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番紋の恋人  作者: 九ノ丸
恋の終わりに幸せなんて願えなかった
9/30

夕方の喫茶店 1

ケーキ三種盛りプレートにアイスティー。

興奮状態を落ち着けるために冷たい物を選んだ由良とはこ異なり、玲はホットカフェオーレだ。


今回はケーキ三種盛りのプレートはお揃いだが、お互いあえてそろえようとはしていない。何かをそろえて仲間意識を持たなくても、気が向いたときに一緒にいる。そのくらいの友人だ。


そんな玲の口撃は全方位型で、友人だからと安全圏にはいられない。そんな人だから、何かやらかしてくれるのではないかとどこかで期待していた。


幸せになってね。なんて思いもしていないきれいごとで終わらせたかったのに、未練を捨てるには嫌な女になるしかなかった。


かわいい女の子でいさせてくれない優しくない友人は、元カレに一緒になって怒ってくれた。けれど、その怒りにどれくらい泣きごとにつき合わされた苛立ちが含まれているのだろうか。


ほぼ接点のない話に聞くだけの友人の彼氏なんて、玲はまったく興味がない。それでもあれだけ怒ったのは八つ当たりの部分が多そう。


わがままな友人はわがままなことに自覚がない。怖いほどの執着を見せる彼氏に甘やかされて、いつだって守られている。


離れた席でコーヒーを飲んでいる聖はそんな二人に振り回されている一人。由良も玲に何かあれば連絡を下さいと玲の彼氏とは連絡先を交換していた。


昨日から大変お世話になっているので、にこにこと幼い子どもの様にケーキを食べる玲の写真を撮って送る。即レスで感謝の言葉が届いた。


玲の写真を送るといつでも即レス。その反応の速さに由良は怖くなる。


破局直後なのに、嫉妬を覚えないくらいには玲の彼氏はおかしい。玲が浮気をしたら殺人事件か監禁誘拐事件になると由良は常々疑っている。


「カラオケで叫びたい」

「今日はムリ」


昨日行く予定のジムを玲は今日に変えてたいた。二日続けて予定変更はしないが、時間になるまではいる。


「わかってるわよ」


叫びたいだけなので由良は一人カラオケでもいい。ただ、一人で行っているのをクラスの友人には知られたくない。


制服着替えてから出かけるのは面倒で、一人カラオケを実行しようか迷う。


今日はもう、家に帰っても泣かない。


失恋の痛みはまだある。それでもどこかすっきりしていて、元カレのことは過去になっていた。

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