第8話 上里一族について―2
今更ながらですが、もしも当初の設定どおりで描いていれば、織田信長の妻が上里美子になることはアリエマセンでした。
何しろタンサニー、織田(三条)美子は急きょ登場させた人物です。
更に言えば、プリチャ達を急きょ登場させた当初の段階の設定では、日本対ポルトガル領マラッカ戦争が終わった時点で、プリチャの夫のサクチャイは、ポルトガルの傭兵奴隷から日本軍によって解放されて、プリチャ達と感動の再会をして、プリチャ達母子は松一と別れる筈だったのです。
でも、私が描いていく内に、タンサニーらを実父のサクチャイは虐待していたことになって、虐待親の下に子どもを帰らせる訳には行かない、と私は考えるようになりました。
そんなことから、松一がサクチャイを安楽死させることになり、プリチャは御仏の慈悲にすがろうとして本願寺の尼僧になり、結果的にタンサニー(美子)らまでも、松一と張娃(愛子)夫妻が引き取るという話の流れが起きることに。
本当にこんな流れが無ければ、今更も良いところですが、松一の子どもらが、織田信長や武田義信らと結婚すること等は起きなかった筈で、私なりに振り返って考える限り、史実の著名人と松一の子どもらが結婚することは無く、当初の設定どおりに、いわゆる市井の無名の人々と松一の子どもらは結婚して、この世界の歴史の流れを、松一の子どもらは傍観することになった気がしてなりませんが。
本当に今更の話です。
そして、作中での時は流れて、上里家の当主は松一から清へと引き継がれることになります。
更に言えば、順調に清の息子へと上里家の当主は引き継がれていく筈だったのですが。
それこそ、ローマ帝国の復興というネタを、後述しますが、急きょ投入したことから、アーイシャ・アンマールこと広橋(上里)愛、鷹司(上里)美子というキャラが結果的に増えることに。
更には、ローマ帝国が東進する勢いを示したことから、日本対女真戦争が起こって、私の筆が奔ったことから、清の息子は二人共に戦死(殉職)するという事態が。
とはいえ、描いてしまった以上は、最早、引き返せないので、そのまま筆を進めた結果として。
最終部で描いたように、上里家の当主は、清からすれば美子を介した実の孫にして、養子になる松一に何れは受け継がれることになりました。
更に言えば、松一の実父は鷹司信尚なので、摂家の息子ということになり、その上に美子は中宮として入内したので、義父が今上(後水尾天皇)陛下という事態が。
そして、義妹の文子内親王殿下から、将来の夫(?)扱いされてもいるという。
ここまでの縁が絡めば、松一が当主になった上里家が摂家にならない方がおかしい気が。
それに、上里家の様々な係累的にもおかしくない状況に。
何しろ、清の姉の敬子は九条兼孝と結婚して、幸家を産んでいます。
又、北米共和国で第二代大統領を務めた武田信光の母は言うまでもなく、武田(上里)和子です。
清と血は繋がっていませんが、ローマ帝国大宰相を務めた上里勝利も義兄になります。
(養子の上里秀勝は、ロケット関係の仕事をしていて、政治的なことはしていませんが)
それらを考える程に、上里家が摂家になってもおかしくない気がします。
本当に私の筆が奔り続けた末ですが、最初は市井の庶民、平民だったのに、様々な結婚等の縁を積み重ねた結果として、上里家は摂家にまで躍進してしまいました。
史実で言えば、豊臣家のような存在の気がします。
もっとも豊臣家は秀吉が一代で成り上がりましたが、上里家は松一から清へ、更に清から美子を介して松一へ、と事実上は四代を掛けて成り上がっていて、そうした点では豊臣家とは大きく違って成り上がりました。
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