第十三話 入国方法とその後を
アンケート話。
今現在、ラザウェル王国からギルバート帝国に入るのは容易ではない。
戦争になろうというのは目に見えているからだ。
だが、それでも簡単に入る方法はある。
ギルドの依頼だ。
ギルドは大陸の魔物討伐がメインで、両国に存在しており、基本的に市民の依頼をこなすものだ。
例えば、危険な森での薬草採取、畑を荒らす魔物の退治などだろう。
ギルドのシステムはテンプレなので割愛。
ギルドに入り、ギルバート帝国行きの依頼を受ければ、それがパスとなって入国が可能になるようだ。
という訳で登録をする。
「では、お名前をどうぞ」
「名前は無いんです」
「ナイン様ですね。では、この水晶に手を乗せてください」
「………………」
この世界ではナインと言う名前はありきたりなのだろうか?
まあ、名前は無いと自己紹介する俺が悪いのだけど。
「この水晶っていくらくらいするの?」
「金貨五枚程度ですね」
日本円にして一千万円か。
『創造魔法』の分解で砕いてランクを破格の物にしようかと思ったが、止めておこう。
でも結果は解りきってるんだよな……。
「じゃあ……」
水晶に手を触れると、水晶は微妙に光を帯びた。
もの凄く光るとか、砕け散るとかそんな事は無かった。
「……解りました。ナイン様はCランクですね」
上からSS、S、A、B、C、D、Eのランクが有るギルド。
ランクは自分のステータスから決められるのだ。
Cランクは普通である。
まあ、さすが何でも平均の俺、この結果は解っていた。
強さとステータスが釣り合わないのは、『創造魔法』のせいだ。
俺は『創造魔法』で、『異世界召還補助効果魔法』というものも創造しているのだ。
異世界なのだからコレくらいは、というのをイメージし、それを自分に付加している訳だ。
音速を超える早さ、ほとんど痛みを感じない頑丈な体に肉体強化されているのだ。
『創造魔法』で魔法を創造する。
実にチートだ。
この水晶がステータスからランクを決めている所を見ると、どうやら特性として付加しているようだ。
まあ、下手にランクを上げて目立ちたくないから丁度良い。
能ある鷹は爪を隠す、出る杭は打たれる。
「こちらがギルドカードになります。ランクはあくまで依頼を受ける時の目安で、自分のランクより高い依頼を受ける事も可能です。その場合、依頼人の承諾が必要ですが」
自分の事は自分でなんとかしろ、という事か。
危機管理は自己管理。
まあ、俺に関してはランクとか関係ないな。参考にならないだろ。
何はともあれ、とりあえずこれでギルバート帝国に入る準備はできた。
後は帝国へ行くのに丁度良さそうな依頼を受けるだけか。
1 帝国の商人の護衛。報酬金貨一枚(二百万円相当)。
ランクC以上で複数人とか、旅の仲間フラグ。
依頼には魔物などからの護衛と書かれている。
など……って、どう考えてもラザウェル王国側の人間に襲われるフラグ。
テンプレだな。
2 キョウトの薬草取り。報酬銀貨十枚(十万円相当)。
場所的にも名前的にも完璧京都。
そこにある薬草を一緒に取りに行ってほしいという依頼。
何故かランクがB以上。
この戦争が起こりそうな状況で、銀貨十枚の報酬。
多分誰も受けないよな……。
3 お嬢様の教育係募集。報酬金貨一枚(二百万円相当)。
これは……凄く嫌な予感がする。
求めているのがランクA。
ギルバート帝国のさるお嬢様の教育係を募集との事。
衣食住を与えてくれるから、実質的には住み込みか?
魔物討伐がメインのギルドに何故この依頼があるのか……それが謎だ。
正直金は必要ない。
『世渡り』で持ち込んだ物は大抵高値で売れるからだ。
とりあえず、帝国に入れさえすればいいのだ。
あれだけ悪名高い帝国なのだから、その本質はすぐに見抜けるだろう。
さて、どうしたものか。
アンケート終了。
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