······突き刺すのはリスクが大きすぎるんじゃない!」

「ガハッ············」


そのまま右手を掴まれたまま地面に叩きつけられ肺の中の空気が全て押し出される。


「トドメよ」


ヒュンと空気を切り裂いた音が聞こえ首筋に槍の先端が当てられる。


「······降参です」


その直後、『天使化』が解けて留恵が倒れ込む。


「はぁ······危なかったわ」


冬の夜風は指先を悴ませるが運動した後の今となっては少し心地良い。


「来月が楽しみね」

「ああ」


僕も留恵も少しふらついた足取りで家へと帰った。

来月こそは絶対に勝つ。

いや、勝ってみせる。

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