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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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遊園地①〜葉月視点〜

兄ちゃんが今日デートに行くらしい。

相手を聞いたらはぐらかされてしまった。

しかし幸いにも今日は土曜日。

部活もないため家で一日中ゴロゴロしてようかと思ったがやめた。

そうだ。

兄ちゃんを尾けよう。

そうと決まればさっそく行動に移そう。


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃーい」


兄ちゃんが家を出た瞬間にすぐに着替え始める。

こんな時でもオシャレは欠かず、さっき兄ちゃんが家を出るまでに決めた、黒いシャツとデニムのショートパンツに着替える。

着替え終わったらスマホと携帯と財布をバッグに入れて家を飛び出す。

鍵をかけるのも忘れずにね。

案の定急いだからか、まだ曲がり角を曲がっていない兄ちゃんの姿を捉えることができた。

そのまま大体30メートルほど離れた位置をキープしながら尾ける。

方角的に駅に向かっているだと思う。

30分間バレずに尾行に成功する。

兄ちゃんは駅に着くと柱に寄っかかってスマホを弄り始めた。

5分は経っただろうか。

ある2人組の男がコソコソと歩いているのを発見した。

2人とも暗い色の服装だ。


「逢を発見」

「よし、目を離さないでね」


どうやら兄ちゃんを尾けているのは私だけではなかったらしい。

二人組の近くに寄って話しかける。


「誰か探してるんですか?」


一応勘違いの可能性もあるので兄ちゃんの事はまだ口に出さない。

私の質問に対して眼鏡をかけたイケメンの男性が答える。


「友達を尾けているんだよ。ほらあそこのベージュのシャツにジーパンの男さ」

「奇遇ですね。私もなんですよ」

「へぇ······。妙な偶然があったものだね」

「んん?お前、逢の妹か?」


体格の良い、脱いだら筋肉が結構ありそうなもう一人の男性が聞いてきた。


「そうですよ」

「へぇ、たまに逢君が僕らに話してる子か。ええっと、名前はなんだっけ?」


私の何を話したんだろう。

少し気になる。


「葉月です。曽宮 葉月」

「ああ、葉月ちゃんね。俺は千和 鈴ね。こっちは······」

「御園 多玖だ。ところで葉月はなんで逢を尾けてるんだ?」

「兄ちゃんがデートに行くとか言い出して。暇で来たんです」

「そうなんだ。俺達も大体同じようなものだよ。葉月ちゃんは逢君が何処に行くか知ってる?」

「知らないです。何処に行くんですか?」

「遊園地だよ」

「遊園地かぁ」


一応財布に多めに入ってるとは思うが少し心配だな······。


「お金は大丈夫か?」


そんな私の心を読み取ったかのように御園さんが聞いてきた。


「え、えぇ。多分」

「もしお金が無くなったら俺達に教えてね」

「そ、そんな······。悪いですよ」

「大丈夫大丈夫。後で逢君に貰うから」

「それなら万が一のときはよろしくお願いしますね」

「うん」


3人で談笑していると、一人の女性が兄ちゃんのところに駆け寄ってきた。

誰だろうかと目を凝らしてみると、雨里先輩だった。

そう言えばこの二人も私と同じ学年じゃないし多分兄ちゃんと同い年の先輩なんだよね。

今更先輩呼びはなんだし、さん付けで固定していこう。


「······め······ね。······った?」

「ぜ·····ぜん、······きた······ころ」

「よ······ったぁ」


遠いので会話はほとんど聞こえないがおそらく挨拶でもしているのだろう。

頑張れ。

我が兄ちゃんよ。

貴方の妹は陰ながら応援してるぞ。

あ、二人が移動し始めた。


「追うよ」

「おう」

「はい」


改札を通り、ホームに着くとすぐに電車が来た。

二人が電車に乗ったのを確認してから私たちも電車に乗り込む。

まだ朝なので電車内はそんなに混んでいない。

見つからない為に念の為、一号車離れた場所から二人を見る。

二人は肩と肩が触れ合うほど密着して座っていた。

どちらかと言えば雨里先輩が距離を詰めてる感じがする。

兄ちゃんは不自然なほど背筋をピンと伸ばした様子だ。

雨里先輩は楽しそうな表情で何かを言っている。

すると兄ちゃんが急に窓ガラスに頭をぶつけた。


「うわ、痛そう」

「逢君、何か言われたな」


今度は兄ちゃんが何か言ってるみたい。

雨里先輩が急に固まって、その後抱きついた。


「激写」


千和さんがスマホを構えて写真を撮っている。


「どうすんだよそれ」

「結婚式にでも使うさ」


······兄ちゃんもう結婚まで考えてるのか。

兄ちゃんすげぇ。

その後は特に何も無く二人が談笑してるだけだった。


『天地駅〜。天地駅〜』


アナウンスが流れると二人は電車を降りた。


「降りるよ」


千和さんに着いていく。

遊園地ってここの事だったのか。

また兄ちゃん達から距離を取って尾け始める。

二人はチケットを買いに行ったようだ。

私もチケットを買いに行かないと。

そう思い二人にその事を伝えると千和さんがバッグからチケットを出して渡してくれた。


「え?いいんですか?」

「いいよ。元々1枚余ってたし」

「でも······」

「鈴がこう言ってるんだ。貰ってやれ」

「わかりました。ありがとうございます」


それより千和さんは何故兄ちゃんの分も買ってたのだろうか。


「ほら、二人はもう入っちゃったよ」

「追いかけるぞ」

「はい!」


入口でチケットを渡し中に入る。

すると入口付近で『ハルファスくん』を指さす雨里先輩を発見する事が出来た。

二人は少しの間『ハルファスくん』を見てから歩き出した。

あっちは確か、『ジェットコースター』や『お化け屋敷』があったような······。

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