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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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遊園地②〜葉月視点〜

兄ちゃんが『ジェットコースター』のチケットを買っている。


「多玖、乗る?」

「乗っとくか」

「え、バレないんですか?」

「それなら······」


そういうと千和さんはバッグから帽子を3つ取り出した。


「これ被っときなよ」


私には茶色のキャスケットを差し出し、二人は黒のキャップを被った。


「これで大丈夫だな」


大丈夫かどうかはわからないが本気で乗りに行くらしい。


「チケットは俺が買って来るよ。二人は待ってて」


千和さんがチケットを買いに行った。

兄ちゃん達はもう並び始めているので鉢合わせる事はないだろう。


「買ってきたよ」

「ナイス。何円だった?」

「一人800円」

「あー、細かいの持ってねえや。じゃあさ順番に奢っていこう。次のアトラクションは俺が奢るな」


ここのアトラクションは確か全部同じ値段だったような気がするので結構いい案かもしれない。


「その次は私ですね」

「それで行こうか。じゃ、逢君とある程度距離が取れたら並ぼっか」


兄ちゃん達が並んで数分してから列に並ぶ。

全員が着席し動き出す。

ここの『ジェットコースター』は兄ちゃんと何回か乗ったことがあるが兄ちゃんは大丈夫だろうか。

兄ちゃんは昔からこういうスリリングなのが苦手なのだ。


「あああああああああああああ!!!」


やっぱり全然大丈夫じゃなかった。


「「あああああああああああああ!!!」」


こっちも大丈夫じゃなかった。



「あー、疲れた」

「同感」

「兄ちゃん達はもう一周するみたいですよ」

「あいつすげぇな。俺はパス」

「俺もパスするよ」

「じゃあ兄ちゃん達が終わるのをここで待ちましょうか」

「そうだな。のんびり待つか」


行きに買ったペットボトルをバッグから出す。

近くのベンチに座って兄ちゃんが叫んでる『ジェットコースター』を見上げる。

頑張れ。

我が兄ちゃんよ。

貴方の妹は陰ながら応援してるぞ。

決して『ジェットコースター』なんかに負けないように。


「アイス買いに行く?」

「行く」

「行きます」



近くのお店でソフトクリームを買う。


私は普通のソフトクリーム、千和さんは抹茶ソフト、御園さんはチョコソフトをそれぞれ買った。

ソフトクリームを食べながら『ジェットコースター』乗り場に戻るとまた兄ちゃんが『ジェットコースター』に乗っていた。


「げっ、彼奴何回目だよ······」

「多分3回目だね」

「兄ちゃん、『ジェットコースター』苦手なのによくあんなに頑張るよなぁ」


また兄ちゃんの叫び声が聞こえた気がした。


「あ、降りてきた」

「次は······あっちか」


お疲れ、兄ちゃん。

ついでにそっちは『お化け屋敷』方面だ。

『お化け屋敷』が苦手なの、私は知ってるぞ。


「じゃ、俺がチケット買って来るぜ」

「いってら〜」

「あ、もう逢君達は入っちゃったみたい」


『ジェットコースター』に『お化け屋敷』。

明日の兄ちゃんはきっと昼前まで起きてこないだろう。

心配だ。


「買ってきたぞ」

「3人でお願いします」


黒い洋服の女性にチケットを渡し中に入る。


「あああああああああああああ!!!」


もう兄ちゃんの悲鳴が聞こえる。


「うおおおお、なんだこれ。血付いてるぞ」

「な、なんか寒くない?気のせい?」


こっちもこっちではしゃいでる。


「······」

「ガァァァァァァ!」

「うああああああ!」

「に、逃げるぞ」

「······」


めっちゃ楽しそうじゃん。


「もうあんなとこ行かねぇ」

「『お化け屋敷』嫌い」

「まあまあ」


ここの『お化け屋敷』はそんなに怖くないはずなんだけどなぁ。


「今度はティーカップだってよ。どうする?」

「ティーカップはバレそうだし乗らなくていっか」

「そうですね」

「一応近くまでいこっか」


ティーカップはそんなに激しい乗り物じゃないので絶叫系が苦手な兄ちゃんでも大丈夫だろう。


「あああああああああああああ!!!」


······そんなことはなかったみたいだ。

あれ?

ティーカップってあんなに回るものだっけ?

そしてティーカップは段々と動きを止め、中から死んだ目をした兄ちゃんが出てくる。


「お昼はどうする?」

「逢達が行くところで食べるか」


兄ちゃん達はちょうどフードコートのあるお店の方へ向かっていった。


「逢君達はたこ焼き食べるみたいだけど二人はどうする?」

「俺はハンバーガー買って来る」

「じゃあ私はうどんで」

「ならラーメンにしよっかな」


見事に三人とも別々の物を選んだみたいだ。


「じゃあ各自、買ってきたらこのテーブルに集合な」

「了解」

「わかりました」


うどんを売っているお店に向かう。

数分ほど待ち、そして自分の番が来る。


「月見うどんの並を一つ」

「500円になります」

「これで」

「ちょうどお預かりしました。番号が呼ばれましたらお受け取りください」


受けとった番号は229番。

ちらと、自分たちのテーブルを見ると千和さんが座って待っていた。

ついでに遠くでは兄ちゃん達がたこ焼きを食べている。


「229番の方〜!」

「はーい」


トレーに乗っけられた月見うどんを受け取り、テーブルへと向かう。


「おかえり〜」

「ありがとうございます。千和さんも買いに行ってきていいですよ」

「じゃあ行ってくるよ」


入れ替わりで御園さんが戻ってきた。


「鈴は?」

「今買いに行きました」

「なら待つか。······ところで何を買ったんだ?」

「月見うどんです。御園さんは?」

「チーズバーガーとポテトだ」

「へぇー」

「この後はどうするんだ?」

「兄ちゃんを尾けるだけですよ」

「そうか」


5分ほどで千和さんが帰ってくる。


「ただいま」

「おかえり」

「じゃあ食べよっか」

「「「いただきます」」」

「鈴のそれはなんだ?」

「豚骨ラーメンだよ。······あげないよ?」

「いらねぇよ」


二人の会話を耳にしながら月見うどんを食べる。

ふと兄ちゃん達の方を見るとたこ焼きをあーんして食べさせて貰っていた。


「何かあったの?」

「兄ちゃんがあーんしてる」

「アツアツだね」

「そうだな」


御園さんが少し笑いながら肯定し、チーズバーガーを食べた。

そして自分も月見うどんを食べる作業に戻ったのだった。

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