流れ星と美しい月
いきなり飛びついてきた少女を突き放すと俺は問い返す。
「どういうことだよ…見つけてもらえたって…俺に見つけてもらうためにこの部屋にいたとでもいうのか?」
「ううん。この部屋に入ったのは偶然だけど、私のこと見える人に出会えたの初めてだったから…嬉しくて……」
涙を手で拭いながら少女が答えた。
俺は背筋が寒くなった。もしかしてこいつ幽霊なのか?
それなら鍵のかかっていたはずのこの部屋に入れたことも納得がいく。
「もしかして、あんた幽霊なのか?」
幽霊なんて非科学的なモノを信じたくはないが目の前にいるこいつをそれ以外で説明がつかない。
「勝手に殺さないでよ!幽霊なんかじゃないわよ!!」
怒られた…
…が俺も反撃する。
「じゃあどうやってこの部屋に入った!?」
「………ドアをすり抜けて…」
「幽霊じゃねぇか!!」
「で、でも物や人にはさわれるもん!」そう言って少女は落ちているマンガを拾って見せた。
「そういう幽霊もいるだろ…たぶん…」
俺だって信じたくはない。
「心臓の鼓動だってするし体温もある、とにかく私は死んでなんかない!」
はっきり言い放つ少女を幽霊扱いするのも気が引けてきた。
「わかった。わかった。とにかく自己紹介しよう」
とりあえず話を変えることにする。
「俺は里崎流星。この部屋に住んでる高校生だ。あんたは?」
「私は四条美月。さっきここに住むと決めた高校生よ」勝手に居座ることを決めたことを堂々と言い放つ少女にそれができないことを告げる。
「残念ながらここは男子寮だ。しかも俺のへやをあんたに貸す気などない」
「大丈夫!私、他の人には見えないから男子寮とか関係ないよ。それに女の子を野宿させる気!?」
結局その後も言い合いをしたが勝てず、俺の部屋に一人の女の子が住むことになった。