I lost......
自分の声が醜いものだということに気づいたのは、つい最近のことだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昔から、母や妹が私の声を真似ることがあった。
その時の声は私が話す声を酷く歪めたようなもので、
聞いているのが嫌になるくらいの声だった。
「自分はそんな声ではない」
毎度真似されるたびに、私はそう言っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある時、私は自分の声が本当に「歪んでいる」のかを確かめたくなり、
毎日ボイスレコーダーを持ち歩き、自分の声を録音するようにした。
そして、数日後の夜。
私は集めた自分の声を聞くことにした。
ボイスレコーダーにイヤホンを差し込み、耳につける。
そして私は、ボイスレコーダーのボタンを押した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その瞬間、私の耳に「自分の声」が流れ込んできた。
しかしその声は自分が発する声とは到底異なるものであった。
ネチネチした口調に、薄暗くか細い声。
それは正しく「歪んだ声」と評するに相応しいものであった。
私は自分の声に酷く絶望した。
「今まで私は、こんな醜い声を出していたのか…?」
「それで、誰かと話していたというのか…?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日から、
I....
(私は…)
I.....
(私は…)
I lost my voice.
(自分の声が出せなくなった。)




