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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雪華草

作者: 魔茶

学校からの帰り道、私はいつものクレープ屋さんに寄って2つ分のクレープを買った。そして、家のすぐ側の横断歩道を歩いていく。横断歩道を渡り切った後、視界の隅に花が映る。


ガチャッ。

「湊、ただいま」

私が、家に帰ってくると私の弟の(みなと)が私を出迎える。

「おかえり、姉さん」

「湊の分のクレープも買ってきたよ」

「ありがとう。夜ご飯を食べ終わった後に食べるよ。冷蔵庫の中に入れておいてくれる?」

「湊がすぐ食べないなんて珍しいね」

湊は、私の自慢の弟だ。今は中学生で成績は、優秀だ。しかし、少し手先が不器用なところがあって、とても可愛らしい。そして、家族思いだ。こんな可愛い弟が他にいるだろうか?といつも思ってしまう。


「あ、そうだ、明日一緒に遊園地に行かない?この間、友達に明日までの遊園地のチケットを貰ったの」

「いいよ、前から一緒に出かけようって言ってたしね」

湊は、笑顔で了承してくれた。


次の日、私は朝早くに起き、オシャレをして湊と共に家を出た。そして、遊園地へと向かった。


「お客様、申し訳ありません。このチケットは期限が切れていまして、もう使用することはできません。」

遊園地の受付に行くと、受付の人にそう言われ、チケットが返却された。今日の日付は、9月25日でチケットに記載されていたチケットの有効期限は9月20日だった。私はなぜか日にちを勘違いしていたようだ。


「ごめんね、湊。私、日にちを勘違いしていたみたいで、、せっかくここまで来たのにね、、」

私は、歩きながら湊に謝った。湊は、私の謝罪を受け入れるだけでなく、とても優しい笑顔で、遊園地に入れなくて悲しんでいる私の心配までしてくれた。そんな弟の心遣いに、なんて優しい弟なのだろう、と心の中で感心する。

「姉さん、せっかくここまで来たんだし、少しカフェでも寄っていこうよ」

私は、湊の提案を受け入れ、カフェへと向かった。


2人は、カフェの中へと入り、席に座った。

2人とも注文したいものが決まったので、湊が厨房にいる店員に向かい声をかけた。しかし、他のお客さんの声で湊の声がかき消されてしまったようでなかなか店員さんが来なかった。それなので、私は店員さんが近くを通りかかったタイミングを見計らって店員さんに声をかけた。

「すみません、注文をしたいのですが、、」

店員さんは私の声に気づき、私たちのテーブルへとやってきた。

「ご注文をお伺いします」

「カフェラテを2つお願いします」

「当店ではただいまおかわり無料となっておりますが、2つでよろしいですか?」

店員さんは私たちにそう質問した。私は、おかわりが無料だということを知り、嬉しくなった。

私は、注文はこのままで大丈夫だと伝えると、店員さんは了承して厨房の方に歩いていった。


世間話をしているところで店員さんカフェラテを2つテーブルに置くと、逃げるように戻って行った。


「湊、あの店員さんどうしちゃったんだろうね?」

「そうだね、なんか少し困っていたみたいだけど、、

私は、店員さんの様子が少し気になったが放っておく事にした。

湊と楽しく話していると、湊がカフェラテに手をつけていないことに気づく。

「せっかくカフェラテ頼んだのに飲まないの?」

「うん、なんかお腹の調子が悪くて飲めそうにないかも。もしよかったら、俺の分まで飲んでくれないかな?」

「わかった。丁度、おかわりしようとしてたからそれ飲んじゃうね。お腹大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

私は、湊の分のカフェラテも飲み干し店を出た。その後、ショッピングモールに少し寄ってから家に向かうことにした。ショッピングモールでは少し周りから視線を感じたため、少しお店を見てすぐに家に向かった。


私が、家の近くの横断歩道まで来た時に、車が来ているのに気づかないで渡っている湊の姿が見えた。私は、湊を助けようと港の元へ走って行き、湊の背中を押した_はずだった。

私の手は湊の背中に触れることなく、勢いで地面に手がついた。手には痛みが生じた。

その瞬間、私は車と衝突した。


ぼんやりとする意識の中で、周りが騒がしいことが分かった。私の視界には、歩道を渡った先に置いてある一束の花束が視界に入っていた。


思い出した、そう、あれは、6日前に私が置いた花束だった。

私の弟の湊のために__。


この作品を読んでくださり、ありがとうございました!!

意味がわかった状態でもう一度読んでみるのも面白いかもしれませんね!

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