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嘘遣  作者:
2/4

異質な四人

そろそろ頃合いだろうか。どうしても巻き込まざるをえない日が来るのはわかっていたが、それでもやはり後ろめたい。しかし理音りおとも高校生にもなったわけだし、自分の身は自分で守りたいと、言うようになるだろう。夕食を一人、口にしながら楽也らくやは考えていた。昨夜も奴らがうろついていたし。一体どうやってこの辺を探り当てたのだろうか。もう隠れていられる時間はそう長くないだろう。こちらも動かねばなるまい。理音は毎年夏休みを楽しみにしていた。そのことが余計後ろめたさを生んでいた。携帯が鳴った。

「もしもし、須藤すとう?どうした。ああ、こっちは問題ない。何かあったか?うむ。明日の来れるんだな。じゃあ明日にしよう。また明日な。」

楽也はそういって短い電話を切った。もう後戻りはできないのだろう。理音をこの道に巻き込みたくなかった。が、やはりこうなってしまっては仕方ないのだろう。そうなんども悩んだ。できれば真実は一切合切隠しておくべきなのだろう。でもそのうちそうはいかなくなるし、そこから対応していたのでは手詰まりになる。これでもギリギリまで待ったものだ。その日がこないかなことを祈りながら。


翌日、楽也たちは四人でファストフード店に集合した。みんな思い思いに注文して軽食をとりながら、会議といった感じになってしまった。

「おいおい。久しぶりの再会だってのにどうしてこんな重苦しい雰囲気になってんだよ。いやぁ、よく全員集まったな。おじさん今日仕事とかなかったの?」

若い男の問いにおじさんと呼ばれた男は端的に、しかし笑顔で答えた。

「ははっ。今日は休みをもらったんだよ。これ以上大事なことなんてないだろうしね。それよりもともと来れない予定だったのは真司しんじくんの方だろ」

「ほんとよ。さっそくだけどこれからの手はずを確認しましょうよ。どうしても正体を明かさないといけないの、おじさん??」

席に座っていた一人の女の子が話を進めた。側から見ると異様な光景だった。三十代後半の男、大学生くらいの歳の男が二人、そして女子高校生の四人組だ。店員のいぶかしげな目線に気づいたのか楽也がおじさんの応えを制し

「場所を変えましょうか。俺たちが悪い人みたいに見られてそうですよ」

と笑いながら提案した。その言葉に残りの三人も頷き席を立った。みんな自分の分の会計を済まそうとしたが、おじさんががいつもお世話になってるから、と言って譲らず結局おじさんの奢りとなった。特に目的地もなく歩きながら四人はなおも話し続けた。

「なんでもく必要があるんだ?わざわざ動かなくても静かにしていれば済む気がしなくはないが」

「須藤も気づいてるだろ。もう奴らは動き始めてる。ここで姿を明かしておかなければ無差別に探し始めたりするかもしれない。おじさんの意向でもあるしね。」

楽也が真司の問いに答えた。おじさんは続けた。

「あぁ。俺も引っ込んでれば平和だと思ってたがどうもそうはいかないようだね。相手は、もう大真たいしんの存在に感づいたようだからね。どうせ俺もそう長くは隠れてられないさ。いずれこうなる運命だったんだよ。」

一行は人気のない公園に到着した。日中だからか子供の姿は見受けられす。老夫婦がベンチに座ってくつろいでいた。

「よし、じゃあみんなの健闘を祈って頑張ろうぜ」

楽也の言葉にに全員が頷いた。あっさりとした別れだったが、これが最後になるかもしれないと楽也は一人心の中で思った。

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