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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
16/46

遊園地①

朝7時に起床する。

昨日はほぼ眠れなかった。

期待と不安とが混ざりあって睡眠どころの話じゃなかったのだ。

リビングに行くと葉月が朝食を作っていた。


「兄ちゃん、今日ははやいね。なんかあんの?」

「ああ、デートに行ってくる」

「へー。相手は?」

「······秘密」

「チッ」


舌打ちをするな。

葉月は一応高一のため、留恵とは面識がある。

バレたら面倒臭そうだ。


「朝ごはん作ってるけど食べる?」

「食べる」


今日は白米と目玉焼き、それと味噌を水で溶かして野菜を入れたものだ。

味噌汁と言うよりかは、味噌野菜汁と言う感じの料理だ。

葉月は別に料理が上手いわけではない。

無論、自分もそうだが。

両親は出張が多いため料理には慣れた。


「「いただきます」」


いつもの味だ。

特に変わらない葉月の料理の味。

自分で作るより他の人に作ってもらう方が美味しい気がする。

少し時間がなかったのでかけ足で食べた。


「ご馳走様」

「お粗末さま」


自分の部屋に戻り、昨日多玖が選んでくれた服に着替える。

そして鈴から貰ったちゃんとした香水をつける。

オススメは膝の裏にワンプッシュだそうだ。

ウエストポーチにスマホと財布、ペットボトルのお茶を入れる。

準備完了。

靴を履いてドアを開ける。


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃーい」


善悪駅へは大体30分ほどかかる。

着いたのは8時15分ごろ。

駅の正面入口で柱に寄っかかって待機する。

10分間ほどスマホをいじって待っていると留恵が現れた。


「ごめんね、待った?」

「全然、今来たところ」

「良かったぁ」


何故か物凄くベタな会話になってしまった。


「ところで、この服どう?」


上目づかいで少し頬を赤らめながら聞いてくる。

······心臓に悪い。

留恵の服を見てみると、白い肩出しワンピースに小さめの紺のショルダーバッグを身に付けている。


「とても似合っているよ」

「ありがとう」


いつも公園で会う時よりも明るい感じがしてとても良い。


(知理と一緒に服を選んで良かったわ)


今回目指すのは6つ離れた天地駅。

そこにはそこそこ大きな遊園地があり、自分も小さい頃に行ったことがある。


「じゃあ、電車に乗ろっか」

「うん」



二人はまだ自分達を追う影に気付いていなかった。



予定よりも1本はやい電車に乗り込む。

善悪駅から天地駅までは大体20分ほど。

その時間何を話すか。

何も話すことがないのだ。

ふと留恵の方を見るとキラキラと美しく輝いて見える。

直視なんて出来るわけない。


「逢、緊張してるの?」


ひょこっと僕の顔を覗くようにこちらを向いて小首を傾げる。


「別に緊張なんてしなくても良いのよ。そうねぇ······彼女とデートにでも来てると思えばいいのよ。その方が緊張しないでしょ?」


(こう言った方がもっと緊張するかしら?ふふふ、どんな反応するのか楽しみね)


逆にどんどん心拍数が上がってきてるんですけど!?


「私は彼氏と一緒にデートに来てると思うようにするわ。ねぇ、ダーリン?」

(ああ······はやく正式な恋人になりたいわね)

「ガッ······」


可愛すぎる。

キャパオーバーでクラッと来た。

そしてその拍子に窓に頭をぶつけた。


「いてててて」

「大丈夫?」

「大丈夫だよ。ダーリン」


ここで少し反撃してみる。


「······」

(か、可愛い!!)


どうかしたのだろうか。

肩をプルプルと震わせている。

もしかしてハニーとかの方が良かったのだろうか。

すると突然留恵が抱きついてきた。


「な······!?」

「······ごめんなさい。間違えたわ」


······何を?


「ところで最初は何をする?」

「そうね······『ジェットコースター』に乗ってみたいわ。私、遊園地は初めてだから」

「そうなんだ」


そんな他愛ない話が15分ほど続く。


『善進駅〜。善進駅〜』


もう善進駅に着いてしまった。

次が目的の天地駅だ。


「あ、もう着いちゃうわね」

「そうだね。あっという間だったね」

「ええ。貴方といると余計にね」


ドアが閉まり、車体が揺れる。

忘れ物がないか最終確認をしておく。


『天地駅〜。天地駅〜』


3分も経たずに天地駅に着く。


「じゃあ降りましょうか」

「うん」


電車を降りるとまず目の前に大きな観覧車が見える。

あれが今回目的の遊園地『ハルファスパーク』の観覧車だ。

改札を抜けて北口へ進む。

駅から直行で遊園地に行けるのもこの遊園地の強みだ。

駅を出るとすぐにコウノトリが描かれた看板が目に付く。

そこには『ウェルカム ハルファスパークへ』と書かれていた。


「じゃあチケット買って来るよ」

「私も行くわ」


留恵も一緒に来てくれるようだ。

遊園地は初めてらしいが大丈夫だろうか。


「中・高生用のチケットを二つ」

「合計で3000円になります」


素早く3000円を出す。

あらかじめ準備していた甲斐があった。


「どうぞお楽しみください」

「ありがとうございます」


チケットを二枚受け取り、片方を留恵に渡す。


「ありがとね」

「いいよ。さあ、中に入ろっか」


入口でチケットを渡して『ハルファスパーク』の中に入る。


「こういうのって初めてだからドキドキするわね」

「そうだね」


どちらかと言えば僕は留恵と一緒にいることの方がドキドキするのだが。


「······ねぇ、なにあれ」


留恵が指さしたのはコウノトリを模した外見のマスコットキャラクターだった。


「『ハルファスくん』だね。ここの看板キャラクターみたいなやつ」

「ちょっと可愛いわね」


そうなのだろうか。

まあ、留恵が可愛いと言えば可愛いのだろう。


「じゃあ早速『ジェットコースター』に乗ろっか」

「そうね。はやく行きましょう」


そう言うと留恵は僕の手を掴んで走り出した。


(勝手に手繋いじゃったけど大丈夫かな······。)

小説のデータが消えると焦りますね。

他の場所に保存してあって本当に良かったと思っています。

皆さんも小説のデータが消えないようにしっかりと対策をしましょう。

それではまた次回。

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