王子様な求婚者とお姫様
真っ白な布が鮮やかに染められていくように私の心は貴方に染められていく。
止めたくても止められないぐらいにこの気持ちは強く、大きくなっていくの。
どうしたらいい?
………貴方へのこの、どうしようもないぐらいの恐怖心を。
生まれてこのかた憎き王妃と一の姫とのバトルを繰り広げ続けることに人生をかけてきた私にとってあの二人に屈すること以外の恐怖なんてなかった。
だけど・・・・!
「おや、二の姫」
廊下の向こうから目ざとく私を見つけ出しにこやかに歩み寄ってくる夜来の王子様に、どうしようもないぐらい強い恐怖を感じてしまうのよ!!たとえるのならそれは、肉食獣に見つかった草食動物の心境!
本能の恐怖だ!
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
彼方殿下(肉食獣)の姿を認識した私(獲物)は身体は高速で反転しダッシュ!!
思考よりも先に身体が先に危機を察知してくれていた!ありがとう!私の本能!
逃げろ逃げろと本能が発破をかけてくるままに私は逃げの一手を打った。
相手が大国の王族だとか、私が古さだけがとりえの小国の王女だとか、相手の機嫌を損ねると国交に影響があるかもとか・・・・常識的なことを判断する理性が綺麗に消え去り、ただただ本能の命ずるまま恐怖の対象から少しでも遠ざかろうと走り出していた。
心の中はもう「逃げなきゃ!!」の一言のみよ!
「なんで・・・・なんで・・・・・・こんなことになってんの~~~~~~~~~~~~!!!」
魂からの叫びをあげながら私はただひたすらに長い廊下を走りぬけたのだった。
「ゼェハァ………こ、ここまで来れば流石に………」
ぽん。
「あはは。姫は足がお速い」(爽笑)
「………………」(蒼白)
今日も猛獣に首根っこ捕まれる私がいましたとさ!(やけ)