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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
29/46

決闘?〜タピオカ〜

下り坂を風を切るように飛ばしながら下る。

逢が「ここからだと駅まで30分はかかるし、自転車乗ってく?」と言い、それに甘えさせて貰ったのだ。

別に『天使化』して走ればいいだけの話だが、今日はそこそこ暑いし、走るのも疲れるので逢に任せた。

逢が足を『悪魔化』して自転車を漕ぐ。

その後ろの本来物を置くべき場所に腰を掛け、逢の肩を掴んで体を安定させる。

勢いに乗れば逢でも2人乗りは出来る。

そして気付いた事がある。

思ったよりこれは快適だと。

私自身は特に疲れないし、風も感じれるのが理由となる。

まあ、逢が善意でやっているのだ。

存分に楽しもう。


「ふぅ、やっと着いた」

「あー、思ったよりも重労働だった······」

「重労働ってなによ、私が重いとでも?」

「それより後半の上り坂がヤバかった」

「あー、あれは一瞬降りようか迷ったわ」


一瞬だけ、ね。


「自転車とめてくるね」

「どうせ待ってる間暇だしついてくよ」

「すぐそこだけどね」


逢が自転車を押して歩くのでそれについて行く。

薄暗い自転車置き場は夏なのに何故か涼しい。

管理人さんがクーラーをつけているのだろうか。

逢が自転車を入口の近くにとめ、鍵をかけた。

用を済ますとすぐに踵をかえして出口へと向かった。

2時28分の電車をホームで待ち、その後電車に乗り込む。

15分ほど逢と駄弁った後、善進駅に到着した。


「あー、何気に初めて善進駅に来たかもしれない」

「奇遇ね。私もよ」

「············」

「············」


あ、終わった。

ダメじゃん。

噂のタピオカとやらの店もわからないじゃん。


「調べるか」

「ナイス、任せた。エスコートして」

「はいはい······」

「北口と南口どっち?」

「多分北」


さすが逢。

やる時はちゃんとやる悪魔だ。


「徒歩5分だって」

「のんびりあるこっか」

「そうだね」


逢に少し前を歩いてもらい、噂のタピオカ屋へと歩みを進める。

調べた通り5分程度でタピオカ屋についた。


「ねぇ逢、あそこの2人組ってさ、もしかして······」

「······笛水先生と伊上先生だね」


伊上 論(いかみ ろん)先生は数学が専門の先生で、私たちもたまに伊上先生の授業がある。


「2人ってどういう関係なんだろうね」

「さあ?」

「聞いてみよっか」

「挨拶という名目でならいいんじゃない?」


背が小さくて可愛らしいと言われている笛水先生と、そこそこ背が高くイケメンの伊上先生が2人で歩いているとカップルと言うよりかは親子のように見えてきた。


「笛水先生、伊上先生こんにちは〜」

(学校外で先生って呼んでいいんだっけ?)

「お?曽宮さんと雨里さんですか。こんにちは。よく僕たちがわかりましたね」

「伊上先生は目立ちますから」

「ふふふふふ、雨里さんは面白いですね」


最初に反応してくれたのは透き通るような声の伊上先生だった。


「2人もタピオカ目当てですか?」


私に続いて逢も質問する。


「はい······。実は私タピオカというものを飲んだことがなくて······」

「そうなんですか」


私と同じ類だったか······。


「そこでよくここに来る僕が同行しているんです」


ふ、と笛水先生が左腕の時計を確認した。


「あら、もうこんな時間なんですか。そろそろ次に行かないと······」

「じゃあ僕らはこれで。さようなら」

「さようなら」

「さようなら〜」

「······あと外ではあまり先生って呼ばないでくださいね」


あ、すみません。

······それより次ってことはこれから他のところにも行くのかしら。



逢視点


笛水先生と伊上先生がここを去った後、それぞれ注文をした。

僕は抹茶ラテを頼み、留恵はミルクティーを頼んだ。


「タピオカってものすごく美味しい訳じゃないのね」

「まあね。流行りのものなんて大体そんな感じじゃない?」

「そっか」

「······ねぇ、そっちのも飲ませてくれない?」

「いいよ」


留恵に抹茶ラテを渡し、留恵のミルクティーを受け取る。


「············味は変わるけど、そんなに何かが変わるって訳じゃないわね」

「まぁ、そうだね」

「そうだ!近くに大きなショッピングモールがあるでしょ?そこに行かない?」


ちらと携帯を見るが夕方まではまだ時間がある。


「そうだね。そうしよっか」


確かそのショッピングモールはあっちの道を真っ直ぐ進めばあるはずだ。

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