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番紋の恋人  作者: 九ノ丸
恋の終わりに幸せなんて願えなかった
8/30

放課後の公園 4

「祐樹くんをいじめないで」


口撃最中の二人の前に愛美は立ちはだかる。止めにはいるマナ健気でかわいいと自分に酔えたのは一瞬だった。


「邪魔」

「いじめてない。事実確認しているだけです。その結果が残念なのは本人の責任」


一言で終わらせた由良は鼻先で笑う。玲は淡々と、自ら以外に正しいことはないとばかりに告げる。


「あなたに祐樹はくんの何がわかるのよ。つき合ったこともないくせに」

「恋愛感情がないから、客観的な事実でしょ? さすが彼女いるのがわかっていて奪い取るだけあるね。そんなこともわからないの? 性格わる〜」

「なっ」


怒りのあまり愛美の顔が赤く染まる。


「マナはずっと前から祐樹くんのことが好きだったの!」

「ずっと前から奪い取る算段してたんだ。こわ〜。もしかして、ストーカー?」

「違うわよ。あなたなんかに祐樹くんの良さはわからないなのよ」

「いいとこないんだから理解しようがない」


愛美が手を振り上げたから聖は祐樹を放置して背後から腕を押さえた。


「口で負けたからって暴力はやめよう。本当、勘弁してくれ、暴力カップル。マジで迷惑だから」

「そのコが悪いのよ!」

「いいか悪いかは君らの主観でしかないし、悪くても暴力を正当化する理由にはならないよ。それとも君ら、楡木さんになら殴られるのは当然だと受け入れるのか?」

「いいね、それ。めっちゃ殴りたいと思ってたのよねぇ」


由良は別れてから最高の笑顔を浮かべる。


「別れてから付き合えばいいのに、つき合ってから分かれるから彼女の方まで悪く言われるの。そういうとこも含めてサイアクって評価。わかってる?」


諭すように語る口調は柔らかいが、玲の視線はどこまでも冷ややかだ。


「元カノにも今カノにもヒドイ」


沈黙が場を支配する。

公園のそばをクルマが走り抜けていった。


「別れてくれてありがとう。今更お友達もムリだから、これからはただのクラスメートでいてね」


由良は返事を待たない。玲を連れて公園を後にした。




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