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番紋の恋人  作者: 九ノ丸
恋の終わりに幸せなんて願えなかった
10/30

夕方の喫茶店 2

西日の差し込む店内で、由良は通信端末を操作する。タッチ画面にあった幾つかの着信を確認し、スタンプで今の心境を誤魔化す。


暗い話で泣き言ばかり書き込んでいるとグループから外される危険がある。ノリだけで成立しているグループはマジな相談事には向かない。


相談にのってくれてありがとう。元気でたよ。この範囲でおさまらないお話を由良はするつもりがない。


今ははそんな気分じゃないが、新しい恋をしようという話に同意もするし、出会いの場へ遊びに行く話にものる。由良のためではなく、由良をネタにして企画しているだけだから拒否なんてしない。


彼氏を乗り換えたいか、今の彼氏に飽きてきた人あたりが一番やる気になっている。


「ユラ、お迎え来るけど、乗ってく?」


玲は玲で誰かとやりとりしていた。玲の彼氏なら連絡なしでやってくるが、玲の彼氏が手配した相手の時は事前連絡がある。


「今日はいい。少し寄って帰りたいから」


明日も学校はあるのだ。そして、教室に行けば祐樹がいる。失恋を乗り越えるには必要な処置だったとはいえ、お口を軽くあることないことさえずられたくはない。


最上は語らせないこと。次善策として、語られたことを信用させないこと。

そのためにはイメージ戦略はありだ。


この際、髪でも切ってしまおうかしら。失恋した人アピールしておけば、今日のこと祐樹に逆恨みされても対処しやすい。


明日から何日かは暗めの化粧をして学校へ行こう。ついでに失恋して可哀想な自分にも酔っておくか。

健気さを演じつつ祐樹を追い詰めるのは楽しそうだ。


玲は見た目大人しいし、お口の強さはそれなりのつき合いがないとわからない。中学時代から由良が側にいるだけでイジメではないと何人もの先生に疑われたくらい玲の見た目はか弱そうでもある。


そんな玲にイジメられたと祐樹たちが騒いでも信じるのは玲に近い人だけ。クラスも違うし、祐樹たちの味方はしないだろう。


一昨日までなら、口の軽い男は好かれないと教えてあげられたのに。今はもう、沈黙の素晴らしさを諭せないのが残念だった。

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