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悪魔となって  作者: 羊木 なさ
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満月

悪魔には『満月派』と『新月派』が存在している。

『満月派』というのは満月の日になると力が増す悪魔達のことで、『新月派』というのは新月の日に力が増す悪魔達の事だ。

『満月派』は太陽の光を反射した目に見える月の光の方が精神に影響をもたらしやすいと考えている。

『新月派』はそれに対し新月の日は太陽に邪魔されないので直接月の力が届くと考えている。

これらは昔の悪魔達が考え出した物だ。

ちなみに僕は『満月派』だ。


朝目覚めるとふと背中に違和感を感じた。

背中を見てみると小さな翼が生えていた。

そうだった。

今日は満月の日だった。

元々あまり力をコントロールできない悪魔は満月や新月の日に半分『完全化』してしまいその日は常に翼が外に出ることになる。

これから夜になるにつれて翼がどんどん大きくなっていく。

そして夜になると僕は強制的に『完全化』してしまう。

朝ごはんを食べてから制服に着替え家を出る。

制服は翼があまり目立たないのが良い。

そしてこの日になるといつも肩にかけるバックで良かったと思う。

学校に到着する。


「逢おはよー」

「逢君おはよう」

「ようお前ら」

「······ああそっか。今日って満月だったもんね」

「そういうことか。逢は満月の日は口調わりーもんな」

「あ?おい俺はいつもと同じ口調だぞ」

「逢君の中ではね」

「今日は雨里さんと戦うのか?」

「ああ。いつまでも負けっぱなしじゃ癪だからな。今日こそはアイツに勝つ」

「頑張れよ」

「頑張ってね。······そういえば逢君。今日は体育あるけど大丈夫?」

「あ······」


「っぷはははははははははは」

「っくく逢君。それは反則だよ。っくくくくく」


何故俺がこんなに笑われているか。

それは主にこの翼のせいだ。

翼が少し尖っていて斜め方向に伸びているためため体育着を下から変に押し上げているのだ。


「くっ······」


頑張って背中を押さえて翼を畳んでみたが今度はバックを背負ったまま体育着を着たようなふくらんだ状態になっている。


「変わってねーし。っぷははは」


お前ら絶対に許さない。

今回の体育はソフトボールだったためあまり影響はなかったが他の競技だったらやばかった。


「逢君、次は理科だよ」

「あー授業だりー」


着替えながら鈴とそう話す。

上を脱ぐと折り畳まれていた翼が一気に広がる。


「サラシでも巻いてくりゃ良かったな」

「逢君の翼ってなんかコウモリみたいだよね」

「よく言われるわ」

「俺はカッコイイと思うけどね」

「ありがとよ」


やっと最後の授業が終わった。

はやく帰りてぇな。


「逢ー。今日は帰りに公園寄るのか?」

「あ?いややめとくわ」

「そうか。じゃあまた8時前にな」

「おう」


多玖との会話が終わるとすぐさま靴を履いて外へ出る。

だんだんと翼が大きくなっているのを感じる。

家に帰ったらゆったりとした服に着替えてサラシを巻こう。


「あぁー、きっっっつ!」


くそ、無闇矢鱈とサラシなんて巻くべきじゃなかった。

締め付けられる感覚が半端じゃねぇ。

いいやもう。

家の中なら上半身裸でも別にいいだろ。

サラシを外してそのまま上を着ずに部屋から出る。


「あっ······」

「そういえば兄貴もだったな」


大きめの翼で下着姿の妹がドアを開けた先に居た。

妹の短めのポニーテールが目の前を通り過ぎる。



葉月(はつき)、そんな格好ではしたねぇぞ」

「っていうか、どっちかっていうと兄貴の方がはしたねぇじゃん」


正論なので何も言い返せない。


「もうすぐで外行くからいいだろ」

「その格好で?」

「なわけねぇだろうが」


それはすぐに不審者認定されてしまう。


「母さんは?」

「知らねぇよ」

「けっ、兄貴は使えねーな」

「あ?でもさっきメール来てたぞ。ちょっと遅くなるから適当に食ってろってさ」

「ふーん」

「俺は晩飯食ったら出掛けるからな」

「何処行くの?」

「公園」

「何時に帰ってくる?」

「9時前」

「帰ってきたら母さんに伝えとく」

「サンキュ」

「じゃあ私部屋戻るから」


そう言って妹は去っていった。

さてと部屋に戻ったら筋トレするか。

そのあとにシャワー浴びて晩飯食おう。


ふー、さっぱりした。

翼も大体成長は止まったしそろそろ晩飯食うか。

あれだなチャーハンでいっか。

冷蔵庫に米があったはずだ。


「兄貴、何作るの?」

「葉月か、チャーハンだ」


まだ下着だけなのか。

俺は上は着てないけれど。


「私のも作っといて」

「自分でやれよ」

「だってめんどくさいんだもーん」

「はぁ」


仕方ない作ってやるか。

代わりに今度作らせよう。


「ヤバっ、卵とレタスしか入ってねぇじゃん」

「うるせぇな。俺が食べるんだからいいんだよ」

「私も食べるの。ベーコンは冷蔵庫に入ってる?」

「あったら入れてるっつーの」

「ええい、ハムで代用だ!」

「不味くは無いだろうけどな·······」

「筋トレしたならお肉も食べないとダメだよ!」

「なんで知ってんだよ」

「はい、ドーン」

「あーあ雑なチャーハンがハム入りのチャーハンに進化しちまった」

「何言ってんの。残りはやっといてね」


ハムを入れるだけ入れて調理は任せるのか。

なんで奴だ。


適当な皿に盛り付ける。


「ほらチャーハンだ」

「ナイス兄貴」

「······ギリ食べれる美味さだな」

「そうかい」

「「············ごちそうさま」」

「皿は洗っといて」

「仕方ないな」


あと三十分ほどしたら出るか。

ソファにごろりと寝転ぶ。


「兄貴、牛になるぞ」

「大丈夫大丈夫」


食後に寝っ転がるのは悪いことではなかったはずだ。


あぁーやばい。

めっちゃ眠い。

そうだ歯を磨こう。

そう思い洗面所へ向かう。

歯を磨き終わったのでサラシを巻く。

やっぱりサラシは巻きたくねぇな。

安い服買ってきて穴でも開けるか。

そしたら楽に過ごせそうだ。


「あ?」


爪が伸びて黒く染まっている。

さっきウトウトしてる間に『完全化』しちまったか。

まあいいや。

公園に向かおう。

前に1週間に1話投稿すると言いましたが、思ったより余裕があったので3日に1話にしようと思います。

突然の変更で申し訳ありませんが、ぜひこれからもこの作品をよろしくお願いします。

それと少し早い時間に投稿してしまいすみません。

普通に予約時間をミスりました。

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