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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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「何やってたんだ?」


多玖がそう聞く。


「委員会の仕事だよ」


と鈴が返す。


「そうか。じゃあ後は鈴に任せるぜ」

「この後何かあるの?」

「店の手伝いをする予定があるんだ」


僕が聞くと多玖はそう言った。


「じゃあね。後のことは俺に任せて」

「明日結果報告するね」

「おう! 」


そう言い残し、多玖は店へと向かっていった。


「なあ多玖に一発当てれたんだろ?」

「うん、一応」

「それならさ、ナイフに毒塗ろうよ」

「毒?」

「そ。大体の毒なら俺持ってるからさ」

「どんな毒なの?」

「まあ、神経毒がメジャーかな。それか媚薬」

「び、媚薬!?」

「媚薬なら雨里さんでも効くんじゃない?」

「ならって何よ?」

「いや、雨里さんって多分凄い方の天使だからもしかしたら毒ぐらい中和しちゃうかもしれないでしょ?」

「そうだけどさ······」

「まあ試して見ないとわからないしとりあえずウチ来て」


今日も8時からだからまだ時間はある


「じゃあ鈴の家にお邪魔させてもらおっかな」

「さあそうと決まればしゅっぱーつ」


15分ほど鈴と一緒に歩き鈴の住むマンションへと着く。


「ささ、入って入って」


鈴はオートロックの扉を操作しながらそう言った。

鈴の家はいかにも高そうなマンションで、十何階まであるらしい。

扉を抜けた後、鈴は僕とエレベーターに乗り込むと8と書いてあるボタンを押してドアを閉めた。


「ただいまー」

「お邪魔します」

「ま、誰も居ないんだけどね」

「誰もいないのにただいまって言ってるの?」

「そうだよ。特に理由はないけどね」

「へー」

「それで、本題に入るけどどんな毒がいい?」

「毒か······」

「ぱっと思い付かないならまずは神経毒にしよっか」

「じゃあそうするよ」

「ちょっと待っててね。今持ってくるから」


そう言って鈴は他の部屋へ毒を取りにいった。

部屋を見渡してみたが特に変わったものはない。

それなのに家にたくさんの種類の毒を置いていると言うのだから不思議なものだ。


「持ってきたよ」

「へぇ、これがそうなの?」


鈴が持ってきたのは瓶に入った黄色の液体と透明な液体だった。


「そうだよ。まずは1本ナイフ貸して」


そう言われてナイフを鈴に差し出す。


「えい」

「!?」


何を思ったのか鈴は瓶の中にナイフの刃を浸し始めた。


「な、なにしてんの!?」

「ん?ああこれが1番手っ取り早いと思って」

「······錆びない?」

「······多分」


まあいいか。

鈴は考えがあってやってるんだし。

······浸すと毒って染み込むのか?


「ところでこれは何の毒?」

「さっきから言ってる通り神経毒だよ」

「あ、いや、そうじゃなくて、何か抽出した毒?」

「ああ、これは蛇の毒だよ。みんな大好き即効性の」

「そうなんだ」


これが雨里さんに効けばいいんだけどな。


「あ、あともう一本の方も貸して」

「ああ、いいよ」


今度はさっきの透明な方の液体に浸すのだろうか。


「はい、どーん」


案の定ナイフを浸し始めた。


「そっちは?」

「媚薬」


結局使うんだ。

現在は5時半前。

まだまだ時間はある。


「浸してる間やることないだろうから、ウチの子と遊んでてよ」


鈴の言う『ウチの子』とは鈴の扱う『召喚魔術』による魔獣の事だ。

『魔術』は主に人間が得意としているものだが鈴は悪魔の中でも特にその扱いに秀でている。

一番得意なのは『召喚魔術』らしい。

鈴は肉弾戦は得意ではない。

しかも『悪魔化』は右手の人差し指と中指しか出来ないそうだ。


「いいけどナイフないから素手でやるしかないよ?」

「ナイフくらいならウチにもあるさ。ちょっと待ってろ」


そう言うとすぐに鈴はナイフを2本持って戻ってきた。


「はいよ」

「ありがとね」

「じゃあ屋上に行こっか」

「わかった」


そう返事をしてから鈴とともに部屋を出て、屋上へと向かう。

屋上はちょっと小さな公園レベルで大きかった


「じゃあこの子と遊んでもらおうかなね」


鈴は地面に手を翳しながらそう言う。

すると地面から魔法陣が浮かび上がり、その中央から狼が3匹出てきた。

口には脇差を咥えている。


「右から順に、『ウーちゃん』と『ルーちゃん』と『フーちゃん』だ。可愛いだろ?戦闘もできるんだ。3人いれば連携はとれるし、手数の多い雨里さんに挑む逢君にはピッタリだ」


3人?


「······そうだね。じゃあお願いしようかな」

「じゃあ3人とも逢君をボコボコにするんだよ。じゃあ俺が合図したら始めてね」

「ああ、わかった」


右眼と左脚を『悪魔化』する。

視界が紅く染まり3匹の毛の1本1本までが鮮明に見えるようになる。


「······じゃあ始め!」

「「「ウァウ!!」」」


ナイフを構えてこちらに向かってくる3匹の狼に備える。

2匹の狼がこちらを挟み込むように向かってきて、もう1匹はタイミングをズラしてはやめに正面からやってきた。

戦況を変えるため全速力で左側に寄る。

こうして3匹を正面から捉えることに成功した。

1匹目を左のナイフで脇差を受け止めて右のナイフで刺すつもりだったが、2匹が右のナイフを受け止め脇差で攻撃をしてきた。


「危なっ!」


間一髪、2匹とも両手のナイフを使って払い除けた。


「う・し・ろ」


鈴がにへらと笑いながらそう言った。

鈴のその言葉の意味を理解する間もなく、首に衝撃が走った。


「っ······」

「はい、終わり〜。結構瞬殺だね。逢君完全に『ウーちゃん』の事忘れてたでしょ」

「どれが『ウーちゃん』だか区別がつかないな」


悪魔化が解けてからそう悪態をつく。


「最初に逢君を攻撃したのが『ウーちゃん』でその後逢君のナイフを受け止めたのが『ルーちゃん』。最後に脇差で攻撃したのが『フーちゃん』」

「そうなんだ······。それにしても凄い連携だね。全員で会話をしているような感じだった」

「会話はしてないけど俺が指示を出てたからな」


ドヤっと鈴が胸を張る。


「凄いね。完璧な指示だった」


どうやって指示を出したとか、いつ指示を出したとかは聞かないでおこう。

多分『魔術』関連の事なので僕にはさっぱり分からないからだ。


「ありがとね。それじゃあそろそろ部屋に戻ろっか」

「ああ」


そう返してから二人で屋上を出る。

三匹の狼は屋上を出る時に魔法陣の中に消えていった。




「ナイフ返すよ」

「ありがとね」


現在は六時過ぎ。

そろそろ家に帰ってご飯を食べて雨里さんとの戦いに備えたい時間帯。


「じゃあそろそろ僕はお暇させてもらおっかな」

「もし良かったらウチでご飯食べてく?」

「······良いの?」

「良いよ。一人じゃ寂しいからね」

「ならお願いしようかな」

「今夜は麻婆豆腐だ」

「手伝うよ」

「ありがと。じゃあそこのタッパーに入ったご飯をレンチンしといて」

「わかった」


鈴に言われた通りにレンチンを始める。


「どの食器を使えばいい?」

「ご飯が入ればなんでもいいよ」

「わかった」


鈴の方を見てみると麻婆豆腐はほぼつくり終わっている状態だった。

はやい。

温め終わったのを確認してから電子レンジを開けて中からタッパーを取り出しお皿に盛り付ける。


「はい完成」


鈴がテーブルに食器を運ぶ。

テーブルの上にはご飯と麻婆豆腐、それと野菜炒めが置かれていた。


「「いただきます」」


二人で夕食を食べ始める。

豆腐は絹豆腐を使っているらしい。

自分は絹の方が好きなのでありがたい。

特に話すことはなくそのまま食べ進める。


「今何時くらい?」

「んー大体7時過ぎくらいかな」


そう鈴は答えてくれた。

少し経ったら善悪池公園に向かおう。

そのことを鈴に伝えると快諾してくれた。

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