四時限目の授業中
昨日元カノと別れた。幸せになってねと別れたが、泣いたらしい。そのせいで西原祐樹は居心地の悪い思いをしていた。
出席番号が近くてよく話す女友だち。番紋合致率をアプリで調べたら合致率が高くて付き合い始めた。三ヶ月つき合ってカレカノらしいこともしたけれど、友だちのままでもよかったかもしれないと思っていたところで、出会った。
教科書忘れて借りに行った隣のクラス。番紋の合致率を調べてる女の子たちがいたから、友人と一緒に軽いノリで混じったら70パーセント超えが出てしまう。
番紋の合致は幸せへの切符。
彼女よりパーセンテージが高いと思ったら気持ちごと持っていかれて、教室に戻ったその足で別れを告げた。
気持ちがなくなったのに二股かけて、徐々に別れた方がよかったのか。そんなの、今カノも元カノも不幸だろ。
「すぐに気持ちは整理できないけど、戻れないのはわかっているから」
元カノは悲しそうな顔をするが理解してくれている。なのにクラスメートたちは祐樹ばかりを避難してきた。
お互いわかり合っているんだからそっとしておいてくれ。何度かそう叫び、祐樹は休み時間の度に彼女のいるクラスへ逃げた。
「昨日の今日だから仕方ないよ。時間がたてばみんなわかってくれるよ」
ちょっと困ったように笑いながら慰めてくれる彼女。優しい彼女笑みにつられて祐樹も笑う。
「ふっちゃったオレが悪く言われんのはしょうがないか。出会った順番が悪かったよな。マナが同じクラスならよかったのに」
よしよしと頭何故てもらって、時間ギリギリに教室に戻ると泣きはらした目をした元カノがいる。今カノに会って上がった気持ちがすぐに下がってしまう。
かわいそうだとは思うが、あの目をなんとかしてほしい。
未練がましい目で見られても元カノのところへは戻れないから、早く由良が笑えるようになってほしいと願う。
授業に集中できないまま時間だけが過ぎていった。