夏休み
クラスに一人は必ずいるってタイプの定型ってのは決まってくるもので、見栄はって嘘つくっていうタイプもその一つなのでないかと思う。理音はそういうタイプの人がそんなに得意ではなかった。一体あの人の話してることの何割が嘘なんだろうと常ながら考えていた。だが、そんなことはすぐに頭の片隅に追いやられた。やっと一学期が終わり夏休みになるのだ。夏休みほどの時間があったらやりたいことがたくさんあったのだ。それを楽しみに想像しながら終学活を過ごした。高校生ってのは思ってるより大変だった。来学期からは部活動も始まるしさらに忙しくなるのだろう。
「起立。気をつけ、ありがとうございました。」
物思いにふけっていて一瞬反応が遅れた。だが、誰もそんなことは気に留めない。流れ作業になってるからだろう。
リュックに荷物を詰めて、よいしょと背負うと廊下で隣のクラスにの終学活が終わるのを待った。八組(隣のクラスのこと)が騒がしくなり扉が空いた。しばらくすると娃兎が教室から出てきた。
「ごめーん、理音お待たせー」
「おう、帰るか?」
娃兎はうんと頷き、夏留と乙葉に連絡をした。二人もすぐに返信がきてみんなで駐輪場に集まった。
「理音、夏休みすることある?暇だったらあそぼーぜ」
夏留は理音に話しかけた。 夏留は明るい性格だった。その裏腹、実は寂しがりやだということに理音と娃兎は気づいてもいたが。
「あ、いいね。そうしよっか」
四人でたわいもない会話ををしながら帰路にについた。夏留、娃兎と別れていって、気がつくと乙葉との別れ道に来ていた。じゃあねと挨拶を交わし家に帰った。家につくとソファーに身を投げ出した。明日から夏休みだ。夏は暑いけど、楽しいことが多くていい。さて、何をしようか。そんなことを思いながら眠りに落ちた。