決闘?〜映画〜
「はぁ······。つまり女の子の家に上がり込んだ挙句、何もせずに帰ってきたと」
「逢がそんな奴だったとはな······」
(何もせず、ってゲーム以外やることあんのか?)
「待て、俺に何をしろと」
「手順その一、良い感じのタイミングでシャワーを借りる」
「それでどうするの?」
「あとは本能が求めるままに······」
「何言ってんのかさっぱりわからねぇ」
「多玖がいるからね。ここではそんな話出来ないよ」
「なんで俺がいるとダメなんだよ」
「多玖はまだ純粋だから」
「そうそう。まだギリギリ白」
「はぁ······」
多玖は女性との関わりがほぼ皆無。
さっきも適当に相槌を打っていたに違いない。
ついでに鈴もこう見えて女慣れしていない。
「それで今日もなのか?」
「うん」
「毎日大変だね」
「いやいや、留恵と一緒に過ごせるだけ楽しいよ」
「それなら良かった。······ところでそろそろ時間じゃないのかい?」
「ん?ああ!そうだった。じゃあな」
「······逢君は楽しそうだね」
「そうだな······」
ピンポーン、と留恵の家のチャイムを鳴らす。
『はーい』
「遊びにきた」
『ちょっと待っててね』
そう言うと中からパタパタと音が聞こえ、ドアが開いた。
「昨日ぶり〜」
「昨日ぶり」
出迎えてくれたのは部屋着姿の留恵だった。
「今日汗かいちゃったからシャワー浴びてたの」
どおりで髪が湿っているわけだ。
「ま、そんなことはどうでもいいや。入っちゃって」
「お邪魔しまーす」
「部屋行ってて」
「わかった」
留恵に言われた通り、部屋に向かう。
「お待たせー。······それでさ、何する?」
「何するかねぇ」
多分ゲーム系は勝てないだろうし、わざわざ2人でトランプをするのもなぁ······。
「あ!映画みる?」
「いいんじゃない?なにみる?」
中々に良い考えだと思う。
しかも今から一本映画をみれば、ちょうどいい感じの時間になるのではないか。
「血が出るやつと出ないやつどっちがいい?」
「出ないやつで」
「じゃあAHKの特別放送版かな」
AHKこと悪魔放送協会は基本的に小さい子供向けのものを放送しているので流石に僕には合わない
「やっぱり出るやつで」
「出るやつは······何があったか忘れた。下行って確認しよっか」
2人で留恵の部屋を出て、リビングへと向かう。
「あー、ゾンビ系しかないけどいい?」
爽やかな笑顔で留恵はそう言った。
留恵視点
ソファーに2人並んで座る。
本当に座っているのかというと逢が私の背中に隠れる形でソファーで体育座りをしているいるため微妙だ。
『大丈夫、ここにはゾンビはいないはず······』
『ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!』
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
「ちょ、逢、うるさい」
小一時間この調子だ。
始まってから人が死ぬたびに叫び、ゾンビが急に出てくると叫び、とにかく叫びっぱなしだ。
そんなに怖い系の映画じゃないのに······。
しかもずっと腕をホールドしてくる。
悪い気はしないので構わないが。
「もうやだ······」
「逢が選んだんじゃん」
「これならAHKの方が断然良かった······」
······怖がってる逢を見るのめっちゃ楽しい。




