天使のナイフの使い方
「なぁ逢、笛水先生って知ってるか?」
「知ってるよ。1年生の音楽の先生でしょ?」
「そうだ。その笛水先生がだな、ナイフの扱いに長けているらしい」
「へぇ、そうなんだ」
「だからよ、今度笛水先生に教えてもらってこいよ」
「いいね。暗器の扱いが上手くなったら得しかないしね」
「じゃあ合唱部の空いてる時間を探して予定取ってこいよ」
「ああ。ありがと」
「いいって事よ」
満月の日から2日後の今日。
多玖からとても良い情報を貰った。
さっそく音楽室に行ってみるとしよう。
「えぇ······、私がナイフの指導ですか?」
「はい、そうです」
カールのかかった茶髪で髪型はボブ。
身長は150cm後半のこの女性。
この人が笛水 流良先生だ。
「私は天使なので多分君の思ってるナイフの使い方とは違うかもしれませんよ?」
「構いません。お願いします」
「はぁ······。明日またこの時間にここに来てください。そうしたら教えますよ。ではこれから部活があるので。さようなら」
「ありがとうございました!」
無事約束を取り付けることが出来た。
明日が楽しみだ。
「時間通りに来ましたね。では屋上へ行きましょう」
「ここでやるんじゃないんですか?」
「ここだと少し狭すぎるので」
「わかりました」
トコトコと小さな歩幅で歩く先生について行く。
「1番簡単に教える方法は戦うことですね。じゃあ始めましょうか」
「はい」
「合図なんて知りません。私が動いたら開始です」
先生が面倒くさがりなのは知ってます。
先生は『天使化』をして、僕も『悪魔化』をする。
そしてナイフも取り出す。
『武器創造』でナイフを創って戦うのかと思いきや、先生は指と指の間にナイフを創り、こちらに投げてきた。
ギリギリのところで避けるとナイフは地面に突き刺さり、そのまま霧散していった。
「これが私の戦闘スタイルです。避けられたのはすぐに消してるので疲れずに済みますし、接近戦が苦手な私にはピッタリです」
そう言うと今度は両手にナイフを持ち投げてきた。
近付こうと思っても投げるナイフが多いため近付けない。
そうこうしていると段々とナイフが掠り出し、最終的にはほとんど何も出来ずに『悪魔化』が解けてしまった。
「こんなもんですね」
先生は少し得意げに言った。
「私が教えられるのはナイフの投げ方です。まずはナイフの柄の部分を指と指の間に挟みます」
胸の前に挟んだ右手を見せながら説明している。
「君はナイフを取り出すときに挟めばいいです。その後は空気抵抗?を受けなさそうな感じで投げてください」
よくわからなかったが空気抵抗が少ない投げ方をすればいいのか。
鈴に聞いてみよう。
「ありがとうございます。大体わかりました」
「何に使うのかは知りませんが頑張ってくださいね」
「頑張ります」
「それでは」
そう言うと先生は屋上から校舎へと戻って行った。
少しの間ここで投げる練習をしよう。
15分ほど練習してみてわかったことは慣れないと難しいということだ。
そろそろ校舎に戻ろう。
そして二人に投げ方を聞いてみよう。
「ナイフの投げ方?」
「さっき笛水先生に教えて貰ったけどよくわかんなくて」
「そんなもん勘だ」
「勘かぁ」
「やってれば慣れるさ」
そんなもんか。
家に帰って厚めの板材を壁に取り付ける。
この板材は帰りに買ってきたものだ。
ベッドに寝っ転がって右手の人差し指と中指でナイフを挟んで投げる。
カンっ、と音がなってベッドにナイフが落ちてくる。
それを拾ってまた板材に向かって投げる。
それを何度も繰り返すとたまに板材に突き刺さるようになってきた。
大体刺さるようになったらベッドから降りてリビングへ向かう。
「兄ちゃん、今日もどっか行くの?」
「ああ、そうだよ」
「ふーん」
質問に答えつつ冷蔵庫から白米を取り出す。
お茶碗によそってレンジで温める。
そしてふりかけをかける。
こんなもんでいっか。
今日は何故だかまともに料理をする気にならない。
「兄ちゃん、そんだけ?」
「ああ。面倒くさくてな」
「栄養失調とかやめてよ?」
「流石にそうはならないさ」
数分で食べ終わった。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
前に余裕があると言いましたが全然余裕ありませんでした。
すみません。
また1週間に1話投稿する形にしたいと思います。
コロコロと投稿日を変えて本当に申し訳ありません。
こんなダメな小説ですが、仕方ないから見てやろうという方々には本当に頭が上がりません。
これからもこんな小説をよろしくお願いします。