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番紋の恋人  作者: 九ノ丸
恋の終わりに幸せなんて願えなかった
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朝の教室

明らかに泣きはらした目で由良は登校してきた。クラスメートでもある由良はの元彼はすでに新カノのいる隣のクラスへ行っている。


昨日まで教室でいちゃついていた二人の変わりように由良への同情が集まった。もっとも同情しつつ笑っているようなクラスメートも、同情しているフリして傷口に塩を塗りにくるクラスメートもいるので、由良は不幸に酔うことはしない。


「仕方ないよ。わたし、68%だもん。72%の人がいたらわたしだって乗り換えるわ」


番紋の合致率を調べるアプリはたくさんある。アプリによっては数パーセントの誤差はあるが、どのアプリでも由良は新カノに負けた。


まったくこれっぽっちも仕方ないよなんて思えないし、失恋に納得できてもいない。けれど、クラスメートしてこれからも顔を合わせ続ける。


幸せになってね。


なんて、無理して別れたところで、心はそんなこと思えないから、昨日は泣き続けることになった。


番紋合致率98パーセント。幼稚園の頃から相手に執着され、両親公認の婚約者でもある相手がいる友人は失恋を知らない。慰め役には向いてないけれど、グチには延々とつき合ってくれる。


その友人の彼氏に夕飯代をだしてもらい、泊めてもらい、服を急速クリーニングしてもらって、朝食をいただき、友人のついでとはいえ学校まで送ってもらった。


あまりの迷惑かけっぷりに、執着彼氏のDV疑惑を非難しにくい。GPSがラクていいとか、洗脳されていないか友人が心配になる。


でも、今はそんなことより、人の不幸に寄ってきたクラスメートの対応だ。


「心配かけてごめんね」


すぐにいい人できるよとか、由良の方がいい女だよとか、薄っぺらい言葉に儚く笑う。失恋で傷ついた弱っちい女。そんな女嫌いなのに、今求められているのはそんな女だ。


本心をさらけ出していいなら相手の女をビンタしたいし、ふざけんなと元彼を罵りたい。でも、そこまで哀れな女もやりたくなかった。


散々泣いて、元彼が戻ってこないことだけはこれでも理解している。折り合いがつけられていないのは、失恋の痛みだ。

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