第二話 目覚め
俺は死んだ。
でも、この目はもう一度開いた。
....どこだ、ここ
天国?
周りを見渡すと、だんだんと視界のぼやけが治ってきた。
周りでは、数人の...人?が膝をついている。
誰だ?
いや、この顔、どこかで...
「我は目覚めたばかりで記憶が混乱している。状況を簡潔に説明せよ。」
口が勝手に...
というか、この声、絶対に俺の声じゃない!
野太いし、声がデカい。
俺のキュートなボイスは何処に...
「はっ。このアリエスから説明させて頂きます。ヘリオス様は、勇者によって封印され、千年もの深い眠りについておられました。御身のご復活、大変喜ばしく思います!」
アリエス...?
アリエスだって?
白い髪、長い髪に羊の角...
そうだ、こいつの名前はアリエス・プロバタだ!
それじゃあ、まさか、まさか...
ここって...
俺が中学生の頃に描いてた、黒歴史漫画の世界!?
うわ〜〜恥ずかしい...
じゃあ、ヘリオスって....
「ヘリオス様、いかがなされましたか?」
俺か〜〜〜
ヘリオス、ヘリオス・ゾディア...
俺が最初に作ったキャラクター。
確か、世界で最も強い魔王にして、最大の暴君...だっけ?
いや何で世界最強が勇者に封印されてるんだよ!
いかんいかん、ついツッコミをしてしまった...もはや日本人の文化だよな、これ。
中学生の俺は天文分野にどハマりしてて、キャラクターたちの名前は全部星座とかから付けてたっけなあ。
アリエス、タウロス、ジェミニとディディニの双子、キャンサー、レオ、バルゴ、リブラ、スコーピオン、サジタリウス、カプリコーン、アクエリアス、ピスケス...
あれ、あともう一人...いたような...
取り敢えず今はそれどころじゃない。
日本みたいに平和に感傷に浸れる世界とは限らないんだ。
まずは周辺地域を知らないと。
「バルゴ、前へ出よ」
バルゴ・ピレトリア
メイド長にして偵察部隊隊長。
黒髪のおさげが特徴で、淡白な性格。
「貴様には、周辺地域の偵察を頼む。第一偵察部隊を引き連れ、異常が無いかを確認せよ。」
「はっ。伝達の後、直ぐに出発致します。」
よし、これで周辺の状況は分かるな。
あとは、今ここには居ないキャラクター達にも収集をかけるか。
俺の今後の方針は、信之を探すこと。
確信はないけど、俺と一緒の場所で死んだんだ。
もしかしたらこっちの世界に飛ばされているかもしれない。
今の俺が魔王だからといって、油断は禁物だ。
ヘリオスを封印したとかいう勇者も気になるしな。
あ、皆んなに公表する方針ではそう言っておこう。
ファンタジーが好きだからかは知らないが、とてもワクワクする。
魔王として、しもべたちの主人として、
できることは全てやっておきたい。
なかなか楽しくなってきたじゃないか。
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ヘリオス様のイメージです。
イメージしながら読んで頂けるとより楽しめると思います。